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長回しによる不思議な共感 -象は静かに座っている フー・ボー


29歳の中国の映画監督。この映画を作り終えて自殺する。才能のある若い映画監督がなぜ自殺しなければなかったのだろう。

ストーリーを追うための映画ではない。

時間を圧縮しようともしない。会話でもう一人のキャラクターが話していたもカットバックしたりフォーカスが移動したりもしない。極めて浅いフォーカスで、話している相手はぼやけたまま会話が続き、沈黙が支配する。中国の内陸部の灰色で埃っぽい都市の中、長回しによる不思議な共感を作り上げる。まるで灰色の中国の街に囚われてしまった感覚になる。

役者も自然でパワフル。長回しの長い沈黙を演技するのは難しかったに違いない。

フー・ボーは初めから4時間の映画を作るつもりだった。

映像を撮ってる者にはこういう場ではこういうカット割りだ。こう撮影するものだというルールに、無意識に囚われていることを感じさせてくれるかもしれない。

これほど長い映画は配給が難しいのだろう。彼が自殺しなければこの4時間版が世に出なかったかもしれないということもまた灰色の埃に囚われる感覚になる。

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