ジャミーンについて
◆ジャミーンについて分かっていること
ノバク村で父のアディエルとふたりで暮らしている。
ファロー四徴症を患っており、手術を受けないと命に係わるがバルカでは医療設備の問題で手術が受けられない。
主治医は柚木薫。2年前に事故で母親を亡くし、そのときのショックで話せなくなった。
1話のザイールの自爆により、父・アディエルも亡くした。
後に公安の協力により来日し、クラウドファンディングで費用を集めて(ただしほとんどは乃木の寄付)手術を行った。
最終話時点ではまだ日本にいる。
父のアディエルはノコルと共にベキに育てられたため、テント幹部と面識がある。
◆善悪を見抜く力?
ジャミーンは砂漠に倒れている乃木を発見し、家に連れ帰って薫とともに看病した。
意識を取り戻した乃木が目を覚ましたとき、すでにジャミーンはヤギを抱きながら微笑んでいるように見える。
その後うまくパンが焼けずに落ち込んでいたところ、乃木に秤の故障を指摘されて美味しいパンが焼けるようになり、これをきっかけに乃木に心を開いて笑顔を見せるようになった。
アディエルはそんなジャミーンを「人間の善悪を直感的に見抜けるのかも」と言っている。
また乃木に懐く様子を見て「薫以外の人間にこんな笑顔は久しぶりだ」とも語っているので、ジャミーンは日頃あまり周囲に笑顔を向けない様子。
ジャミーンが笑顔を見せるのは、アディエルのほかは薫、乃木、ドラム。
またベキの写真を見たときにも微笑み、筆談で「すごく優しい人」と評した。
一方、野崎には来日後も懐かず、笑顔を見せない。
◆ジャミーンにとっての『善悪』とは?
乃木は別班任務のため殺人を犯したことがあり、ベキはテロ活動に手を染めてきた。また薫もジャミーンを守るためとは言え嘘をつき、野崎や乃木を窮地に陥れている。
一方、野崎は(やり方は乱暴だが)公安として法の範囲内で国防に努めてきた。
ジャミーンが笑顔を向ける相手は、嘘をつかない、人を傷つけないといった日本の価値観で考える『善人』ではない。
特にベキは本人も息子である乃木も『罪を償うべき人間』だとしている。
ではジャミーンにとっての『善悪』とはなんなのか。
例えばバルカにとっての『善』なのか。
◆実は違う能力?
『善悪を見抜く』はあくまでアディエルの推測であり、立証されているわけではない。
乃木もベキを「優しい人」と言うジャミーンを見てテントの本質を見抜く必要があると考えたが、それだけでベキを善人と判断したわけではない。
ジャミーンの能力は本当に善悪を見抜く力なのか?
実は『家族を亡くしている人に心を開いている』とか。
(バルカからの逃亡劇のなかで乃木が身の上話をしたときも、乃木の自宅でこれまでの話をしたときも、薫は自身の過去や家族については一切触れていない。ドラムの過去も不明)
はっきりと野崎に懐かない描写がされたのに、その理由が明らかにされないまま終わってしまったので、次回作でその真相が明らかにされるのかも。
◆ジャミーンの母と薫の面識がないのはなぜ?
薫がバルカに来たのは3年前。
しかし2年前に亡くなったジャミーンの母とは会ったことがないと言う。
ジャミーンは検査などでお母さんと受診することはなかったのかな?
それとも薫が主治医になったのは、母の死後ジャミーンが話せなくなってからなのか。
◆“また”一人に?
1話のラストでアディエルの死の知らせを受けたノコルとベキは、ジャミーンについて「また一人にしてしまった」「退院後は我々が面倒を見る」と話していた。
「一人にしてしまった」とは母に次いで父まで失ったことだろうけど、当時そばにアディエルがいたのなら『また一人』とは言わないんじゃないか。
もしかしてジャミーンはアディエルの実子ではない?
ベキが面倒を見ていた孤児のひとりで、アディエル(と妻)が養子に迎えた?
ドラムが作ったジャミーンのアルバムには幼少のころからの写真が残っているから、安定した生活のなかで育ってきたとは思われる。
◆“奇跡の少女”とは?
別班の櫻井司令はジャミーンのことを『奇跡の少女』と言った。その理由は?
乃木は別班としてテントについて調べるため、表向きは丸菱の誤送金問題解決のためにバルカに行った。
単独行動であり細かな作戦指示はなかったのか、櫻井は乃木が砂漠に置き去りにされたのはわざとかどうか知らなかった。
砂漠での置き去りは乃木の油断から生じたトラブルで、ジャミーン、アディエルとの接触は想定外の出来事。
櫻井が以前からジャミーンを知っていたとは考えにくい。
砂漠に倒れていた乃木を偶然見つけて助けてくれたから“奇跡”?
帰国後の乃木から『善悪を見抜く力』について報告されていたから“奇跡”?
それとも、ジャミーンの素性にはなにか秘密が?
◆気になるジャミーンのこれから
薫は日本での入院期間は3ヵ月と言っていた。
ジャミーンの来日が3/5、それから入院して手術が3/17だから、5月末か6月頭が退院予定だったと思われる。
ただしバルカから帰国した乃木が神田明神で薫、ジャミーンと再会したのは5/6~7あたりだから、外出許可をとっての散歩でなければ、当初の入院期間よりも短くなったのかもしれない。
いずれにせよジャミーンは手術に成功して元気になったので、今後どうするかを考えなきゃいけない。
乃木は薫とジャミーンのために家の権利書と通帳を預けていたけど、独身で医師の薫が血縁関係でも日本国籍でもないジャミーンと暮らしていくのは現実的ではない。
バルカに戻るのか、ノコルに引き取られるのか。
そうなれば薫もまたバルカに戻るのか。そうなると乃木との関係はどうするのか。
テントと繋がりを持つ孤児の少女は、今後どう物語に関わってくるんだろう。