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院長先生、、、職員が採用できない理由、、、考えたことありますか?

院長先生こんにちは。あつおです。<こんなこと>をしています。
中小クリニックの院長先生向け27ネタ目です。100ネタ目指して時間を見つけて書いています。
今日は、採用が難しいと言われるクリニックの採用において、「採用できない理由」について説明したいと思います。


クリニックにおける「採用」ってどんなものだと考えていますか?

開業なり継承なりして、なんとなく人を採用して、診察して、人が辞めて、採用して、増えて、減って、、、
「なんで辞めんねん!!こんなに大切に思ってるのに!!」
って思いながら、次から次へと永遠に採用しているような感覚に陥ることが多いと思います。

この採用に関して一度考えてみませんか?

採用とは

もう院長として経営してきて気付いているかと思いますが、、、開いた穴に次の人を採用してねじ込むだけでは、本当にその場しのぎにしかなりません。
正しい「採用」を行うことで、さまざまなメリットがあります。

1.良い採用は優れた医療サービスの提供が可能になります。

もう院長先生はすでにお分かりかと思いますが、経験があろうとなかろうと、資格があろうとなかろうと、できる人にはできるし、できない人にはできないことがあります。できない人に教えたらできるようになると思っているならそれは大間違いです。クリニックのような決して大きくない事業においては、職員個々の力が、クリニックの繫栄に大きく関与します。

2.優秀な職員だけになるとスタッフが定着します

優秀な職員が退職する理由の多くが、「できない職員との業務量の差と評価されないこと」です。
逆にできない職員が退職する理由の多くが、「給与」とか「勤務時間」とか条件的なものになります。
いつも優しい素晴らしい職員のAさんも、しんどい状況に追いやるとだんだん余裕がなくなってきて、人に冷たくなってしまいます。「あいつ全然できないのに、給料これしか違わないのおかしくない?」って。

3.優秀なスタッフだけになると増患・増収があっさりと達成できます

できない職員がいたときには、「こんな簡単なこともなんでできないんだろう」って思っていたことも、優秀な職員だけになるといとも簡単に達成されます。

4.イノベーションの推進が起きます

優秀な職員が増えると、新しいアイデアや視点を持つ人材が、自ら声を上げ、内部から革新的な変化が起こります。DX化や、業務効率化が苦も無く達成されます。

5.組織の柔軟性と対応力の向上

変化が起きたときの対応が柔軟になり、職員のモチベーションが維持され、患者の評価が高まり、急な環境変化や市場のニーズに柔軟に対応できる組織を構築することができます。

6.ブランド力の強化

戦略的な採用活動により「働きやすいクリニック」「地域医療に貢献する施設」としての評価が高まり、優秀な人材が集まりやすくなります。このような評判は、患者からも「信頼できるクリニック」としてブランド力を上げ、認知される要因となります。

7.リーダーシップ層の強化と次世代育成

将来の分院長や管理職候補を採用・育成することは、クリニックの長期的な成長に直結します。戦略的採用によって、現場でリーダーシップを発揮できる人材を確保することで、次世代の経営層が育ち、クリニックの未来が安定します。

8.業務効率化と負担の軽減

必要なスキルを持つ人材が増えることで、業務分担が適切に行われ、スタッフ全体の負担が軽減されます。これにより、医師や他のスタッフが本来の業務(診療や患者対応など)に専念できる環境が整います。

採用とは。まとめ

戦略的な採用を行うことで、短期的な人材確保だけでなく、クリニックの持続的な成長、競争力の向上、スタッフの満足度向上、患者へのサービス向上といった多方面の効果が得られます。採用活動を単なる「人手不足の解消」ではなく、クリニックのビジョンや戦略に基づいた計画的な投資として捉えることが重要です。

さて、どこから着手しましょうか。

とはいえ毎日の診療の合間に経営もやりながら、採用計画を作って、面接、採用、教育して、、、、無理なんですよね。
というか、簡単にできるんだったら、開業医の平均寿命が70歳とかにならないと思うんですよね。なお、同年の一般の寿命は77歳。
「65歳まで働いたときにはもうボロボロで、5年の余暇をすごしたら死が待っている」というのが開業医です。

日経メディカル/開業医は長生きできない

まずは、院長先生に属人化している業務を減らしましょう。QOLをあげましょう。そのためには、日常の診療に関わらない、バックオフィス業務の専門化の配置が必要です。
院長先生さえも、良い採用によって業務が特化し、1つの業務に専念することができて、専門化し、効率があがるのです。

とはいえ、バックオフィスの専門化の採用コストはなかなか苦しいものでもあります。なぜなら、看護師と違って、稼いでくれないからです。
「一人入れたら、採血が〇回できるから、とりあえず自分の給与を稼いでくれる」みたいな憶測がたたないのです。
採用費だけではなく、その後も実際に売上ががってくるまでの人件費などもかなり大きなコストです。
ですから、これは、新規事業なんです。
せめて収入が変わらなかったとしても、半年くらいは給与費が払えるくらいにして、万が一の時は損切できるくらいのコストじゃないと、共倒れになってしまう可能性があります。

組織に大きな変化をもたらすには、それなりの準備が必要です。
というわけで、決算書を見てみましょう。

まずは損益計算書と貸借対照表を見てみる。

損益計算書は、P/L(ぴーえる)とよばれ、一定期間における、収支を表しています。
貸借対照表は、B/S(びーえす)とよばれ、その時点での、会社の資産や負債を表しています。

弥生会計:決算書の読み方は

かるくざーーーっと目を通してみてください。
要は、今年1年間をP/Lであらわして、その最後の利益や損失が、B/Sに蓄積されていきます。

その中の、「流動資産」の欄の「現金及び預金」を見てください。ここが仮に2000万円あるとしましょう。

「いやいやいや、、、預金2000万もないわ、、、」っていう先生方多いのですが、まぁ、あるとしましょう!(笑)あるんです!(笑)

そして、最新のP/Lの、下の方、「税引き前当期純利益(損失)金額」を見てください。例えば、税引き前当期純損失が300万あるとしましょう。

今年1年、去年とまるで同じような経営ができるなら、「税引き前当期純利益」分のB/Sへの影響があるということです。

いくら投資してよいのか計算する。

今、2000万の預金(キャッシュ)があるけど、今年終わったときに300万円の赤字になっても、まだ1700万残るっていうことです。

会社(法人)は、赤字になったから倒産するわけではありません。
「支払いができなくなる=キャッシュアウト」が倒産の理由です。
2022年度の日本の普通法人の赤字法人率は64.8%ですが、それでも全倒産企業の約4割が黒字の状態で倒産しています。

となれば、その投資に1000万円かけても、少なくとも1年~2年くらいはもちそうな気がしませんか?
であれば今、攻めるべきでしょう。と私は思います。

今攻めなければ、来年は1400万に、再来年は1100万円に原資が減っていってしまう可能性が高いです。

逆に現預金が少ないパターンでも「預金が300万しかないけど、純利益が1000万円ありました。」なら1000万つかっても、いける感じがしませんか?

そうやって新規事業がいけるのかどうかを考えるのが投資となります。
また、法人税は年間800万円までが税率が23%で、800万円を超えると33%になりますので、純利益が800万円以上にはなんらかの節税対策を行ってもいいのかなと思っていただければと思います。
ですので、利益が800万円以上出ているなら、せめても良いのかなとも思います。

たりない場合はどうしたらいいの?

例えば、「現預金が300万しかなくて、しかも赤字決算になりそう。だから人が採用できない。」のようなケースです。それは、経営努力が足りないです。

一般的な企業やお店で利益がでない場合って、例えば安売りしすぎとか、家賃が高すぎるとか、バイトの配置が~とかいろいろ理由があったりもするんですよ。
ところが医療ってとても恵まれていまして、東京都内の家賃相場だったとしても、僻地の人がいないエリアであっても、まぁまぁ普通に給料取れるような働き方って絶対あるんですよ。

特に、保険診療であれば、材料費なども全国一律で変わらないし、売上(保険点数)もどこでやっても変わらないんです。

つまり、対外の利益がでていないクリニックは、そもそも患者が来ていないわけですよ。暇なんですよ。
暇で、赤字決算でそうなのに、なにもしていないのだとしたら、経営者として無理なんでダメージが少ないうちにクリニックたたんで、勤務医になったほうがいいです。

僕が見てきた先生方はその逆で、めちゃくちゃいい診察するため、患者が押し寄せてしまって、職員にしわ寄せが行ったり、QOLがダダ下がりになったり、、、、そういう先生を見ています。

だから、患者が来なくて利益が出ない先生は、事務長がどうとか、職員がどうとかいう前に、ちゃんとまともな診察をしたほうがいいです。

現預金がないんだけど、利益はちょっとでてる場合はどう?

事業融資でキャッシュを確保する

黒字が出せるなら、とりあえず信用金庫に行って2000万の運転資金の融資を相談してみてください。理由も「経営のキーになる存在を採用したい、それによってコストは増えるものの前年比15%増の売上が見込めるので~」みたいに、その人を採用しても黒字になるというつじつまの合う予算書を作ってください。ほぼ100%で融資通るので。これで無事採用に踏み切れますね。

万が一こけた時は

最悪転んでしまって億単位の借金が残っても、院長先生が外部の病院に出稼ぎにいけば、ぶっちゃけちゃんと払いきれます。とりあえず、毎日違うクリニックや病院に、1日10時間拘束で、週6日働けば、年収3000万にはなります。QOLはお約束できませんが、それでも週1回はお休みがあります。
無駄遣いせずに、ちゃんと家賃10~20万円、車も国産高級車くらいにしておけば、生活費など800万円もあれば払いきれます。30年で3億は返せますから、万が一のときも大丈夫です。心配なさらないでください。

採用するって決めたら

採用にはいくつか種類があります。

①Indeed、Engageのように、掲載自体は無料で、採用も無料というWEB採用。有料プランもありますが、費用は自分で設定できます。

②タウンワークのように、来るか来ないかわからないけど、掲載そのものに費用がかかって、採用成功しても追加費用が掛からない媒体。

③ジョブメドレー・ビズリーチ・紹介会社のように掲載は無料だけど、採用したら費用が発生するもの。

①のように安い媒体は、基本的に掲載に工夫をして頑張らないと、採用そのものができません。
②はパートアルバイトなんかは良いのですが、他の求人と差がつけにくく、近隣からしか応募が来ないので、最初は反応がありますが、人の出入りの少ないエリアだとまったく応募がなくなります。出入りが多いエリア向きですね。
③はそれなりに応募があるなかから採用したい人を吟味できますが、費用が高額になりやすいので、大量に人を採用するのには向いていないです。

①②③を比較すると、③がいいのかなと思います。
エージェントとしっかり打ち合わせを行って、人物像の洗い出しや、周辺相場のリサーチなども業者が行ってくれて、たった1名を採用すればいいだけですので。

さて、③で採用するとして、募集をかけてみましょう。給与費が安すぎれば期待した人材がこないだけですので、ビビらず安め設定でいきましょう。
仮にこの投資に、1年で700万円つかっても良いと考えているなら、紹介料の15%を引いた年収580万円の提示でよいと思います。

決め手は「ビビっときたかどうか」

エージェントを使って、人物像の洗い出しや、やってほしい業務、求める人物像などが伝えられて、100人くらい面接すれば目も肥えてきます。いつか「この人に違いない!!」っていう人に出会えます。信じて進めてみましょう。

組織の右腕となる方が採用できたら、または採用しようと心に決めたら、ぜひご相談ください。おそらく力になれます。
事務長フォローサービスやっています。

ご興味あればぜひご覧ください。

ちなみに、、、、、

ここまでのこと、めんどくさいと思うなら、拡大路線を捨てるのも手です。なぜなら、ここまで説明してきたことって、なにも事務長を採用するときだけじゃなくても、経営者として絶対に必要なものだからです。
財務諸表なんて読めなくてもいいけど、P/LとB/Sくらいはさっと読めなければ、頑張った職員を評価せずに無駄に税金を払ったり、長期的に経営できない組織になってしまいます。

その場合には、院長1名、常時ナース2名・事務3名くらいの規模で、週5日だけ勤務するクリニックを想定すべきです。
それでも年商1億くらいは届き、役員報酬は2000万くらいとって、職員給与が2500万くらいとれるので、十分な豊かな生活が送れると思います。
ちなみにスモールクリニックとしては完成形の1つだと思います。

組織が停止するのは院長が働けなくなったときだけなので、院長個人で生命保険にしっかり入っておけばいいです。

右腕が採用できたらなにをすればいいか

無事採用できたら、、、あっ、そう。採用しなくても、内部昇格という手もあります。
医療事務職員でもいいですし、看護師でもいいです。経営に関わりたいという気持ちがある方がいれば、または経営に関わらせたいと院長先生自身が思える職員がいるならば、その方に任せてみるのも手です。

右腕にはまずはなにをさせればいいのか

まずは、右腕の方が、組織の中で、発言権を持てるようにしてあげましょう。大きなプロジェクトとかやらせないで、みんなと仲良くさせてあげてください。
それは、現職員からの「入ってきてくれてよかった!!」という空気がないと、なんにもできないからです。
そして最後は「院長・事務長がいうならしょうがないやってやるか」とやってくれるところを目指すからです。

よく聞くのは、「コンサルタントなんて入れてもなんにもしてくれない」という言葉。
コンサルタントの役割は、特定の課題やプロジェクトに対して専門知識やスキルを活かし、問題解決や業務改善を提案することです。日常業務を支えるのではなく、組織の課題を明確にし、解決のための方向性や戦略を提供することです。
だから、内部での実行班がいないと、何も起きないのがコンサルタントです。
逆に事務長はCOO(最高執行責任者)として、業務実行を行う内部の職員を指します。
ですから、コンサルタント(手法)と、事務長がいて、初めて業務改善が行われるのです。

高い給与が発生しているということは確かにわかるのですが、入職1か月2か月でなにか結果を求めるのは危険です。事務長自身が焦ってしまい、トラブルが発生して職員間での発言力を失ってしまう可能性があります。
まずは得意なことから実行してもい、院長先生からも事務長が仲間になれるようフォローしてあげてください。

次に解決したい問題とビジョンの共有。その言語化が必要。

院長先生がネットでググって、こんな長文のnote読んでるんですから、そうとう困っているんでしょう。
その困っている問題を、だれかに伝えられるように言語化したことはありますか?
また共有した問題を解決した先に、どんなビジョンが待っているのか説明したことはありますか?

これが一番大切です。

話は長くなりましたが、ここまで考えていくとなぜ採用できないのかわかるでしょうか。

ビジョンがないんです。
こうしたい、これをやってほしい、こうなっていきたい
それがないと、事務長はおろか、ナースも、医療事務も、「近所の方」か「給料につられた人」しか来ません。想いも理念もありません。

A:「近所の人」
B:「ちょっと高い給料でつられた人」
C:「理念を見てクリニックに期待してきた人」

だれが一番クリニックを良くしてくれると思いますか?
考えるまでもなく「C」ですよ。

で、今先生のところでは、AとBを採用していて、だんだん採用できなくなってきたんです。
そう、近所に住んでいる「働こうかな」って思っている人的資源を使い切ったからです。

日本における平均転職回数は、3回です。多いと言われるアメリカでさえ11回です。
それが、人生の中で先生のクリニックの求人情報を見ることって何回あるでしょうか。その貴重な1回の求人応募を、通勤圏内に何名潜在していると思いますか?
2~3年で、応募してくる「近所の人」は枯渇するんです。

「じゃぁ給料あげたらいいじゃん」そりゃそうなんですけど、給料上げてきた人は、次も高い所見つけたら移動しちゃうんですよ。

採用できていないこともあるかもしれませんが、退職させすぎなんです。
だから人が足りないんです。採用できないんじゃなくて、定着してないんです。

では、どうやって採用をすればいいでしょうか。

私の実績ですが、
【私の支援開始時】
年商7000万
ナース(常勤1名、パート3名)
医療事務(常勤2名、パート2名)

【2年後】
年商2億5000万
ナース(常勤5名、パート4名)
医療事務(常勤6名、パート2名)

までの実績があります。

「うちは場所が悪いから採用できない」
とか言い訳する経営者がいますが、そりゃ200人しか住んでない島とかならまぁわかりますけど陸地がつながってる限り、基本的には言い訳にしかすぎません。

上の実績も決して場所がいいわけじゃありません。最寄り駅から2km近くはなれていますし、バス便も30分に1回で最寄りバス停から徒歩3分以上ありますし。

採用の方法はこうしました。

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