院長先生、開業医だからこそできること、、知っていますか?
院長先生こんにちは。あつおです。<こんなこと>をしています。
中小クリニックの院長先生向け16ネタ目です。100ネタ目指して時間を見つけて書いています。
今日は、「開業医ならではのできること」について説明したいと思います。
すでに開業されている院長先生ですから、なんとなくは見えているような気がしますが、それでも言語化されている方は非常に少ないと思います。
「いやそんなこといわれんでもわかっとるわ」と言わずに再度確認してみてください。
1.自由な診療方針の決定
これが一番よく聞くところですね。選択したい診療があるが、勤務医にはその選定の自由がない。だから、その治療をやろうと思ったら、退職して次のクリニックを探さなきゃいけない。でも、今の職場もそれほど困っているわけでもない。
だから、自由に診療方針を設定できない。
その点院長先生は、「これやったれ」と思えばすぐに治療方針を学び、治療計画を作り、患者に対するアプローチや治療の選択肢も、ご自身の信念に基づいて行うことが可能です。
しかしながら、勤務医の多くが「やりたい治療ができない!」という文句を言いますが、それは「収支バランスを無視して」のことが往々にしてあります。
理由は簡単です。大学病院や自治体病院は、赤字でも潰れないからです。「病院ではこうやっていました」なんてことをおっしゃるんですが、「じゃぁ病院でやったらいいんじゃない?」ってお言葉返したいところですね。
自治体病院が、年間数億円~数十億円の税金が投入されて、それで初めてできる治療を、いち個人クリニックでやろうとするのはもはや犯罪に近い行為です。
よい治療を選択できる反面、その責任は収入や治療効果も含め院長先生自身の責任になってきます。治療方針さえも取捨選択する必要があります。
2.経済的な報酬の可能性
そもそもが収入の高い医師ですが、開業医と勤務医で大きな格差があることも有名ですね。
科目にもよりますが、開業医の平均年収は2,807万円。
それに比べ勤務医は、平均年収1,494万円。
2倍ほどの開きがありますね。
業務量が違う
開業医の仕事は「診察行為」だけではありません。もちろん勤務医にも診察以外の仕事がないわけではありませんが、あくまで臨床分野においての業務になります。
開業医ともなると、経営の業務が増えてきます。特に、丸投げして終わりというわけにいかない、税務・経理・人事などは、本当に苦労するはずです。
税務的な役割
税務においては、「方針」が必要です。
例えば、組織拡大を狙っていくならどういう会計をすべきかとか、もう拡大しないなら税制対策に力を入れていくとか。実際に「どんな処理をするのか」は知らなくてもいいです。でも、税理士の言葉が謎の言語に聞こえているなら、それは経営者としてやばいです。きちんと会話が成り立つ程度の基礎知識は身に着けてください。
経理的な枠割
経理においては、その先の税務にかかわる重要なポジションです。
単に、日々のお金を数えるとかはどうでもいいんです。ものの買い方ですね。高額な医療機器を導入しようとして、現金なのかリースなのか融資なのか、きちんと選べますか?テキトーに選んだ結果を税理士に「ぽいっ」になっていませんか?
人事的な役割
人事においては、採用戦略がとても重要です。また、外注をつかって採用するにしても、業者がコンサルティングしてくれるわけではありません。
「院長先生、採用目標は何名ですか?」とは聞いてくれます。でも、「院長先生、今期は人員十分なので採用を見送り、新卒採用に切り替えて4名採用しましょう」などとは提案してくれません。そりゃそうですよ、だってエージェントは「特定の分野での採用」のための営業なんですから。
中途採用エージェントが、新卒推してくるはずがないですよね。中途を雇ってもらうことが彼らの仕事なわけですから。
3.ワークライフバランスのコントロール
人生の事故(大病や障害の残るような事故等)に見舞われた場合、世の中では、
「サラリーマンはある程度保証がある。」
「自営業者は働けなくなったら終わり。」
と認識されていますね。
だから社会保険がある企業に入社し、さらに安定を求める場合には公務員を狙う。
そころが医業においては、それが成り立ちません。勤務医だって働けなくなったら収入が途絶えます。
勤務医はどこまでスキルアップしても「働く時間を給料に変える」というブルーカラーの仕事なのです。
勤務医の高額報酬は本当に高額なのか
勤務医で高額報酬というと、年収1800万円くらいからでしょうか。
一般的な常勤の仕事をすると年間2000時間勤務することができます。
年収1800万円というと、時給9000円です。
さて、研修が終わりなにか専門医などを取得して、さてしっかり働くぞを思ったとき、時給いくらくらいで勤務されましたか?
そう。地域にもよりますが、時給1万円もらえるんですよ。
ところがよく考えてみると、年収1800万円に至っても、拘束時間に対して発生する給与所得は変わらないのです。
手取り換算してみますよ
奥様と、お子さん2名のケースで試算すると。。。
給与所得の1800万円の手取り額の計算
年収1,800万円 - 社会保険料270万円 - 所得税489.1万円 - 住民税148.7万円 = 892.2万円
給与所得の1200万円の手取り額の計算
年収1,200万円 - 社会保険料180万円 - 所得税160.9万円 - 住民税97.7万円 = 761.4万円
特に勤務医は、 勤務先のスケジュールや当直、夜勤などに縛られ、自分で自由にスケジュールを決めることが難しいです。特に病院勤務では、長時間労働や不規則な勤務が求められることが多いですね。
つまり、院長としてのライフワークバランスを考えたときに、大きなメリットは「自分が働かなくても収入を得続けることができること」にあります。
「働く時間を給与に変えるブルーカラー」から「裁量労働によるホワイトカラー」への変換とも言えます。
もし院長先生が、「おかしいな、こんなはずじゃなかったのに」という思いがあるのでしたら、それは「経営者への転換」がうまくいっていないと考えられます。
4.診療所の雰囲気やスタッフの選択
上記123に関連しますが、勤務医では診療方針が決定できない上に、裁量がなく、将来への補償もない中、1つの診療所人生を書けるのは非常にリスキーだと考えられます。
その点では、院長先生はなようことなくご自身のクリニックに全力を賭すべきです。
開業医としてできることの1つに、採用戦略の決定があります。
例えば、「こんな人が採用したい」と思い描くような人材は、そのクリニックの状況に合わせて刻一刻と変化します。
例えば、院長先生が開業した直後に、全職員が新卒だったらどうでしょうか。全員が「教えてもらえない」って辞めていくに1000点賭けます(なにを
逆にある程度人員が固定してきてまとまりが出たころに、民間病院でナンバー2でしたみたいな看護師をぶち込んだらどうなりますか?確実に雰囲気が悪くなりますよ。最悪派閥化抗争が勃発して空中分解します。
「開業医だからことできること」の大きなポイントとして、院長先生がほしい人を採用していいということです。
それぞれのメリット
勤務医は経営がないのが最大のメリット
たしかに、新たな治療方針は作れないし、収入も青天井とはではいいませんがちゃんと高給取りになれますし、「めんどくさい【経営】をしなくていい」というのが勤務医の最大のメリットです。
そして、万が一のリスクに関しては、「退職」についてはさほどビビらなくていいです。また同じような条件で働ける場所は見つかります。
仮に、1500万円だった年収が1300万円になってしまったとしても、手取りはさほど違いません。毎日5杯飲んでた生ビールを4杯にしたり、毎週末高級なランチを食べていたのを隔週にしたり、毎年ハワイに行っていたのを5泊から4泊に変えればいい程度しか違いません。
縁起でもありませんが、貴方が亡くなってしまったときのために、購入した不動産には団体信用生命保険をかけて、子が育ち切るくらいの期間までのキャッシュが手残りするような重度障害・生命保険に入っておけばいいんです。
なにもかも選択できるのが院長先生のメリット
少なくとも、上にあげたような
診療方針の決定
報酬の可能性
ライフワークバランス
スタッフの選択
などについては、「一定以上の経営を学ぶ必要」はありますが、それによって広がる選択肢はとてつもなく広がっていきます。人生の自由度というのでしょうか。
このメリットを最大化する経営をするためにはどうしたらいいのか?
環境を選択できるというメリットを生かすためにはどのような手法を取ればよいか。
小さな1つ1つの「やりかた」は数多くあるので、相対的な「歩み方」だけを紹介しておこうと思います。
1)選択肢を広げるための組織への加入
まず、開業してしまうと「学ぶ場」を作ることが難しくなります。仮に作れたとしても1回のみのセミナーのようなものが多く、それを実践的に経営に組み込むのは非常に困難です。
そんな中で、意識的に臨床系以外の「同一職種との学び場」と「異業種との関わり」を1つずつ持つべきだと考えます。これらは「どの団体が正解か」ということではなく、1つ加入しておいて、役に立たなければ辞めて、次の団体を探せばいいと思います。
「同一職種との学び場」
これは開業医のコミュニティに属するのがよいと判断できます。同じ悩みを持つ院長同士だからこそ共有できる場があると、「こんなときどうした?」「こう思うんだけどどう?」とか、相互に情報交換ができるのはお互いに大きなリターンがあります。
「へぇ~そんなことやっちゃうんだ!」という意識の天井が抜ける感覚も、自分だけでは得られない感覚です。
「異業種との関わり」
同業者から感じ取った「へぇ~そんなことやっちゃうんだ!」という意識の天井が抜ける感覚をさらに大きくできるのは、「異業種」との関わりです。経営に特化した「医療分野以外の方」との情報交換は、さらなる大きな天井の抜ける感覚があることでしょう。
例えば、ドミナント展開だとか、大型補助金申請だとか。
イメージ的には、「同一職種」とは毎月1回会っても聞きたいことが山ほどあると思うのですが、「異業種」とはその3倍くらいの期間があってもいいように思います。
あまり無理せずに、ただ、意識的に取り組みましょう。
2)二人三脚で走れる「事務長」の採用
当事業でも「スーパーニッチ」を狙って、事務長採用・事務長育成に特化して小規模に事業を行っています。最初の事務長の良しあしで、院長先生にかかる負担の大きさは変化します。
「二人ともわからないから学びながら」だとしたら、院長が診察している間その人はなにをしていればいいですか?ってことです。
じゃぁ、とりあえずできる雑務をしておいてくださいと言ってしまったら、他職員から「雑務をしてくれる人」という認識を持たれてしまいます。その後本来の事務長としての業務を行うために現場を外れる必要があるのですが、その時に猛烈な反発を食らうでしょう。
最終的に事務長の仕事に着手しないまま退職する羽目になったりしてしまいます。
「院長よりもはるかに知識も経験もある事務長」であれば、「経営がわからない院長」ってまぁまぁ扱いにくいんですよ。
できる事務長が「これを進める必要があるな」と思い、最終決定は院長が行いますよね。でも、判断を仰ぎたいのですが、院長には伝わらないんです。経営がわからないから。
「わかんないけど君に任せるよ!責任は私がとる!」なんて言えるほど器の大きな院長も珍しいですし、逆に責任丸投げにされているように感じなくもないです。
なので、「知識と経験がある事務長」と「それに追随する院長」の関係性が大切です。事務長には時間があります。だから調べたり学んだりして、それを院長に報告します。こうやって、二人三脚で進んで行ける関係性なら、うまく経営を操縦していけると思います。
3)経営方針を理解してくれるリーダーの選出
院長と事務長の二人三脚が始まったら、すぐに「部門長」を設定する必要があります。
理由は、院長と事務長が経営に介入し始めると、変化が加速します。
そうなったときに、目が届かない職員が発生します。
というのも、1日100名の患者を見込んだ場合、診療科にもよりますが医師1~2名、事務4~5名、看護師4~5になります。また、全員をあつめてミーティングを行うなども難しくなってきます。
そうなったときにレポートラインがとても大切です。
院長➡事務長➡リーダー➡サブリーダー➡一般職員 と情報が落とし込まれ
るのが好ましいです。
院長・事務長・各部門リーダーを集め、定期的にミーティングを開き共有し、各部門リーダーが部門全体のMTGを行っていくのが好ましい流れです。
4)理念共有のできる職員の育成
理念共感に関しては、ある日突然「理解してね」って言っても理解できる方もいるし、できない方もいます。これは能力による場合もありますが、それよりも「働く」ということへの想いによるものと考えていいと思います。
組織育成においてはここが一番乗り越えなければならない部分です。
基本的には、今いる職員に対して指導を行い育成していくのが正しいとは思います。しかしながら、やる気があったとしても、家庭環境で限定された働き方になってしまう場合もありますし、状況によっては離脱する方も発生してくると思います。
例えば、どんなにやる気もあっても、日曜日は絶対に仕事は無理なんですって言われると、セミナー受講や勉強会参加が不可能になりますし、MTGを行いたくても同席が不可能などになります。
スキルや経験重視でスタートアップ採用をしてきたかと思いますが、緩やかにスキルや経験から、人物採用・理念採用に切り替えていく必要があります。
クリニックの置かれているステージに合わせて、必要な人材が変わっていきますので、それに合わせて採用のレベルを変えていくのが必要になってきます。
でも、そんなことやっている暇ありますか?
はい。院長先生がやらなくとも、事務長を採用してやってもらいましょう。
事務長採用に関してお困りでしたら、ちょっとはお手伝いできるかもしれません。とても希少な「事務長」という職の採用と育成に特化した事業を行っています。
ご興味あればぜひどうぞ。