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「中国・深圳に米軍のA-10が着陸した」という画像の撮影地はベトナム

2024年12月16日、X(Twitter)上に「アメリカ軍のA-10攻撃機が中国の深圳に現れた」という旨の画像投稿が行われ、投稿が一部で拡散しました。

しかし、この画像に映っている車両などから、この投稿は事実ではなく、A-10が撮影されたのはベトナムのハノイであることが公開情報を基にした調査から確認できました。

拡散した投稿(誤情報の再拡散を防止するため、画像修正済み)

ハノイで開催されるベトナム国際防衛展示会

2024年12月19日~21日、ハノイのザーラム空港でVietnam Defence Expo 2024(ベトナム国際防衛展示会)が開催されます。

これに先立ち、12月14日にはアメリカ軍のA-10攻撃機がノイバイ空港に着陸したことがベトナム現地メディアによって報じられています。

この記事の写真より、以下の2機がハノイに展示を目的として展開したことが確認できます。

  • 在韓米軍 烏山空軍基地 25th Fighter Squadron所属

    • 82-0651(c/n: A10-0699)

    • 81-0971(c/n: A10-0666)

上記の記事によれば、A-10は翌12月15日にはノイバイ空港を発ち、午前11時50分(現地時間)にザーラム空港に着陸したとされています。

中央にはノイバイ国際空港(ハノイ)のバス

写真の中央にはバス(おそらくヒュンダイ製)が写っています。前方ドア付近のロゴはHGSと描かれており、ハノイのグランドハンドリング会社「Hanoi Ground Services」の車両であると確認できます。

HGSのロゴ(同社サイトより引用)
写真中央のバス

深圳航空のB737も同日にハノイに滞在

画像の右奥には深圳航空のボーイング737型機が写っています。拡大してみると、ノーズギアのドアに1519という番号が書かれており、中国の機体記号の形式に照らし合わせるとB-1519であること判断できます。

Flightradar24によると、B-1519は12月14日 05:25UTC(ハノイ時間12:25)にZH121便としてノイバイ空港に着陸し、同日06:58UTC(ハノイ時間13:58)ごろにZH122便として離陸しています。

現地動画

ノイバイ空港で撮影された以下の動画にて、深圳航空のB-1519がA-10の横を通過する様子、写真に写っている黒いバンやHGSのバスが映り込んでいることが確認できます。

黒いバンとHGSのバス
https://www.youtube.com/watch?v=LqyqdfQaBDU より
深圳航空 B-1519
https://www.youtube.com/watch?v=LqyqdfQaBDU より

これらの理由により、「A-10が中国の深圳に展開した」という情報は、「背景に深圳航空機が写っていることを利用した誤情報」であり、実際にはハノイで撮影されたものであると判断できます。

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