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院長先生、、、になる前の、開業思考のある医学生や勤務医に伝えたい。クリニックの繁栄と衰退について。

院長先生こんにちは。あつおです。<こんなこと>をしています。
中小クリニックの院長先生を目指すお医者先生向け33ネタ目です。100ネタ目指して時間を見つけて書いています。
今日は、「クリニックの繁栄と衰退について」を説明したいと思います。


クリニックの開業から引退までを考えていますか?

そもそも医療とは言え、開業=投資 であることは間違いありません。投資と浪費の違いは、主に「将来的な価値を生むかどうか」にあります。

  • 投資: お金や時間、労力を投入し、将来的にリターン(利益や価値の増加)を期待できる行為。

  • 浪費: 資源を使っても、リターンを生まず、むしろ損失を生じる行為。

投資と言えば何事もそうなのですが、出口戦略が大切です。なぜかというと、投資によって得たリターンは、=幸せ ではないからです。

投資における出口戦略の重要性:キャッシュがゴールではない理由

投資において「出口戦略」が重要視される理由は、投資自体が目的ではなく、投資を通じて得たリターン(キャッシュ)をどのように活用するかが本質的な意味を持つからです。キャッシュを得た後の「幸せ」や「価値」を考えることが、真の出口戦略となります。


1. 投資の目的はキャッシュを超えた価値創造

投資の成果は多くの場合、収益や資産の形でキャッシュとして表現されます。しかし、キャッシュそのものが最終的な目標ではありません。キャッシュはあくまで手段であり、それを活用して何を達成するかが重要です。

  • キャッシュ=手段: キャッシュは、家族との充実した生活や自己実現、社会貢献を支えるためのツールです。

  • 幸せ=目的: キャッシュをどのように使い、自分や周囲に幸せをもたらすかが本当のゴールです。


2. 出口戦略とは何か?

出口戦略とは、投資を回収し、その成果を具体的な形で次の行動や価値に転換する計画のことです。これには「キャッシュをどう活かすか?」という視点が含まれます。

出口戦略の例

  • 個人の投資: 資産を築いた後、その資産を家族や趣味、引退後の生活に活かす。

  • クリニック経営: 引退後にクリニックを譲渡し、その資金を地域医療支援や個人の新たな挑戦に使う。

出口戦略がない場合のリスク

出口戦略を考えないと、以下のような問題が生じる可能性があります。

  • 得たキャッシュを無駄に消費してしまい、長期的な価値を生み出せない。

  • 投資による時間や労力が、自分や家族に還元されず、むしろ負担となる。

  • 「これで良かったのか」と達成感が得られない。


3. キャッシュと幸せの違い

キャッシュ自体が幸せを直接生むことはありませんが、キャッシュは幸せを実現するための強力なツールとなります。このため、以下のような視点で出口戦略を考えることが大切です。

キャッシュを活かして得られる幸せの例

  • 時間の自由: キャッシュを得ることで、働く時間を減らし、家族や趣味に使える時間を増やす。

  • 精神的な安定: 経済的な心配を解消し、健康的でストレスの少ない生活を送る。

  • 社会貢献: 得た資産を用いて地域医療や教育などに貢献し、自己実現を図る。


4. 出口戦略を考える具体的な方法

出口戦略を構築する際には、以下のステップを意識すると良いでしょう。

  1. ゴールを明確にする

    • キャッシュを使って達成したいことを具体的にイメージします。

    • 例: 引退後に家族と旅行を楽しむ、地域医療に寄付する。

  2. 得たリターンの活用計画を立てる

    • 投資による収益をどのように分配し、具体的な形で幸せにつなげるかを計画します。

    • 例: 一部を生活資金に、一部を新しい事業や趣味に再投資する。

  3. ライフステージに合わせた調整

    • 自分の年齢や家族の状況に応じて出口戦略を柔軟に見直します。

    • 例: 子どもの教育費が不要になったタイミングで資産配分を変える。


5. 出口戦略を持つ投資のメリット

  • 明確な目標があるため、投資のモチベーションが高まる。

  • キャッシュの活用が計画的になり、浪費を防げる。

  • 達成感や満足感を得やすいため、投資の成功がより実感できる。


キャッシュの先にある幸せを描く:投資成功の本質と出口戦略の重要性

投資は、単にキャッシュを得ることが目的ではありません。キャッシュは幸せを実現するためのツールに過ぎず、その先に何を求めるのかを明確にすることが重要です。出口戦略を考えることで、投資が真の価値を生み、人生全体の充実感を高めるものとなります。「キャッシュ=幸せ」ではなく、「キャッシュを使って何を幸せと感じるか」を考えることが、投資を成功させる秘訣です。

この点を誤って理解すると、「利益重視の体質」になってしまったり、院長先生の働きすぎによる「バーンアウト」につながってしまったりします。

「自分が幸せであること」を最重要視しつつも、「家族」や「職員」や「患者」くらい範囲の幸せにつながるような経営が必要です。


開業から閉院までのオーソドックスな流れ

1. 開業準備

クリニック開業の第一歩は、綿密な準備です。地域医療への貢献を軸に、経営計画や施設設計を進めます。

診療科の選定立地、資金調達施設設計開業手続きなどを行います。開業するということは、会社でいえば社長になるということ。営業方針だけではなく、経営についても学んでからやるべきなのに、多くの開業医が「経営がよくわからないまま開業」します。
開業を意識したら経営セミナーや勉強会などに参加して、そこに来ている他の先生方の意見などを聞くといいと思います。


2. 開業初期(0〜1年)

この段階では、クリニックの運営を軌道に乗せることが目標です。

重要なポイント

  • 患者獲得、スタッフの定着、診療の質の確保など。この時期は収支はとても大切です。組織として体力がないので、半年も赤字が続けばまずいことは確かです。まずは患者数の増加のために尽力しましょう。


3. 開業後期(1~2年)

この段階では、専門特化していくべきです。いわゆるランチェスター戦略です。ライバルのいない狭い範囲で戦うのです。総合一位ではなく、局面ごとの勝利を目指します。

重要なポイント

  • 狭い範囲での地域一番の獲得。さまざまな経営手法を用いてまずは1つの1番を取得します。例えば「〇〇町での××検査数No.1(当社調べ)」みたいなことです。

  • 「2つめの1番」を目指す。

  • 「1つ目の1番」の範囲を広げる


4. 安定期(3〜10年)

開業数年後は、診療と経営の両輪をバランスよく回す段階です。

経営の安定化、地域密着の強化、スタッフマネジメント


4. 成熟期(10〜20年)

患者や地域からの信頼を確立し、クリニックが地域医療に欠かせない存在となる段階です。

  • 後継者育成、診療範囲の拡大、施設の改装


5. 引退準備(20〜30年目以降)

クリニックを閉院するか、後継者に引き継ぐかの選択を行う段階です。

  • 後継者への引き継ぎ、引退のタイミング、財務整理


6. 引退後

引退後も医療に関わるか、完全にリタイアするかを決める段階です。


この画像みたことありますか?

起業の成長サイクル

何事もこれなんですよね。
サイクルの長短はあるものの、必ず物事には、「準備」「成長」「成熟」「衰退」と4期のサイクルが発生します。

「ビジネス」はもちろんですね。
例えばガラケーだって、「携帯電話」を開発し、普及。誰もが1台持つような状況から、スマートフォンに移行し衰退します。
「花」とかもありますよ。
発芽し、花が咲いて、種子ができて、枯れていきます。

院長先生としてのキャリアも同じです

医師国家資格の取得が準備であり、勤務医としての学びが成長で、開業してクリニックを経営するのが成熟で、引退をするのが衰退ですね。

とにかく何でも4ステージにわけて考えるこということを思い描いていただくといいと思います。

とはいえ収入は一定以上必要でしょ、、、いくら稼げばいいの?

一般的に、年収700万円以上あれば安定した生活を送れるといわれています。税金などを差し引いた手取りは約500万〜550万円、1月当たり40万〜45万円の手残りとなります。総務省の「2023年度家計調査」によると、1世帯当たりの月平均支出額は20万〜30万円程度であり、この収入があれば月々10万〜20万円の余裕資金を持ちながら生計を立てられます。

ですが、医師の収入は十分に安定していますよね

医師の最低日給は1万円とされ、常勤で勤務すれば月給80万円はほぼ確実です。年収に換算すると1,000万円近くになり、日本の平均年収である458万円(国税庁調査)を大きく上回ります。この収入水準を考えると、一般的な生活費を十分に賄えるだけでなく、将来の貯蓄や趣味にも余裕を持てると言えます。

総務省の「2023年度家計調査」によると、1世帯当たりの月平均支出は20万〜30万円程度であり、医師の収入なら、生活費を差し引いても月に50万円近い余裕が生まれる計算です。これを踏まえると、必要以上に「収入」にこだわるよりも、働き方やプライベートとのバランス、将来のキャリアプランに目を向けることが重要ではないでしょうか。

将来のビジョンを設計してみませんか?

開業を考えている、または継承して院長となる可能性が高い医師の方へ。目の前の収支改善に取り組むことも重要ですが、それ以上に、まずは将来のビジョンを設計することが成功への第一歩ではないでしょうか。

クリニックを運営するには、地域医療への貢献、患者満足度の向上、スタッフとの良好な関係構築など、目指すべき姿を明確にしておくことが不可欠です。これにより、診療科の選定や設備投資、経営戦略など、日々の意思決定がブレることなく進められます。

「どのような医師でありたいか」「どんなクリニックを作りたいか」を考えることは、将来の方向性を定めるだけでなく、今の課題解決にも役立ちます。ぜひ、長期的な視点でクリニックのビジョンを描き、実現に向けた一歩を踏み出してみませんか?


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ここからは下はクリニックにおける事例の紹介になります。


将来のビジョンを設計する方法

この数値は、内科経営で1診療850点(厚生労働省内科平均単価)として、計算しています。まずは必要な収入と、来院患者数のバランスを収支を考える。

1日来院患者数30名のケース

  • 1日の患者数: 30名

  • 稼働日数: 25日/月

  • 収入:
    30名 × 8,500円 × 25日 = 6,375,000円/月

  • 経費:

    • 職員給与(6名 × 300,000円): 1,800,000円

    • クリニック家賃: 1,000,000円

    • 材料費(収入の25%): 1,593,750円

    • 合計経費: 4,393,750円/月

  • 利益(院長の収益):
    6,375,000円 − 4,393,750円 = 1,981,250円/月

  • 法人税後の利益

    • 月間利益(税引後): 1,327,437円/月

    • 年間利益(税引後): 15,929,250円/年


1日来院患者数50名のケース

  • 1日の患者数: 50名

  • 稼働日数: 25日/月

  • 収入:
    50名 × 8,500円 × 25日 = 10,625,000円/月

  • 経費:

    • 職員給与(8名 × 300,000円): 2,400,000円

    • クリニック家賃: 1,000,000円

    • 材料費(収入の25%): 2,656,250円

    • 合計経費: 6,056,250円/月

  • 利益(税引後): 2,863,062円/月

  • 年間利益(税引後): 34,356,750円/年


1日来院患者数70名のケース

  • 1日の患者数: 70名

  • 稼働日数: 25日/月

  • 収入:
    70名 × 8,500円 × 25日 = 14,875,000円/月

  • 経費:

    • 職員給与(10名 × 300,000円): 3,000,000円

    • 非常勤勤務医給与: 1,000,000円

    • クリニック家賃: 1,000,000円

    • 材料費(収入の25%): 3,718,750円

    • 合計経費: 8,718,750円/月

  • 利益(税引後): 4,124,687円/月

  • 年間利益(税引後): 49,496,250円/年


1日来院患者数100名のケース

  • 1日の患者数: 100名

  • 稼働日数: 25日/月

  • 収入:
    100名 × 8,500円 × 25日 = 21,250,000円/月

  • 経費:

    • 職員給与(16名 × 300,000円): 4,800,000円

    • 常勤勤務医給与: 2,000,000円

    • クリニック家賃: 1,000,000円

    • 材料費(収入の25%): 5,312,500円

    • 合計経費: 12,112,500円/月

  • 利益(税引後): 6,122,125円/月

  • 年間利益(税引後): 73,465,499円/年


概算ではありますが、、、

どれくらいの患者数がご希望ですか?

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