憂助とF
◆Fについて
<F>は、舞鶴の養護施設でいじめを苦にした憂助が「消えてしまいたい」と願ったときに出現した。その際「生きるために強くなれ」とミリタリースクールへの留学を進言。
人格が入れ替わっても、その間の記憶を失うことはない。
憂助がFと対話するとき、Fの発言は周囲には聞こえないため『独り言』の状態になる。F=心の声。幼少期はこれでさらにいじめられたようなので、コントロールはできない様子。
Fになる際、自然に人格が入れ替わっているときと、頭痛を伴うときがある?なおFから憂助への入れ替わりで頭痛は発生しない。
◆Fの性格
Fは常に憂助(自分たち)の命を優先しようとする。
温厚な憂助に対してFは言動が荒く他者に厳しく、別班として山本を尋問したときは「お前じゃ頼りない」とFが主導権を握った。
憂助の母は死の間際に復讐を願い、父はそれを約40年忘れずに抱えていたが、両親のこうした苛烈な一面をFに感じる。
捕らえた山本の前に最初に姿を見せたのは憂助であり、テント潜入中も憂助が主人格だったので、別班任務中=Fというわけではない。
◆恋愛ネタが大好きなF
野崎に関して「お前(憂助)に気があるんじゃないか?」と言い、薫とくっつけようとするなど、恋愛感情(っぽいもの)に過剰に反応する。
命や資産をかけても薫やジャミーンを守りたいと願う憂助に対し「それが愛じゃないのか」と愛情の芽生えに気付かせた。
ただしF自身も愛というものを理解しているわけではない。
◆F=憂助の悩みや葛藤、潜在意識?
人格形成期にバルカで両親との別離、虐待、日本ではいじめを経験して強いストレスにさらされていた憂助は、自分の感情をコントロール出来ずにもう一つの人格である<F>を生み出したと考えられる。
「消えたい」と思った憂助に「生きろ」と言うF。
愛を知りたいと渇望している憂助に愛を教えようとするF。
Fは憂助がコントロールできない感情を担っているんじゃないかな。
穏便に済ませたい憂助⇔怒りを露わにしたいF
親友の山本がモニターで残念な憂助⇔厳しく処罰したいF
命をかけてでも父に会い、愛を知りたい憂助⇔父を罰すべきと考えるF
父の前で嘘をつきたくない憂助⇔任務遂行のため安全策をとりたいF
Fの出現時に頭痛を伴うことがあるのは、憂助の意思に反しているから?
でもFに言わせれば「憂助が呼んでいる」らしいので、矛盾した感情を処理できないときに人格の強制交代という形で対応しているのかもしれない。
◆強くなければ生きられないと思っているF
Fは「生きるために強くなれ」と言った。
両親からただ愛される幸福な時間を失ってしまい、バルカでの虐待を受けてきたために自己肯定感が低く、弱者は生きられないという意識が強いのか。
『別班である乃木憂助』はすなわち『生きるために強くなった乃木憂助』だから、生きることを望むFは任務遂行も重視する。
テント潜入後しばらくFが大人しかったのは、ひとまず潜入任務が順調に進んでいるから?
一方でかつて「消えたい」と願った憂助は、薫を探すために命をかけ、自分を救ってくれたジャミーンのために大金を手放し、テント潜入時には資産もまるっと譲ってしまう。
自分自身の優先度が低いというか、自分の人生を大切にしようとしない。
父に会えれば、愛を知ることができれば、任務の結果を問わず死んでも構わないと思っていた(あるいは相打ちを狙っていた?)?
◆やっぱりF=憂助
憂助が処理しきれない感情がFだとすれば、最終的には憂助とFがひとつの人格として統合されることが望ましいということになる。
バルカでの冒険を経て自分が愛されていたこと、他者を愛することを知った憂助。
最終回ではまだFが憂助に呼びかけていたけれど、Fが消滅するときが乃木憂助が救済されるときなのかな。
ただ別班として過酷な任務にあたる以上、Fはいたほうがいいのかもしれないし、ドラマの演出上もFがいなくなると面白味がなくなるか…
◆黒須はFを知っている?
山本の前でFが現れたときの反応やこれまでの関係性から、黒須はFの存在を知っている気がする。
◆薫先生は憂助を救ってくれるのか
「愛する人を守りたい、でも愛が分からないからその分国家を愛そう」と生きてきた憂助に愛する人ができたら、憂助は救われるのだろうか。
薫への愛に気付いたものの、その愛がどういう意味の愛かはまだ微妙な感じ…。
薫に母を重ねているし、ジャミーンには自身を投影してそうだから、ふたり(かつて別離を余儀なくされた母と自分)を幸せにしたいのは本心だろうけど。
それに幼少期の経験から憂助は『見捨てられる』『置き去りにされる』ことに敏感だし、野崎の言うように別班である以上(恋人・家族を置き去りにする可能性が高いから)ふつうの恋愛や結婚は難しそうだよね。
◆『F』の謎
Fがなぜ『F』なのかは作中で一切語られなかった。なにかの単語の頭文字で意味があるのか?いつからFと呼ぶようになった?
その辺は次回作(があるはず!)で明かされるのか。