VIVANT登場人物たちの関係

テント潜入任務のなかで乃木は、黒須に対し「君には分からない」と言ったかと思えば、ノコルからは「お前は何も分かってないな」と言われる。
血のつながりがあっても長年の絆があっても、お互いのこと分かってるつもりで分かってないよねというVIVANT登場人物たちのあれこれ。


◆あまり分かり合えていない(いなかった)人たち

◎乃木憂助と山本巧
同期として15年以上の付き合いがあり親しい仲だったが、乃木は山本が日本に対する不満からテントのモニターとなっていたことや、非道な行いができる人間であることに全く気付いていなかった。

◎ノコルとゴビ
親友であり長い付き合いがあったようだが、ノコルはゴビの裏切りに気付かず、ゴビはノコルがテント関係者であることを知らなかった。

◎野崎守と新庄浩太郎
野崎にとって新庄は部下の一人、という程度の認識でしかなさそうで、新庄がテントのモニターだったことには気付いていなかった。
新庄は野崎との電話後に舌打ちをするなど、前半から不満を滲ませている。

◎乃木憂助と柚木薫
薫は乃木に愛を教えた重要人物であり、互いに好意を抱いている。
薫は乃木のことを知りたがり、乃木も幼少期の話をしたようだが、別班員である乃木は自身の生い立ちや経歴のすべてを語ることはできない。また乃木が薫の経歴や趣味を知りたがるシーンはなかった。
乃木はテント潜入前に表向きの資産(丸菱の通帳や自宅)を託しており、当初は薫のもとへ戻る気はなかったと考えられる。
ついでに薫は赤い洞窟で別班について知ったときは否定的な反応だった。

◆分かっていたり分かっていなかったりの人たち

◎乃木憂助と黒須駿
通常任務では息の合った無駄のないやり取りを見せるふたり。黒須は乃木のテント潜入作戦を見抜くなど、乃木を強く信頼している。しかし乃木はあくまで単独で行動しようとして黒須の信頼を裏切り、傷つけた。
最終回では真相が明らかになり和解。乃木は自身のルーツを示す乃木家の守り刀を黒須に託している。
同じ別班員のためお互いに生い立ちや表の顔・裏の顔をさらけ出せる関係にあり、乃木憂助を一番理解できるのは黒須駿かもしれない。

◎ノコルとノゴーン・ベキ
赤ん坊のころからベキに息子として育てられ、テントのナンバー2となったノコルは、ベキの心を捉え続けていた実子・憂助の登場に嫉妬心を抱く。しかしベキはそんなノコルの胸中には気付かなかったのか、乃木を認めるとノコルと同じ白のデールを着せ、兄弟として協力することを望んだ。
そしてノコルは乃木の前で自分はベキの息子として父を理解していると強調するが、ベキが乃木に黒須を殺すよう命じたときに空の銃を手渡していたことは知らず、任務としてテントに潜入した乃木を許すとも思っていなかった。

ノコルにとってベキはバルカのために生きるテントの創設者であり、今でも日本を思う気持ちがあることを認めたくなかったのでは。テント幹部のなかで一人だけお箸使えないし。

◎乃木憂助と乃木卓(ベキ)
長年会いたいと思い続けてきたのに、その再会劇は腹の探り合いとDNA鑑定から始めるしかなかった悲しい親子。

憂助は父の真意を探ろうとし、卓は息子が任務のために来ていると気付いて警戒する。憂助はテントに受け入れられても別班員の生存がバレるまで任務のことは明かさなかったが、卓もまた親子の過去やテントの成り立ちを語っても、復讐心を抱き続けていたことは語らなかった。
ノコルとは反対に憂助は、黒須を撃つよう命じながら空の銃を渡してきたことには気付けても、復讐のため上原に突きつけた銃もまた空であることには気付けず、実父に銃口を向けることとなった。

40年近く離れ離れになっていたふたりは、お互いに尊敬できる人物でなければ親子として受け入れることができない。
そのうえ卓は血で汚れた人生に幕を下ろすため、また復讐を願う妻との約束を守るため、両親の愛を求め続けた憂助に自分を殺すよう仕向けた。実父を手にかけたことで「お前は私の誇り」と言われ、初めて父を抱きしめる憂助…。親子関係がつらすぎ。

◆分かり合っている人たち

◎乃木憂助と野崎守
乃木は公安の野崎を「鶏群の一鶴」と認めている。太田の救助を優先するためとは言え、自身が別班員であることまで気付かせた。テント潜入時には計画遂行に野崎(公安)を利用したほか、フローライトの採掘権で日本に利をもたらすため、最終的には明確な形で野崎を頼っている。
またベキ、バトラカ、ピヨへの狙撃は(テント潜入のため裏切りを装ったときと同様に)急所を外していると思われ、その死の偽装にも野崎を巻き込んでいる可能性が高い。

互いに能力を認め合い、その意図を読み取れる関係にある乃木と野崎。
しかしあくまでも別の組織の人間であり、乃木は野崎に全てをさらけ出すことはないし、任務のために繋がりを保っている感じがしている。

そしてリュウの件が語られたものの、野崎が最後まで乃木に執着し続けている理由としては物足りず、続編があればさらなる掘り下げがありそう。

◎ノゴーン・ベキとバトラカ
ベキにとって一番付き合いが長いのがバトラカ。
バトラカは乃木卓が夫婦で拷問を受けていた様子や、妻子を失って絶望している姿を間近で見ており、ベキの人生で最も辛い時期を支えてきた人。

撃たれた別班員が生存している事実をベキにだけ伝えたり、ノコルが開示しなかったムルーデルの損益計算書を乃木に渡したりと、バトラカはベキの意向を優先して動く。また乃木に対し、ベキに料理を振舞ってはどうかと進言もした。
公安として日本のために生きていた姿も知っているバトラカは、ベキ=乃木卓の一番の理解者。乃木と黒須の関係に似ているかもしれない。

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