児童演劇向け脚本「アリババと小人と40人の盗賊と靴屋の作り方」公開

こんにちは
今日も脚本の公開をしますね
今日公開するのは、以前市民文化祭で市内の小中学生を対象に応募を募り
集まった子供たちと10日間で演劇を創る企画で執筆した作品です
3年前から毎年やらせていただいているのですが、毎年脚本は集まった子供たちと話し合いをして作っていくスタイルを取っていて
この時は、みんなで「アリババと40人の盗賊」か「小人と靴屋」のどちらかをやりたいと言う意見が出たので、俺が提案して
両方やってみようか?と言うことで生まれた作品です
まさに俺の得意とするオーダーメイドでの脚本執筆です
これまで公開してきた脚本とはまた一味違った雰囲気を味わっていただけたら幸いです

作品情報
ジャンル  現代劇・コミカル・学園もの
上演時間  15分ほど
出演者   12名(児童11名大人1名)※変動可能
場面転換  無
上演難易度 低

登場人物
・男の子1
・男の子2
・男の子3
・男の子4
・男の子5
・女の子1
・女の子2
・女の子3
・女の子4
・女の子5
・女の子6

・先生

   舞台が明るくなると、11人の子供たちと先生がいる
   子供たちは2つのグループに分かれている

先生   
「多数決の結果、今度の文化祭の発表会でやるお芝居は『アリババと40人の盗賊』か『こびととくつ屋』のどちらかになりました。今からみんなで話し合って、どちらのお話をやるのか決めたいと思います。まず『アリババと40人の盗賊』が良いと思う人?」

   男の子1・3・5と女の子1・3・5が元気よく手を上げる

アリババ派 
「はーい!」
先生   
「次に『こびととくつ屋』が良いと思う人?」

   男の子2・4と女の子2・4・6が元気よく手を上げる

こびと派 
「はーい!」
先生   
「じゃあ、お互いに、自分がやりたいと思うお話の、良いと思う点を出し合っていきましょう。」
男の子1 
「はい!アリババは悪い盗賊をやっつけるので、良いと思います。」
アリババ派
「さんせーい!」
男の子2 
「こびととくつ屋も、おじいさんとおばあさんに優しくするので、そこが良いと思います。」
こびと派 
「さんせーい!」
男の子3 
「アリババは町の人の盗まれた宝物を取り返すので、偉いと思います。」
アリババ派
 「えらーい!」
男の子4 
「こびとも靴を買いに来た人たちを幸せにしているので偉いと思います。」
こびと派 
「えらーい!」
女の子1 
「アリババは知恵を使って盗賊を倒すから、知恵の大切さを伝えられていいと思います。」
アリババ派 
「知恵大切!」
女の子2 
「こびとだって、小さいのに一生けん命だから、頑張る事の大切さが伝わると思います。」
こびと派 
「頑張るの大切!」
女の子3 
「でも、こびとってどうやってやればいいの?難しそうじゃない?」
アリババ派 
「むずしそう!」
女の子4 
「そんなこと言ったら、アリババも「ひらけゴマ」の岩どうやるの?難しそう。」
こびと派 
「むずかしそう!」
女の子5 
「でもさ、こびととくつ屋ってあんまり有名じゃないし、何か地味じゃない?」
アリババ派
「じみー!」
女の子6 
「アリババだって、そんなに有名じゃないよ。「アラジンと魔法のランプ」の方が有名じゃん。」
こびと派 
「ゆうめい!」
男の子1 
「こびととくつ屋ってそんなに人出てこないよね?全員出られないんじゃない。」
アリババ派
「出られなーい!」
男の子2 
「アリババなんて盗賊40人も必要じゃん。足りないよ。」
こびと派 
「たりなーい!」
女の子1 
「おじいさんとおばあさんってどうやればいいの?分からないよ。」
アリババ派
「わからないよ!」
女の子2 
「アリババって人が死んだりするお話でしょ?怖いよね。」
こびと派 
「こわーい!」
女の子3 
「こびともいきなりいたら普通おどろくでしょ。」
アリババ派
「おどろく!」
女の子4 
「何で?こびと可愛いじゃん。」
こびと派 
「可愛いじゃん!」
アリババ派
「おどろく!」
こびと派 
「可愛い!」

   アリババ派、こびと派お互いのお話の悪い点を言い始める

先生   
「静かに!」

   全員、静かになる

先生   
「ねえ、みんな。先生は、お話の良い部分を話し合ってって言いました。悪い部分を話し合ってなんて言ってません。みんながそんな話し合いをするなら先生にも考えがあります。」
全員   
「考え?」
先生   
「『アリババ』と『こびととくつ屋』二つのお話を両方やります!」
全員   
「えー!」
男の子1 
「でも、発表会は一つのお話しか。」
男の子2 
「出来ないはずだよね。」
先生   
「そうです。だから、二つのお話をくっつけて一つのお話にします。」
男の子3 
「二つの話を。」
男の子4 
「くっつける?」
男の子5 
「ムリムリ、そんなの出来ないよ。」
先生   
「とっても難しいと思います。だから、みんなにも協力してほしいの。どうやったら出来ると思う?」
女の子1 
「どうやったらって言われても。ねえ?」
女の子2 
「うん。難しいよね。」
先生   
「例えば、どちらかのお話の中に、もう片方のキャラクターを登場させてみるのはどうかな?」
女の子3 
「アリババの中にこびとが出てきたりってこと?」
女の子4 
「くつ屋にアリババが来たり、とか?」
女の子5 
「それ面白そう!」
女の子6 
「うん。面白そうだね。」
男の子1 
「じゃあ、アリババの住んでる街にくつ屋があるとか。」
男の子2 
「くつ屋が盗賊に狙われてるとかじゃない?」
男の子3 
「盗賊がこびとだったりして。」
男の子4 
「簡単に退治出来そう。」
女の子1 
「こびとを退治するのはかわいそうじゃない?」
女の子2 
「うん。アリババと協力して欲しいよね。」
女の子3 
「じゃあ、こびとが盗賊を倒す。」
女の子4 
「どうやって?」
女の子5 
「履いたら死んじゃうくつを履かせる?」
女の子6 
「それは怖くない?」
男の子1 
「おじいさんとおばあさんが盗賊だった。」
男の子2 
「こびとは二人に利用されてたんだ。」
男の子3 
「おじいさんたちは悪くないでしょ。」
男の子4 
「やっぱり悪者は盗賊じゃない?」
男の子5 
「とうぞくがいい!」
先生   
「それじゃあみんな。みんなの意見を参考にして、やってみよう。」
女の子1 
「やってみるって?」
女の子2 
「どうやって?」
先生   
「実際にどんなお話になるかお芝居してみましょう。」
女の子3 
「でもお話し出来てないよ?」
女の子4 
「台本は?」
先生   
「ありません。今から台本の無い芝居。即興劇をやってみます。」
女の子5 
「即興劇。」
女の子6 
「あ、アドリブって奴?」
先生   
「そうです。今からみんなでアドリブで劇をやってみましょう。これをインプロヴィゼーション、「インプロ」と呼んだりします。正解はないので、みんなで楽しみながらやってみましょう。上手く行かなくても大丈夫、とにかく何が起こるか分からないことを楽しみましょう。先生も手伝うから大丈夫。はい、やってみましょう!」

   先生の合図でみんな戸惑いながらも始めようとする

先生   
「じゃあ、まずはおじいさんおばあさんを誰か。」
男の子1 
「(おじいさん)え~と・・・『いやあ、本当に助かったなあ、ばあさんや』」
男の子2 
「俺?(おばあさん)『そ、そうですねえ。おじいさん』」
男の子1 
『こびとのおかげでくつがちゃんと作れてよかった』
男の子2 
『ホント、いいこびとさんでしたね」
先生   
(男の子3・4に指示を出す)
男の子3 
(町の人)『やあ、くつやのおじいさんたち、嬉しそうだね。』
男の子4 
(町の人)『何か良い事でもあったのかい?』
男の子1 
『こんにちは。実はこびとがくつを作るのを手伝ってくれてね』
男の子2 
『そのくつがとってもいい出来で、ぼろ儲けなの』
女の子1 
「おばあさん、ぼろ儲けとか言わないでしょ。」
全員   
(笑う)
男の子3 
『へえ、それはすごいね』
男の子4 
『こんど僕にも作っておくれよ』
男の子1 
『ぜひ、お店に来てください』
先生   
(女の子1・2・3・4に指示を出す)
女の子1 
(盗賊子分1)『おい、聞いたか?』
女の子2
(盗賊子分2)『ああ、聞いたぞ』
女の子3 
(盗賊子分3)『こびとがくつを作るんだって?』
女の子4 
(盗賊子分4)『ぼろ儲けだって?』
女の子1 
『よし、おやぶんに報告だ』
女の子2・3・4 
『おう』
男の子5 
(ナレーション)『次の日!』
男の子1 
『ああ、困ったな、困ったな』
女の子5 
(町の人)『こんにちはくつやさん。どうしたの?』
女の子6 
(町の人)『何かあったの?』
男の子1 
『実はこびとがいなくなってしまったんだ。ああ、困った』
女の子5 
『困った時は、アリババに相談してみたら?』
女の子6 
『アリババー!』
先生   
(男の子2に指示を出す)
男の子2 
(アリババ)『やあ、アリババだ。こびとがいなくなっちゃったって?』
男の子1
『そうなんです』
男の子2 
『もしかしたら盗賊の仕業かも知れないな。よし、調べてみよう』
女の子5 
『あの山の中に盗賊の隠れ家があるらしいよ』
女の子6 
『こうしてアリババは山に行きました』

   男の子2以外は横に行く

男の子2 
『この辺りに盗賊の隠れ家があるはずなんだけど・・・何も見当たらないぞ。あ、向こうから盗賊が来る』

   女の子1を先頭に、全員やってくる

女の子1 
(盗賊お頭)『よーし、おまえたち。今日もお宝をたっぷり手に入れたな』
全員   
『おう』
女の子1 
『よし、じゃあお宝を隠れ家にしまおう。せーの』
全員   
『ひらけー、ゴマ!』
先生   
「岩が動きまーす!ゴゴゴゴゴゴゴ。」
全員   
『ゴゴゴゴゴゴゴ!』
男の子2 
『あんなところに隠れ家があったんだ』
女の子3 
『何か聞こえたぞ』
女の子4 
『何?』
男の子2 
『しまった・・・(ごまかす)ニャ、ニャ~』
男の子1 
『何だ、アメリカンショートヘアか』
男の子3 
『鳴き声で種類まで分かるのか』
男の子1 
『ウチで飼ってるから』
全員   
『なるほど』
女の子1 
『さあ、お宝をしまおう』
全員   
『おう』

   盗賊たちお宝をしまう

男の子4 
『しまいました』
女の子5 
『岩を閉めます』
全員   
『とじよー、ゴマ!』
先生   
「岩が閉まりまーす。ゴゴゴゴゴ。」
全員   
『ゴゴゴゴゴ!』
女の子1 
『じゃあ、お昼ご飯を食べに行こう』
全員   
『おー!』

   盗賊たち、一度横へ

男の子2 
『よし、いなくなったな。確か・・・ひらけー、ゴマ』
全員   
『ゴゴゴゴゴ!』
男の子2 
『お宝がたくさんだ。あ、そこにいるのは、こびとさん?』
先生   
(男の子3・4と女の子5・6に指示を出す)

   こびとは男の子3・4が動き、女の子5・6が声を担当する

女の子5 
『きみはアリババ』
女の子6 
『助けに来てくれたの?』
男の子2 
『おじいさんに頼まれて』
女の子5 
『ありがとう』
女の子6 
『ありがとう』
男の子2 
『さあ、くつやに帰ろう』
女の子5 
『ちょっと待って』
女の子6 
『今逃げても、すぐにばれてしまう』
女の子5 
『アリババも盗賊に仕返しされちゃう』
女の子6 
『だから明日まで待って』
男の子2 
『明日?』
女の子5 
『盗賊をこらしめる作戦があるの』
女の子6 
『だから明日まで待って』
男の子2 
『分かった。明日また助けに来るよ』
女の子5・6 
『ありがとう』
男の子5 
『次の日!』
先生   
「一度ここで役を変えましょう。」
男の子3 
「アリババやりたい!」
女の子2 
「じゃあ私お頭!」
女の子3 
「こびと!」
女の子4 
「私も!」
先生   
「いいね!それじゃああと少し頑張ろう!」
全員   
「はーい!」

   ここからアリババを男の子3、お頭を女の子2、こびとの動きを女の子5・6、台詞を女の子3・4

男の子3 
『こびとさん。助けに来たよ!』
女の子3・4 
『ありがとう!』
男の子3 
『じゃあ、早く町へ帰ろう!』
先生   
「しかし、そこへ盗賊が帰ってきてしまいました!」
女の子2 
『待てそのこびとを連れて行かせるわけにはいかないぞ』
男の子1 
(盗賊)『そのこびとには良いくつを作らせるんだ』
男の子2 
(盗賊)『そのくつを売って大儲けするんだ』
女の子1 
(盗賊)『こびとを置いていけ』
女の子2 
『言う事を聞かないと、痛い目を見ることになるぞ』

   盗賊たち、剣を持っている

女の子3 
『アリババ、逃げて』

   男の子3、逃げる
   盗賊たち追う

盗賊たち 
『待てー!』
女の子3・4 『今だ!しずめ~、ゴマ!』

   こびとが呪文を唱えると、盗賊たちその場で転ぶ

盗賊たち 
『うわぁ!』
女の子2 
『なんだこれは?』
男の子1 
『おやぶん、急にくつが重たくなりました!』
男の子2 
『これじゃあ歩けません』
女の子3 
『昨日、盗賊のくつに魔法をかけておいたんだ』
女の子4 
『呪文を唱えると重たくなるんだよ』
男の子4 
『治った、もう逃がさないぞ!』

   盗賊たち、また追いかける
   アリババ逃げる

女の子3・4 
『しずめ~、ゴマ』

   盗賊たち再び転ぶ

盗賊たち 
『うわあ!』
女の子2 
『チクショウ!またか!』
男の子1 
『みんなくつを脱ぐんだ』
男の子2 
『おう。あれ?くつが脱げない』
男の子4 
『どうなってるんだ』
女の子3 
『さあ、アリババ』
女の子4 
『盗賊を捕まえよう』
男の子3 
『うん!』

   アリババ、ロープで盗賊たちを捕まえる

盗賊たち 
『しまった~』
男の子3 
『やったぁ!』
女の子3・4 
『やったぁ!』
先生   
「こうしてアリババとこびとが協力して盗賊を退治しました。さあ、最初の目的は何だっけ?」
男の子3 
「え~と・・・あ、そうだ!『くつやのおじいさんとおばあさんの所へ帰ろう』」
女の子3・4 
『うん』
先生   
「みんなは町の人へ変身!」

   盗賊役のみんなが町の人に変わる
   男の子1はおじいさん
   男の子2はおばあさん

男の子3 
『おじいさん、おばあさん。おびとさんを助けてきたよ』
男の子1 
『ありがとう、アリババ』
男の子2 
『これでまた素敵なくつが作れますね』
女の子3・4 
『ただいま、おじいさん、おばあさん』
男の子3 
『盗賊に奪われた宝物も取り返してきたよ。もう、この街は平和になったんだ』
女の子1 
『ありがとうアリババ!』
町の人  
『ありがとうアリババ!』
先生   
「みんなでアリババに拍手!」

   みんな拍手

先生   
「はい!ここまで。どうだった?みんな。」
女の子5 
「楽しかった!」
女の子6 
「うん、楽しかった!」
先生   
「どっちのお話も良い所があったよね?」
男の子1 
「最初はこびとなんて目立たないと思ってたけど、すごかった。」
男の子2 
「俺もアリババは難しいと思ってたけど、楽しかった。」
男の子3 
「こびととくつやもやりたくなってきた。」
男の子4 
「アリババもいいよね。」
女の子1 
「二つのお話の良い所を合わせるって楽しいんだね。」
女の子2 
「相手の悪い所ばっかり探してたけど、良い所をみつけるのって面白い。」
先生   
「そうだね。お互いの良い所をみつけて、協力できるようになると新しい物が生まれる事があるんだよ。これは、お芝居だけじゃなくて、何でもそう。勉強もスポーツも、一人じゃ出来ないこともみんなで力を合わせれば何でも出来るかもしれないよ。」
女の子3 
「じゃあ、もう一回やろうよ。今度は違うお話も混ぜてみようよ。」
女の子4 
「いいね。やろうよ。」
男の子5 
「やろうやろう!」
男の子4 
「今度は僕もアリババやってみたい!」
女の子1 
「私も!」
男の子1 
「僕はこびとやりたいな!」
男の子2 
「僕はおやぶんやる!」

   みんなで楽しそうに話しながら幕が降りる
   

おわり


最後まで読んでいただきありがとうございました
児童向けなので、なるべくみんなが順番に台詞を喋れるように書きました
男の子5だけは上演時に小学生低学年の子だったので台詞を少なめにして
でもしっかりと大事な部分を務めてもらうと言う形で頑張ってもらいました
子供たちが全力で演じている姿は本当に良い物です
こう言った作品も書いているので、どんな作品でもお気軽にご依頼ください

※木田博貴作品を自分たちも上演したいよ!と言う方・団体様は一度ご連絡ください。基本上演は歓迎ですので。なお、無断上演はお断りしています。

※また木田博貴作品を「漫画」や「映像作品」などにしたいよと言う方も大歓迎です。是非一度ご相談ください!コラボレーションしましょう!

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HIROKI KIDA
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