院長先生、、、分院開業の概要知ってからやってますか?
院長先生こんにちは。あつおです。<こんなこと>をしています。
中小クリニックの院長先生向け18ネタ目です。100ネタ目指して時間を見つけて書いています。
今日は、「分院開業の概要」について説明したいと思います。
目次
すでに開業されている院長先生が、分院を検討するときって、基本的には本院がイケイケな感じになってきて、ある程度組織化できてきて、
「いいかんじじゃん」
ってなっているとは思います。
が、初の分院に関しては、かなり多くの院長先生方が情報不足のまま着手し、思ったようにうまくいかないというケースを多々見てきました。
(※あつおは40件ほど新規開設・継承をお手伝いしてきた経験あり)
電カルはなにがいいとか、どんな機械を買うとかそういうミクロな話ではなく、マクロな「分院開設」についてお話していきたいと思います。
1.おもったより人って動いてくれない
まずは絶対にこれを痛感します。
以前も申し上げた通りですが、「院長」って、基本チートキャラみたいなもので、周辺にいる人とは別格なんです。
なのに、「自分はそんなに大したことしていない」と誤認していて、「これくらい普通できるでしょ」の、「普通」のレベルが高いんです。
いいですか、一般人の普通とか働くことへの期待って、これくらいですよ。
これ。
私の中の人生を変えた名言BEST10には入りますね。
コンビニオーナーとしては、次のシフトのスタッフがちゃんと出勤してくれて、家に帰れるだけで十分だってことなんですね。
何が言いたいかというと、「他人に過剰に期待するのはやめよう」ということ。
過剰に期待すると、裏切られた時に、めっちゃしんどいってことですよね。
イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』で、クライマックスの台詞「ブルータスおまえもか」は辛く、悲しく、怒りに燃え、絶望の淵に立たされたその瞬間に発せられた言葉として有名です。
ワンオペ夜勤を終えたオーナーが、次の出勤してくる早朝バイト2名のどちらかが来なかったとき、怒りに燃えることもあったでしょう。
何度も経験することで、絶望を感じたこともあったでしょう。
そして、10年もやっていると「出勤しているだけで十分」という名言につながるんでしょう。
カエサルはそれを死の間際の一瞬で表すわけですから、すばらしいですね(何の話?
2.おもったより人って金目当て
これも痛感しますよ。
さて、分院長に就任して思うことがあります。
それは、2代目院長が実家に帰ったときと同じ感覚です。
「ありがたみ」を感じないんです。まわりのスタッフは教育されていて、診察だけすれば毎日が回って行って、院長も分院失敗したくないからあれこれ手を入れてくれて、成功するに決まってるんです。
そしてそれを
と勘違いしてしまいます。
そうすると収入が気になりだします。当然です。
「院長はここで1秒だって診察していないのに、上前はねていきやがる」
とか思ってしまうんです。
そして何をするかというと、電カルの日計表とかを見始めます。よくわかってもいないのに、金の話だから、聞いたら恥だという気持ちはあるせいか、院長には「収支どんなもんすか?」とかは聞けないんです。気になるなら聞いたらいいのにね。
で、保険点数が1点10円なことくらいは知っているので、
「をいをいをい、先月だけで2000万も売上あるやんけ、俺の給料80万円とかおかしいやろ」
となってしまうわけです。
まぁ、もちろん間違っているわけで。
コストがわかっていない
保険点数が200万点あっても、コストがわかっていません。
例えば、家賃くらいはわかっているかもしれませんが、材料費・採用費・広告宣伝費・外注費・人件費など知りませんから、収支のイメージがわきません。
給与にしていいのは事業所のスタッフまとめて25%くらいですね。
収入もわかっていない
保険点数は売上の一部ですから、保険が200万点あるなら、自由診療部分も500~600万円になるのが一般的ではないでしょうか。(最低でもこれくらいの比率じゃないと分院展開できるようなクリニックにはなりえないため)
ですが、電カル上、自費の売上って入力できないものもありますよね?例えば「市町村のがん検診」とか「公費のワクチン」とか。日計表にでてこない売上があるってことすら知らない方も多くいます。
手取りと総額給与もわかってない
今時のクリニックは、給与明細もWEBで発行されますよね。でも、明細を見るのが面倒で、銀行に振り込まれる手取り80万をみて、「俺の給料は80万」と誤認します。(マジで割とよくいる)
手取り80万ということは、額面では120万円近いでしょう。
院長は億単位の借金をして、10%も利益を取っていないのに、
分院長は勤務医としてなんの借金もせずに、年収1440万もの仕事を与えてもらっているということに気付いていません。
給与として適切なのは
医師は常勤1と非常勤1、事務5、ナース5いたとして。
保険200万点、自費500万とすると、健全な人件費率でいくと月の給与日は900万円くらいがMAXですかね。
非常勤Drが60万くらいかかったとして、事務が平均30万(社会保険含む)×5名、ナースが35万×5名で、もう1000万になっちゃうんですね。
この規模この売上だと、法人にとって「大きな収益」とはいいがたい程度の利益しかでないですね。
これくらいのギャップが発生します
院長先生は、開業当初、大赤字だとしても、たくさんの患者を受け入れるために、適正人員の配置をしています。
にも拘わらず、分院長は「をいをいをい、先月だけで2000万も売上あるやんけ、俺の給料80万円とかおかしいやろ」と本気で思ってしまいます。
となるとなにが起きるかというと、
冗談に聞こえるでしょ?
いやいやいや、まさかここまでしないでしょ(笑)
って思うでしょ?
でも、まじでやります。
思い出してください。
院長先生も、開業する前、経営とかまったく習ってきませんでしたよね?
今では分院展開を考えるようなレベルに至った院長先生も、3年前はこんなもんだったはずです。
そして、苦労して経営して、チームビルディングをして、組織をまとめ上げて、しっかり利益が見えてきて。。。
そして経営が安定してきたからこそ、より高い理想のために、より地域の皆様のために、分院を開設しようとされています。
その院長から、「治療」以外をすべて抜き取ったのが、分院長候補です。
3.おもったより人って人まかせ
今、院長先生は、組織をまとめ上げたので、毎日がストレスなく診療が行われるクリニックに所属しています。(います?)
それらは、院長先生自身が苦労して作り上げたチームであると思います。
で、分院開設を決め、分院長候補を決め、給与交渉をして、
「さぁこのクリニックで思う存分診察してください」
となるわけですが、、、
院長先生の場合、自力の開業でしたから、親なり金融機関なりに融資という名の借金をして、月の支払い額に愕然としながら、微増で増えていく売上に一喜一憂して、辞めようとする職員を引き留め、自分の時間を削って、なんとか今日までやってきたと思います。
だから成功しているし、分院が展開できるような状況になったわけです。
その最も大切な「オーナーシップ」が分院長には芽生えません。
でも、分院長に最も必要なのは間違いなく「オーナーシップ」です。
オーナーシップのない分院長は、あくまで院長先生に誘われた、雇われ店長の域を脱しません。
しんどかったら辞めようとするし、イラっときたらスタッフや患者に強く物を言うし、取り返しのつかないことだって平気でやります。
失敗しても、なにも失うものがないからです。
4.分院長に必要な資質に必要な5つのこと
分院長先生に必要なことは以下の5つです。
コミュニケーション能力
スタッフ、患者、さらには他の医療機関や業者とのスムーズな連携を図るため、優れたコミュニケーション能力が求められます。適切な指示を出すだけでなく、スタッフや患者の意見を尊重し、良好な関係を築くことが重要です。
問題解決能力
医療の現場では、予期しないトラブルや課題が発生することがあります。これらに対して迅速かつ効果的に対応し、問題を解決する力が必要です。冷静な分析力と柔軟な思考で、解決策を見出すことが求められます。
チームビルディング能力
クリニック全体が一体となって機能するためには、スタッフ同士が協力し合い、チームワークを発揮できる環境を整える必要があります。分院長はスタッフ間の協力体制を促し、個々の役割を明確にしながら、信頼関係を築くことが求められます。
時間管理能力
分院長としては、診療業務に加え、管理業務やスタッフの指導など、多くの業務を効率的に進める必要があります。自分の時間だけでなく、クリニック全体のスケジュールを管理し、業務が円滑に進行するよう調整する能力が重要です。
適応力
医療の進展や制度の変更、患者ニーズの多様化など、変化の激しい環境に柔軟に対応する力が求められます。新しい技術や情報を積極的に学び、クリニックに反映させることで、常に高い医療サービスを提供するための準備ができていることが大切です。
でも、これらの5つの資質って、院長先生自身も開業前からあったわけじゃないと思うんですね。
どうやって身に付いたかというと、「絶対に逃げられない」という「自分の城」であることの意識「オーナーシップ」があったからだと言わざるを得ないです。
どんなにすごい給料とってようと、どんなに医療技術があろうと、この「開業して成功した」っていう経験の有無は、とんでもなく大きな違いを生みます。
5.オーナーシップに大切な5つのこと
分院長先生に求められるオーナーシップで大切なこととして、以下の5点が挙げられます。
責任感と意思決定力
分院長として、クリニック全体の運営に関わる最終的な意思決定を行う責任があります。スタッフや患者に影響を与える重要な判断は、冷静かつ迅速に行う必要があり、自分の判断に責任を持つ姿勢が求められます。ビジョンの共有とリーダーシップ
分院の方向性や目標を明確に示し、スタッフ全員にそのビジョンを共有することが重要です。リーダーシップを発揮し、スタッフがクリニックの目標に向かって一丸となって働けるようにサポートすることが大切です。経営的視点の持続
クリニックの収益やコスト管理、マーケティング戦略、患者数の増加など、経営面でも責任を持つ必要があります。経営の健全性を保つために、診療だけでなく経営に関する知識やスキルも磨くことが重要です。スタッフ育成と組織づくり
スタッフが成長できる環境を整え、個々の能力を引き出すことがオーナーシップの一環です。定期的なフィードバックやキャリア支援を通じて、クリニック全体の質を向上させ、良好な職場環境を作り上げることが求められます。患者との信頼関係の構築
患者に対するサービスや医療提供の質はもちろん、患者との信頼関係を築くことも分院長としての責任です。患者からの信頼はクリニックの評判に直結し、リピーターや口コミによる新規患者の増加にも繋がるため、積極的にコミュニケーションを図ることが大切です。
成功事例と失敗事例の紹介
分院開業において、2点ずつの成功事例と失敗事例を紹介したいと思います。「どうやったら成功できるのか」と「最悪こうすればいい」が見えてくると思います。
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