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おもいでのラーメン(ナンセンス小説 2024/2/18)
「ご注文どうぞー」
「店長さん、このラーメン屋ってけっこう昔からやっていますよね」
「はい、うちはかれこれ30年醤油ラーメン一筋でやってますよ。それがなにか?」
「私は小さい頃に祖父に連れられてこのラーメン屋に来たことがあるんです。それからは学業や仕事やで忙しくてこの町には来れていなかったのですが、あのときに食べた醤油ラーメンの味が忘れられなくてねえ……」
「それはそれは、ありがとうございます」
「ただ、ひとつ問題があるのです。あのときに食べたメニューと……頼み方が思い出せないのです」
「ほほう。頼み方っていうのは、麺の固さとかそいうもののことですか?」
「はい、何か特殊な頼み方をしていた記憶があるのです。アブラカラメとかヤサイマシマシとか、そういう感じのやつ」
「うーん、うちではあんまりそういうのやってなかったはずですが……普段ご希望を伺っているのは麺の固さと味の濃さぐらいですね」
「あれ、そうなんですか?いやでも、確かに祖父が何か言っていたんです……ええと……確か……ゆつだくだくとろだくねぎだく……」
「それ牛丼の頼み方ですよね?」
「すみません違いました。たしかネギが……えー……えっと……ネギアリネギナシネギネギ……」
「変わった名前の昆虫みたいになってるじゃないですか」
「これも違う……んーと……ああ、これかも。ヤサイアブラニンニクマトメテオイシークナーレ💛 マシマシ💛 キュン💛」
「私に何をさせたいんですか???本気で注文する気あります?」
「いえ、失礼しました……そうだ、今携帯で祖父に聞いてみます」
「おじいさんと連絡とれるんすか。初めからそうしてくださいよ」
「あ、レス来た」
「おじいさんめっちゃ返信はやいですね。どうでしたか?」
「バッチリ分かりました!えーと、醤油ラーメンをメンヤヤマシマシニクマシマシネダンチョイオタカメでお願いします!」
「かしこまりましたー、チャーシューメンの中盛りですねー」