写真で振り返る「鮭の聖地」モニターツアーレポート!(後編)
2022年の10月中旬。日本遺産「鮭の聖地の物語〜根室海峡1万年の道程」のコンテンツを活用したモニターツアーが標津町で開催された。
2泊3日に及ぶ日程で、1日目にはサーモン科学館でキーとなる「鮭」についての知識を深めた後、チャーター機で根室海峡上空を遊覧飛行などのツアー、2日目は根室海峡周辺の地域の開拓の歴史を深掘りするコンテンツを体験した。
3日目。
最終日は早朝の漁港から始まる。
これぞ鮭の聖地!旬の秋鮭の水揚げの様子を目の前で見学!
「もうすぐ戻ってくるかな」
朝5時。
辺りはまだ暗く静けさの残る早朝の標津港で船の帰りを待つ漁師の1人がそう呟いた。
5分後、その予言通り1隻の船が港に帰ってきた。
船に乗る漁師さんたちの顔には少し笑顔が見える。大漁だったのだろうか。
秋の早朝の標津港は静かな町中と打って変わってとても賑やかになる。
そう。秋鮭漁の最盛期だからだ。
「おい!揚げるぞ!!」
「はい!」
網にパンパンに入った鮭たちが船から次々に揚がってくる。これほど大量の鮭を一度に見たことがない。ものすごい迫力だ。
迫力のシーンは水揚げだけではない。揚がってからの漁師たちの動きにも注目だ。
揚げられた鮭たちはまずオスとメスに分別される。そこからさらに大きさなどでランクごとに分けられていくのだが、そのスピードがとんでもなく早い。まるで2倍速で映像を再生している?と感じるほどだ。
「鮮度が命」。
素人には全く同じに見える鮭を一瞬でオスメスの判断をして氷水の入ったカゴへと入れていく。
大量の鮭が揚がってくる姿と漁師たちの手際のいい作業に見入ってしまい、いつの間にか辺りは明るくなっていた。
水揚げの様子はまさに「百聞は一見にしかず」。
ぜひ、自分の目で見てほしい光景だ。
地元ガイドと行く!「標津の町歩きツアー」
標津港での水揚げを見学した後は、地元ガイドとともに町歩きツアーを体験。
港を出発し海岸沿いを歩きながら町の要所を巡りつつ、ホテルまで戻るという内容だ。
案内してくださるのはアウトドアガイドとして活躍する根室海峡ローカルガイドamutokiの齋藤 智美さん。
手に持っているものは幕末頃に描かれたという「標津番屋屏風絵」の写真だ。その絵に描かれている標津の町並みと今の町並みを見比べながら歩くと面白い。意外にも幕末も今も大きく区画などが変わっていないことを知った。
港付近はとても見応えがある。
漁のシーズンではないホタテ漁の漁船やドック入りした船が陸に数々と上げられていた。海上では小さく見えていた漁船も近くで見ると想像以上に大きい。真横を歩きながら巡っていく。迫力満点だ。
最後に標津神社へと向かった。
ここは齋藤さんが手にしている屏風絵の写真にも描かれている神社で、幕末当時から神社のある位置も全く同じだという。屏風絵には神社が大きく細かく描かれており、実物と見比べながら境内を歩いた。
2500個以上もの古代の竪穴住居跡が残る「ポー川史跡自然公園」
3日目最後は古代の竪穴住居群が残る「ポー川史跡自然公園」へと向かった。
自然公園内に「国指定史跡伊茶仁カリカリウス遺跡」があり、その遺跡には2500箇所以上にも及ぶ数の竪穴住居の跡が残されているという。
ここまでの数の住居跡が1ヶ所に集中して確認されるのは他に例を見ないそうだ。
この古代の歴史が残る自然公園内を案内してくれたのが、標津町観光ガイド協会の井南 進さんだ。
広い敷地内を井南さんの後をついて行きながら巡る。
遺跡についてだけでなくこの地域の自然環境まで一つひとつ分かりやすくユーモアを交えながら解説してくださるのが印象的だ。
自然公園の入り口には「ポー川史跡自然公園歴史民俗資料館」があり、遺跡についてのパネルや遺跡から発掘された土器などが展示されている。
資料館の他にも、復元した開拓時代の建物や標津湿原を歩くことのできる遊歩道など見どころが多いのも特徴だ。
ぜひ時間に余裕があれば湿原歩きに出かけてみてもいいかもしれない。
「鮭の聖地」を深掘りする2泊3日のモニターツアー
日本遺産「鮭の聖地の物語〜根室海峡一万年の道程」のコンテンツを活用したモニターツアーの全てのプログラムを終えた。
鮭という存在がここまで町や地域、もっといえば北海道の発展にここまで関係していたということに驚く。
鮭が古代の民族の生活を支え、日本(本州)そして国境を超えた交流を生み、沿岸部の発展、そして内陸の開拓をもたらした。鮭は新しい時代へとバトンを繋いできたそんな存在なのだ。
その拠点である標津・根室海峡エリアはまさに「鮭の聖地」といえよう。
地域の発展はこれからも続いていく。次はどんな世界へとこのバトンは繋がっていくのだろうか。
「鮭」というキーワードを頼りに一万年の軌跡と未来へ繋がる旅をあなたも辿ってみてはいかがだろうか。
《3日目のツアー内容》
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