なぜ人は「トップバッター」を避けたがるのか?~セカンドムーバーアドバンテージの真実~


はじめに

会議で最初に発言するのを躊躇する、新しいプロジェクトのリーダーになりたがらない、市場参入のタイミングで様子見を決め込む――。多くの人や企業が「トップバッター」を避け、「セカンドヒッター」のポジションを選びたがる傾向があります。この現象の背後にある心理と、その是非について考えてみましょう。

トップバッターを避けたがる3つの心理

1. リスク回避の本能

人間には生来、未知の状況を避けたがる本能があります。トップバッターは、まさに未知の領域に最初に足を踏み入れる役割を担います。失敗のリスクが見えにくく、成功の確率も予測しづらい。そのため、多くの人は無意識のうちにこのポジションを避けようとします。

2. 完璧主義の罠

「最初の発言だから、完璧でなければならない」「トップバッターなら、必ず成功しなければならない」。このような過度なプレッシャーが、人々をトップバッターの座から遠ざけています。二番手以降であれば、先行者の経験を参考にできるという安心感があります。

3. 評価への過敏さ

トップバッターの行動は、必然的に注目を集めます。その評価は後発組よりも厳しくなりがちです。「先駆者の失敗」として記憶に残りやすく、たとえ部分的な成功であっても「もっと上手くできたはずだ」という批判にさらされやすいのです。

セカンドヒッターの利点と落とし穴

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