ビタミンゼミ第19回 【スタートアップ向けSEO】SEOは本当にやるべき?SEOあるある失敗事例など|矢萩 浩之
今回は、株式会社クヌギ代表の矢萩 浩之 (やはぎ ひろゆき) さんを教授として迎え、SEOの基本から運用事例、最新アップデート情報まで幅広くお話いただきました!
PVを集めることを目的としたSEOではなく、何か商品やサービスを売ることを目的としたサイトが使えるSEOの技術を元に、「どのタイミングからSEOをはじめたらいいのかな…」とか、スタートアップでのSEO失敗あるあるを講義していただきました!
※講義限定で、最近のSEOの傾向もご紹介いただきました。SEOは波があるのでしっかりトレンドが掴めるのはありがたいですよね。noteには掲載できない内容も盛りだくさんのビタミンゼミへぜひご連絡ください。
ビタミンゼミってなに?
ビタミンゼミについて詳しく知りたい方はこちらの第一回の記事をご覧ください。
株式会社クヌギ代表 矢萩 浩之教授
元faberCompany常務執行役員から、現在は株式会社クヌギの社長へ。2004年からSEOを中心にお仕事をされている、SEO領域の第一人者です。
「SEO支援事業は、高度な技術を持った職人が支える必要があると考え、職人が育ち、職人が協力しあい、職人が働きやすいSEO会社作りを全力で行ってます。」
株式会社クヌギは、営業専任者ゼロの職人集団として営業力で受注するのではなく、成果にフォーカスする職人集団として活躍されています。
株式会社クヌギの企業理念
「個人の才能を開花させ、最高のマーケティングチームを作る」
企業理念のために3つの事を実践されているそうです。
・マーケッターの収入を上げる
→成果を評価できる仕組み作り
・集中できる仕事環境を作る
→職人文化作り
・技術力を上げれる教育環境を作る
→社内外で勉強会、1on1
集中できる仕事環境を作るために、例えば話しかける前に、チャットで伺いを立ててから話しかける文化があるそうです。普段から職人気質がある人がクヌギ社に入ると、とても好感を持ってもらえるそう。
1.SEOやるべきかどうかの判断軸
ずばり、SEOをやるべきかどうかの判断軸は3つあります。
1.1 チャネル選択
1.2 キーワード選択
1.3 担当者選択
1.1 最低1年の投資前提にSEOチャネルを選択しよう
現在では、一昔前のSEOと運用型広告が中心だった時代とは異なり、SNSやインフルエンサーなど様々なチャネルが増えました。
「現在のSEOは片手間で取り組んで成果が出るような状況ではありません。スタートアップは限られたリソースを、成果が出る場所へ集中する必要があるので、まずは自分たちのサービスがどのチャネルなら最大限の効果を出せるのか見極めるところからはじめましょう。SEOに関しては本格的に取り組める状況にならないと失敗することが多いので要注意です。」
また、SEOはどんどん短期的に利益が出るものではなくなってきたとおっしゃいます。全くSEOをやっていない状況から、利益を生み出そうと思った場合、最低でも1年間はかかる計画を立てた方が良いそうです。
SEOをチャネルとして経営視点から見たとき、どのようなメリットがあるのかひとことでまとめることができます。
上位表示しだすと、少ないコストで大きな売上を見込めること
1年の投資期間を考えたとき、SEOが他のチャネルより効果を出せると判断できるのであればSEOをはじめることも一つの手段として良いのではないでしょうか。
1.2 コンバージョンするキーワードを狙おう
SEOでは上位表示されないと大きな売上が見込めないというお話がでましたが、実は上位表示されても売上が上がらないことがあります。上位表示させるだけでも最低1年は見積もった方がいいとされているのに、売上にならないと思ったらゾッとしますよね。
そのために事前に、コンバージョンするキーワードを特定しようとおっしゃいます。
なんと、この早見表を見ればどのキーワードがコンバージョンするのかを判断することができます。
「スタートアップの場合、新しいサービスであるためサービス自体が世間に認知されていないケースが多いです。
例えばドロップボックスなどのファイル共有サービスは今では多くの方が知っていますが、サービス開始当初はあまり知られない商品でした。
そのため"クラウドストレージ”のような単語での検索が少なく、競合や類似サービスが使っているような”ファイル共有”や"メール 添付ファイル"などのキーワードで上位表示を狙うことになると思います。
ただし、それらのキーワードで上位表示してもコンバージョンするとは限らないため、上位表示を狙う前に、リスティング広告を試してみてコンバージョンするのかを調査してみることがおすすめです。」
売上に繋がるということはコンバージョンするということなので、事前にリスティングで実験しておくことはスタートアップの時間短縮に繋がりますよね。
1.3 SEO担当者は、文章を書ける・好きな人を選ぼう
SEOはウェブサイト制作に近いため、HTMLがわかるのはもちろんのこと、ライティングスキルも必要になってきます。
SEO担当者に必要な最低限の知識
・文章をかける
・検索ユーザーの気持ちがわかる
・HTMLが最低限わかる(canonicalとか)
+
・Google Analyticsの基礎がわかる、アクセル解析の知識
とくに「文章をかける」&「検索ユーザーの気持ちがわかる」ができない人が多いとおっしゃいます。HTMLが最低限わかるというのはGoogle公式ヘルプが読めるレベル程度だそうです。
ではそういう人担当者をどういう風に選んだら良いのでしょうか。答えはシンプルに、すでにライティングスキルを持っている人を採用することだとおっしゃいます。
文章を書ける・好きな人を採用する
「個人的な感覚ですが、文章を書ける人は10人〜20人に1人しかおらず、更に検索の意図まで汲み取れる方となると相当限られてきます。すでに社内にそういった力を持った方がいらっしゃれば良いでしょうが、そうではない場合も十分にありえます。」
クヌギ社でも文章を書ける・好きな方をSEO人材として採用した結果育成に成功したので、SEOに注力したい方は真似してみてはいかがでしょうか。
2.スタートアップでのSEO失敗あるある
2.1 運用型広告と同じ感覚でSEOをやってしまう
2.2 CVキーワードで上位表示してない
2.1 運用型広告と同じ感覚でSEOをやってしまう
運用型広告ですでに成果を上げた経験がある企業であればあるほど、短期間でSEOの成果を求めがちだとおっしゃいます。
「3ヶ月という期間で見てしまうと、どうしても運用型広告の方が成果が高い場合が多いです。SEOの場合は成果が出るまでに時間はかかってしまいますが、上位表示に成功することで、広告費ほどの費用をかけずに売上を上げることができる利点があります。」
マーケティングの権限を持っているひとが運用型広告型の思考(短期的に成果をだして、予算計画を立てやすく、仕組み化しやすいなど)である場合、SEOを理解できず失敗する可能性が高いです。
SEOは長期視点で、アップデートもあるため計画が立てにくく、また施策は属人的な傾向があります。
またSEOを行う際に、以下の行為はあまり意味をなさないので、行う必要は無いと思います。
「上位表示をするまでのシミュレーションを出しておこう!」
→1年後の順位は予測不能です。上位表示したときの売上予想は出せるため、その目標に向かい施策を行うと良いでしょう。
「この施策をやるとどれくらい上位表示するんだろう」
→複数の変数により順位が決まるため予測不可能です。特定施策1つで上位表示しなくても、上位表示にはその施策が必要です。単発の施策だけで効果を検証しようとせず、複数の施策を実践しましょう。
事前に、やっても意味がないとわかっていれば時間を短縮することができますよね。
2.2 CVキーワードで上位表示してない
SEOで売上・成果を出すためにはたった1つの法則があるとおっしゃいます。
SEOで売上をだすためのただ1つの法則
= コンバージョン(CV)するキーワードで上位表示する
短期的な成果を出そうとしてまずは、複数のキーワードで上位表示を狙い、その後ある程度のPVやUUが集まってきたあとアクセス解析などを通じてコンバージョンを増やしていこうとするケースが多くありますが、これは失敗する可能性があるとおっしゃいます。
なぜなら、上位表示されたキーワードがコンバージョンするとは限らないからです。だからこそ、ただ一つの法則である、コンバージョンするキーワードで上位表示することが重要なのです。
「コンバージョンする検索キーワードは、多くの人が狙うのでSEO難易度が高くなります。結果コンバージョンとSEOの難易度には相関があることが多いです。ただ、月間検索数が多いからといってコンバージョンするわけではないので注意が必要です。あくまでコンバージョンするキーワードでの上位表示を目指しましょう。」
まとめ
1, SEOをやるべきかは、「チャネル」「キーワード」「担当者」の3つの視点で判断しよう!
2, 運用型広告的短期的な利益ではなく、長期視点を持とう!
3, SEOで売上をだすためのただ1つの法則「コンバージョン(CV)するキーワードで上位表示する」
最後にご紹介
▼矢萩 浩之さんのTwitter
https://twitter.com/deadseo
▼株式会社 クヌギのホームページ
https://www.kunugi-inc.com/
▼株式会社 クヌギが運営するマーケティング情報サイトのどんぐりも参考になります
■ライター まっちゃ(@kuppaoishii)