ビタミンゼミ第30回 SEOで外せない「YMYL(Your Money or Your Life)」、対策例など各論公開 | 渋谷 匡志教授
第19回でもご出演頂いた株式会社クヌギから、今回はSEOで外せないYMYLについて教えていただきました!
前回の講義の内容はこちらをご覧ください!
株式会社クヌギ SEO事業部執行役員 渋谷匡志さん
決済代行会社からウェブ制作会社に転職をされ、ウェブディレクターやオウンドメディアの運用、自社のオウンドメディアの編集長を兼任されていたそうです。そこから、2018年にクヌギに転職され現場のコンサルティングだけでなくSEO事業部のマネジメントをされている方です。
YMYL対策の基本は法律とガイドラインの遵守
①Googleが公式で発表している内容ではない
②法律やガイドラインをいろいろ読んで、あくまでもクヌギとしての解釈として提案している
そもそもYMYLとは、Your Money or Your Lifeの略称です。一般的に、人の健康や経済、安全に影響を与えるようなジャンルとされています。実は2013年くらいから、Googleの出しているガイドラインには記載があります。そして、YMYLに該当するページは、該当しないページに比べて高い品質評価基準が設けられているので、一般的には他の該当しないサイトより上位表示が難しいです。
参考までに、YMYLに当てはまるジャンルはこちらです。上から、国際的な出来事、ビジネス、ニュースや時事問題、投票、政府機関、公共機関、法律問題についての情報だったり、投資、税金、退職金、銀行保険、財務上のアドバイス、送金するようなサービス、その下は、ECサイトを指しています。医療問題、薬、病院と医薬品や、最近ジェンダーなどの差別表現あたりも、YMYLジャンルに入ります。ジャンルは広がっておりいろんなサービスで、意識をしなければいけないと思っています。
基本的に、Googleはコアアルゴリズムのアップデートのタイミングで、評価の仕方が変わります。2020年以前は大体年に3回ペースぐらい起こっていて、アップデートの影響を受けたコンテンツっていうのは、基本的には次のアップデートまで再評価される事がありませんでした。最近はアップデートとアップデートの間に小さなアップデートで再評価されている傾向が見られたり、去年はアップデートの間隔が200日ぐらい開いたりしているので、アップデートのペースなどはこれから変わってくるので見ています。アップデートの間の小さなアップデートは、アイレップの渡辺さんがこの間本を出していた、「Googleコアアップデートの読み解き方」でも触れられています。
YMYLに限った話ではないですが、YMYLの影響で悪い評価を受けてしまったページが多ければ多いほど、サイトの評価は下がります。特にCGM型のサイトは気をつけなければいけません。運営がコントロールしているところ以外で、口コミの投稿やブログを書くみたいなところは、どうしてもコントロールが効かない部分があります。自然と法律違反するようなコンテンツや、ガイドラインに反する表現を使ってしまうことが増えてしまうので、そこは非常に気をつけなければいけないと思います。
Googleは「検索エンジンの利用者にとって不利益を被るコンテンツの上位表示は避けたい」と考えています。実際に、法律やガイドラインに沿ってコンテンツの修正を行った後、再評価された傾向からもわかります。また、各種法律やガイドラインは、基本的に利用者保護が目的に含まれていたりするので、Googleのやりたい方向性とマッチするので参考にするのが、大事だと思います。
法律やガイドラインは、拡大気味に解釈して対応するといいと思います。例えば、医療広告ガイドラインにおける広告の定義は、以下の3つのいずれもが該当することです。医療広告ガイドラインの中では、「患者の受診等を誘引する意図がある」という誘引性と、「医業もしくは歯科医業を提供する者の、氏名、もしくは名称または病院、もしくは診療所の名称が特定可能である」という特定性、「一般人が認知できる状態にある」という認知性の3つがそろった時に、医療広告ガイドラインの中だと広告に取り扱うものになります。
では医療広告ガイドラインに該当させたくないからといって、2番目のその特定性を伏せたらどうなるのかと考えると、それもGoogleに評価されるとは考えづらいなと思います。なぜなら「誰が書いたもしく」は「監修した」か分からない、「事実かどうかも分からない」コンテンツが上位に出るというのは、過去のWELQ問題やGoogleのガイドラインを踏まえると考えづらいからです。
SEOにおけるFXアフィリエイトサイトのNG表現例
アフィリエイトサイトとかで、証券会社の紹介を書くことがあると思います。その中で多かったのは「業界大手なので、安心して投資をすることができるのがポイントです」みたいな文章です。ありがちだと思いますが、「安心して投資する」がNGにあたります。
理由は、公正・客観的な根拠がなくて適切性に欠けるような表示該当するのでNG。他には、「夢のような投資対象」など基本的にはやってはいけない表現です。次のスライドにも通じますが、「安心して投資できます」「夢のような投資対象」みたいな内容は、投資者の投資判断を誤らせる、とガイドラインに明記されています。加えて、「会員又は会員が取扱う金融商品・取引等に関する恣意的又は過度に主観的な表示に該当する」ところでは、太文字にしてフォントを大きく赤文字にするような強調表現もやってはいけません。金融系だけでなく、医療広告ガイドラインも、強調表現は品位を損ねるために適切ではないです。ただし、例えば脱毛クリニックの金額を伝える場合、費用感はユーザーにとって重要な情報なので、その部分の強調は認められています。
次は、FXアフィリエイトサイトの例その2ですが、ちょっと専門的な内容が入っていて、一部がわかりづらいもしれません。
公正・客観的な根拠はなく適切性に欠けるような表示に該当するためNGです。基本的に、相場に関する断定的な表現は行ってはいけません。「2000円しか損する心配はありません」が断定に当たります。また、急な為替変動があると実は「ロスカットのライン2%」と決めても、実際は2000円以上損することもあるので、事実とも違います。
また、リスク面に関する記載が著しく少ない場合もNGです。これはガイドラインにも記載があることと、FXはリスクが高いのでリスクを十分に理解してから始めるように消費者庁が注意喚起しているためです。今回のケースだとスワップポイントのリスクについて記載が必要になります。
SEOにおける脱毛クリニックのNG表現例
これは医療脱毛とエステ脱毛の比較した表です。医療広告ガイドラインでは、他の病院または診療所と比較して優良である旨の広告を比較優良広告とし、NGに当たります。
自らの病院等が他の医療機関よりも優良であることを広告するのは、たとえ事実であったとしても認められません。比較の項目の中にある◎、×、△も、優劣をつけるために使用されていること。また何をもって◎としているのかがわからないのでNGです。
同様に「自社のサービスはナンバーワンです」「日本一です」とか、「最高」という表現もNGです。ドメインが「ナンバーワンclinic.com」みたいな場合も、ガイドラインに違反します。
効果や性能について、医師や医師以外でも保証したと誤解される恐れがある表現はNGです。今回の場合は、「5~8回で脱毛が終わる」という誤解をうむ恐れがあります。よく読めば、脱毛コースが完了しますと書いてはいますが、読む人によっては「コースが完了すれば脱毛も完了する」と誤解を生じる可能性があります。
お客様の質問に対して、クリニックが回答している例です。よくあるQ&Aですね。
先程同様、薬機法66条の誇大広告に該当します。「一概には言えない」とすることで、すべての毛が完全に生えなくなることも可能という印象を与えてしまいます。「発毛組織を破壊した毛穴からは、再発もほとんどがない」と、明確な事実の記載が必要です。「限りなくゼロに」という表現自体も効果保証に当たる可能性があります。
こちらも誇大広告に該当してしまうのでNGです。「施術に影響はありません。差し支え有りませんので安心してください」は、安全性の保証にあたる可能性があります。先ほどの、効果保証が出来ないのと一緒で、安心安全っていうのも基本的には保証できないし、断言をしちゃいけないものに該当します。今回の場合だと、施術の可否に言及する回答にとどめた上で、リスクに関する注意喚起があるといいと思います。「ステロイド剤を吸入してる方の場合、医師の診断のもと医療脱毛の施術自体は可能です。ただ、喘息の発作よっている状態では施術はできないです」など、保証しないような表現に変える必要があります。
主に3つです。一つが美白効果です。基本的には、肌本来の色そのものが変化する旨の表現「できてしまったシミソバカスをなくす」などの表現はNGです。化粧品の場合は、メーキャップ効果による美白以外は基本的に訴求NGです。例えば、肌を整えるとか、キメを整える、皮膚をすこやかに保つ、日焼けによるシミソバカスを防ぐ、縛りとして日焼けによるっていう文言が必要になります。肌の機能そのものにかかる表現は薬用化粧品、化粧品の効能効果の範囲を超えてしまっているので、掲げてはいけません。アンチエイジング効果も、年齢に応じた化粧品等の効能効果の範囲内のお手入れを指す場合にのみ認められているので、若返りの効果はもちろんNGです。
SEOにおける化粧品ECサイトのNG表現例
「安心して使うことができます」という部分がNGです。効能効果また安全性について、具体的に効能効果を示し、それが確実であると保証するような表現はできません。化粧品等の適正広告ガイドラインの中では「アレルギーテスト済み」もキャッチフレーズとして使ってはいけません。アレルギーテスト済みの表記の近くにデメリットを記載することが必要です。デメリットは、アレルギーテスト済みと同じ強調の仕方も必要で、例えば小さくわかりづらくしてデメリットを書くのはNG。今回の場合、フォントのサイズも同じでアレルギーテスト済みの近くにデメリットを記載してあるので、OKな表記と思っています。
YMYLに関するよくある質問
質問:「専門家が記事を監修する、もしくは記事を書いて貰えれば、YMYLの対象外になりますか?」
回答:誰が監修しようが、誰が書こうがYMYLの対象外にはならないです。対象外にはならないが、記事の専門性とかを出したいのであれば、当然その記事の監修や執筆を専門家に依頼するのは、すごく有用と思います。
質問:「アフィリエイトサイトはこの先厳しいでしょうか。」
回答:基本的にGoogleは、アフィリエイトというカテゴリで評価をしているわけではありません。アフィリエイトサイトかどうかかは、正直関係ないです。ちゃんと対策をやっていれば、アフィリエイトサイトも順位があがります。
質問:「広告じゃないのに広告ガイドラインが適用されるのでしょうか。」
回答:適用されると考えるのがベターです。一般的には、お金を払って掲載するコンテンツが広告だと認識される方が多いかなと思いますが、一般的統一的に定める規定はないというのが、国民生活センターの見解です。
実際、医療広告ガイドラインの中では、定義されている広告は有料であるかは特に問題としていません。広告ではないが、広告ガイドラインを参考にコンテンツを作ることは必要だと思います。
質問:「規制が厳しくなにも書けません。」
回答:これは質問というより嘆きみたいな感じなんですが、基本的には語彙を探し続けるしかないと思います。どういう表現だったら法律やガイドラインに反せずにいけそうか、みたいなところを考え続けるしかないと思います。
その他講義中の質問
質問:語彙を探し続けるために、具体的にどういうことをされているのか。
回答:官公庁のサイトや、まず違反が起こることがあり得ないサイトなど参考にすると良いと思います。校閲がしっかりしているメディアもおすすめです。たとえば、LINEです。LINEには校閲部所があり、編集長でも絶対に逆らえないみたいになっていて、厳しい目を通して世の中に出るコンテンツを見ると参考にはなると思います。テレビショッピングやテレビコマーシャルもおすすめです。
まとめ
Googleは法律や各種ガイドラインもしくはGoogle自身が作成したガイドラインなどを基に、調整し続けているのでGoogleがNGと判断するかどうかではなく、大元となる法律やガイドラインなど倫理的なところをもとにコンテンツやライティングをしていくことが非常に重要だと思います。Googleのアルゴリズムは常に更新していくので、いつのまにかアウトになる場合もあります。なので、なるべくすれすれを狙わず法律やガイドラインを順守といいと思います。
参考に、これは実際に使っていたNG表現の一例です。基本的にこの単語を使ったからNGになる訳ではなく、その単語が使われている文脈をGoogleが読み取ってNGかどうかを判断します。なので、このNG表現の単語を足掛かりに、一個一個文脈を確認して、ガイドラインに抵触するコンテンツを探していく必要があります。
今回の金融まわりと薬事周りで参考にしたサイトを一部紹介します。消費者庁のサイトと国民生活センターはとくにガイドラインではないですが、実際に消費者からのクレームが行くのはだいたい消費者庁や、国民生活センターだったりするので参考にすると良いでしょう。ジャンルにも共通するのが景品表示法です。優良誤認や有利誤認などに当たらないかどうかは、どのジャンルでも絶対チェックしなければいけないところと思います。一番下のGoogle広告ポリシーと品質に関するガイドラインも、基本的には検索エンジンを利用する上では重要なものになるので、ジャンルに関係なく読んだ方が良いものになるのかなと思います。
最後に「SEOオタクな会社」に興味がある方へ
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▽株式会社クヌギについてはこちら
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