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知ったらフツウのキャンプに戻れない!?【しべつ「海の公園」オートキャンプ場】

皆さんは北海道のキャンプ場と聞いて、どんな場所を思い浮かべますか?
豊かな森の片隅、美しい湖畔、田園地帯の丘陵、ハマナスが咲く海辺……。
いずれにしても、町から離れた自然のど真ん中!のような環境をイメージするのではないでしょうか? 少なくとも、私はそうでした。
 
今回ご紹介するのは、そんなキャンプ場のイメージをくつがえす異色の存在。根室海峡に面した標津町にあるしべつ「海の公園」オートキャンプ場です。
 
先ほど挙げた環境の分類でいえば、ここは海辺。湾になった前浜には石組みの磯遊び場があり、タイドプールのように泳ぐ魚を追いかけたりサワガニを捕まえたり、小さな子どもも安全に遊ぶことができます。

さらにその先には釣り突堤が整備され、投げ釣りでカレイやソイ、カラフトマスなど季節の魚を釣ることも。管理棟で釣り竿のレンタルや仕掛け・エサの販売もしているので、手ぶらで急に思い立っても釣りができるという気楽さです。

キャンプエリアは3つに分かれていて、フリーサイトがテント1張り1泊310円〜、オートサイトが1区画1泊3140円、バンガローが1泊5240円、清掃協力金が200円です。

良心的な利用料で海遊びもできるのはうれしいけど、けっこう普通じゃない……?
と思いました?
では、何がほかのキャンプ場と違うのか。
 
今回は標津町在住にも関わらず「月に2度はこのキャンプ場に泊まっている」というヘビーユーザーの土谷ファミリーにご協力いただき、実際にキャンプする様子を見せていただきました!


キャンプを始めたきっかけは?

昼過ぎにキャンプ場へやってきた土谷ファミリー。土谷悠介さん&枝里子さんご夫妻、6歳の奏士朗(そうしろう)くんの3人です。手慣れた様子で設営を始めると、ものの10分で居城の大半が完成してしまいました。

ひと息ついたところで、まずはキャンプを始めた理由を聞いてみました。
 
「子どもが1歳半くらいの頃だったかな、『子どもと何かしたいね』という話をするようになったんです」と枝里子さん。
一般的な家族旅行は、たとえば温泉旅行やイベントに合わせた旅など、大人が中心になって行き先や宿泊施設を決めますが、悠介さんは「それだと大人は楽しくても、もしかしたら子どもは楽しめないかもしれない」と考えたといいます。
 
子どもを中心に考えた時、外で思い切り走り回ったり自然の中で遊びを見つけたりできるキャンプが頭に浮かびました。

「キャンプ道具は防災の面から見てもいざという時に使えます。宿に泊まるとお金がかかり続けますが、キャンプ道具は一度そろえてしまえば長く使えて経済的です。といっても、新しいアイテムを見るとつい欲しくなってしまうんですが……(笑)」
と顔を見合わせるお二人。

キャンプだ!と決めたあとの行動は早く、札幌のアウトドア用品店でテントや寝袋など基本的な道具一式を買い、その足で北広島市のキャンプ場へ行ってしまったそう。ところが気温が低くて寒く、翌日に電気ヒーターを買い足して、さらに別のキャンプ場をハシゴしたといいます。すごい行動力……!

“地元キャンプ”にハマる人続出!

キャンプというとちょっと遠出して別の地域の環境とアウトドアを楽しむイメージです。車中泊仕様のハイエースまで購入した土谷家ですからもちろん他の地域へキャンプに出かけますが、じつは地元で楽しむことも多いのだそう。
 
悠介さんは標津町のご出身、枝里子さんは釧路方面から標津町に移住して11年になります。地元は知り尽くしているご家族が、なぜ近所でキャンプをするのでしょう?
 
「コロナでなかなか出かけづらくなっていた時期も、キャンプ場なら地元でも子どもは楽しいんじゃないか? というのがまず1つ。あと、これは地元ならではですけど、忘れ物があってもすぐに取りに行けること(笑)。友人に『来ない?』と声をかければすぐ集まれるというのもいいんですよね」
 
枝里子さんは大のビール党。この日も近所の酒屋さんにビールサーバーを借り、キャンプをしながら生ビールを嗜むというなんとも贅沢な状況を見事に作り上げていました。

土谷家が町内のキャンプ場で何やら楽しそうにしていることを知り、“地元キャンプ”を始める標津町民も徐々に増えてきたのだとか。知らないうちに、標津町のキャンプシーンを牽引していたんですね!

ここが違うよ!しべつ「海の公園」オートキャンプ場

さて、ここで最初の話題に戻りましょう。しべつ「海の公園」オートキャンプ場は一般的なキャンプ場と何が違うのでしょう?
 
「一番は、町の中心部にあるということ。キャンプ場ってほとんどは町から離れた静かな環境にあると思うんですけど、ここはコンビニに歩いて行けるし、なんならご飯を作らなくても飲食店に食べに行くこともできちゃう。日帰り温泉だってすぐそこです」
 
そう。このキャンプ場があるのは標津町の中でも飲食店や旅館が集まっているエリアの海辺。徒歩数分で国道へ出るので、セブンイレブンや日帰り入浴ができる温泉宿、郷土料理店、さらにはスナックやバーまで歩いていける環境なのです……!!
せっかくなので、他を凌駕する圧倒的なアーバンスタイルを列記してみましょう。

  1. コンビニまで徒歩3分

  2.  徒歩圏内に日帰り温泉入浴ができる宿がある

  3.  居酒屋やスナックもすぐそこ

  4.  出前だって頼める

  5.  精肉店、鮮魚店に歩いて行ける

  6. キャンプ中にアクティビティに参加することも

  7. バンガローが宇宙的
    (6,7が気になった人は後述しますので読み進めてくださいね。)

「キャンプの醍醐味はキャンプ飯でしょ!」というデキるキャンパーさんたちには、キャンプ中に外食なんて御法度の極みかもしれません。
しかし私のようにアウトドアに慣れていない者にキャンプ飯のハードルは高い。高すぎる。
外での後片付けも正直面倒くさいし、そもそも調理道具をそろえるのも億劫。だから誘われない限り自らキャンプに行くことはないのですが、そんな私でも「え?居酒屋いけるの?」となれば、テントやバンガローで寝る楽しみも手伝って、「キャンプしたい!」と盛り上がれます。

スーパーはないけど買い物には困らない

ところでキャンプの食材準備といえば、キャンプ場に着くまでの間にスーパーに寄って買い出しをして、現場に着いたら腰を据える……という流れが一般的なのではと思います。
 
標津町の海沿いにはスーパーマーケットがありません。
しかしこの日、土谷家は設営のあと「じゃあ、そろそろ……」と買い出しへ繰り出しました。
 
まず訪れたのは、キャンプ場から徒歩2分ほどの魚屋さん「魚柴」。
塩鮭の切り身やカレイ・こまいの干物、タコ足、お酒のつまみになりそうなホヤやめふんも並んでいます。夕方16時までの営業ですが、キャンプの準備をしながらパッと買いに来られる距離感が非常にいい……!
土谷家は地元でとれた活アサリを購入しました。

次に、1kmほど離れた場所にある「海鮮スイーツファクトリー ホニコイ」へ向かいます。地元の水産加工会社「マルサフーズ」が手掛け、2023年4月にオープンしたばかりの新店舗です。

店内は標津町のいいものをセレクトしたアンテナショップのような様相。鮭やイクラ、明太子などを使った「北の海鮮まん」や、しべつ牛乳100%のソフトクリーム、ホタテの形のおやき、地元のベーカリーのパンなどすぐに味わえるものも販売しています。
そしてもちろん、標津産の鮭やイクラ、ホタテなどの加工品も豊富です。

中でも「ホッキ飯寿司」「帆立飯寿司」の存在に「そんな飯寿司見たことない!」と驚いていると、土谷家の買い物カゴに当たり前のように鎮座していました。

さらに立ち寄ったのは「ぎんれい精肉店」。キャンプ場からまっすぐ来ると徒歩3分ほどの場所にあります。

牛、豚、ラム肉を好みの料理や厚さ、重さで注文する伝統的な精肉店スタイル。土谷家はぎんれい特製のタレに漬け込んであるという味付きジンギスカンをお買い上げ。

大型スーパーは近くにありませんが、こんな風に昔ながらの専門店で食材を買い集めていると、なんだか標津町の暮らしを体験しているような気持ちになりますね!
 
買い物について、さらに豆情報をひとつ。
キャンプ場の駐車場から歩いてすぐの南側には、現役の漁師さんが手掛ける海産物の直売所「波心会(はっしんかい)」があります。人がいればホッカイシマエビや干物などを購入できますので、ぜひ声をかけてみてくださいね。
事前にinstagramから来店したい旨をDMしておけば安心です。

キャンプ中やキャンプの前後に参加できるアクティビティが豊富!

リゾートホテルなどでは滞在中にその土地の環境を楽しむようなアクティビティに参加できたりしますよね。
ここ、標津町には南知床の自然環境や郷土料理、漁師さんのお仕事などを体験・見学できるアクティビティがとっても豊富にそろっているんです。

たとえばキャンプ中に「標津海の公園投げ釣りガイド」に参加すれば、釣りが初めての人も、釣り上げた自慢の魚をキャンプ飯に加えることができるかも!

9月〜11月中旬頃の鮭の漁期であれば「鮭の荷揚げ見学」がおすすめ。キャンプ場で目覚めた朝、標津漁協に帰港したばかりの漁船から鮭が水揚げされる大迫力のシーンを間近で見られるなんて、この町ならではの体験です。

その鮭を使った「いくらづくり体験」や「新巻鮭づくり体験」、一万年前から続く鮭と人とのストーリーを学びカヌー下りを楽しめる「原始河川ポー川カヌー体験」などなど、テントの設営前やキャンプ中、チェックアウト後にも参加できる、そして大人も子どももワクワクできるアクティビティがいっぱいなのです!

キャンプ場では電動クロスバイクを借りることもできますので、普通の自転車じゃちょっと大変な野付半島へも気軽に遊びに行けます。

▼詳細、ご予約はこちらをチェックしてくださいね。
しべつ「海の公園」オートキャンプ場 特設サイト
https://campsite.visitshibetsu.com/
キャンプ場予約サイト「なっぷ」

コンパクトな施設だからゆっくり過ごせる

買い物を終え、キャンプ場へ戻ったあとは、ビールを飲みながらぼちぼちと料理を開始。
その間に奏士朗くんは友達と一緒に自転車で走り回ったり、水風船で遊んだり、家の中ではできない遊びに夢中です。
「他のキャンプ場へ行ってもいつの間にか近くにいた子どもと仲良くなってる」と枝里子さん。子どもは遊びの天才です。

この日、テントを張ったオートサイトには、各区画ごとに単独で使える電源と炊事場が付いています。
ちょっとしたこと、たとえば調理中に手についた調味料を洗い流したい……といった時にもストレスなく作業ができるのはありがたい。

ちなみに電源ボックスと蛇口が付いている柱に表示された区画名が、「ホタテ」「カラフトマス」「ホッカイシマエビ」など海産物の名前なのもユニーク。

フリーサイト側にも共同炊事場が2ケ所あり、トイレは管理棟の清潔な施設を利用します。広すぎるキャンプ場は炊事場が遠かったり管理棟まで車移動が必要だったりなんて場合もありますが、ここはどこへ行くにも手間のかからない広さ。そのぶん、自分の拠点でゆっくりと過ごせそうです。

「最近はマルチグリドルにハマっていて、それひとつで料理をしてしまうので火はおこさないんですけど」と言いつつ、この日は薪も使ってキャンプ料理をテキパキと作る土谷家。

標津名物の鮭節や道産カジカなどから作った「THE北海道だし」入りの焼きそばに、塩鮭、ジンギスカン、アサリの酒蒸しなどなど、標津町の味づくし!

友人家族も集まって、おしゃれなランタンやガーランドライトに照らされながら、ゆっくりと夜が更けていきました。

最後に、ちょっと変わったバンガローのお話。

ここでキャンプをしたことはなかったものの、海の公園にはたびたび訪れていた私が以前から「この箱は宇宙船……?」といぶかっていたのがコレです。

ピカピカ光る、丸みを帯びた銀色のカプセルのようなこの箱が、じつはバンガローなのです!「ogawa」のテントで知られるアウトドアブランドの老舗、キャンパルジャパンがかつて製造していたというレアなバンガローなのだそう。
オートサイトの奥に4棟が点在するバンガローはそれぞれ、「国後島」「歯舞諸島」「色丹島」「択捉島」と命名されているのがなんとも根室海峡らしいではありませんか……!
 
中を覗いてみたかったのですが、この日はすべて予約が埋まっていて断念。台所や給電のあるロフト式の空間になっているそうです。

晴れた日は国後島がすぐそこに見える根室海峡の沿岸で、海遊びや土地の味を楽しめる、そして居酒屋やバーへも繰り出せる、しべつ「海の公園」オートキャンプ場。皆さんもぜひ足を運んでみてください。
とくに週末はオートサイトやバンガローが人気なので、ご予約はお早めに!

▼キャンプ場検索・予約サイト「なっぷ」から予約できます。
https://www.nap-camp.com/hokkaido/13315


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