写真で振り返る「鮭の聖地」モニターツアーレポート!(中編)
2022年の10月中旬。日本遺産「鮭の聖地の物語〜根室海峡1万年の道程」のコンテンツを活用したモニターツアーが標津町で開催された。
2泊3日に及ぶ日程で、1日目にはサーモン科学館でキーとなる「鮭」についての知識を高めた後、チャーター機で根室海峡上空を遊覧飛行するなど注目コンテンツを体験。
ツアー1日目の行程は前編に
2日目は根室海峡周辺の地域の開拓の歴史を深掘りするコンテンツを体験した。
これぞ世界の果て。日本最大の「砂」の半島、野付半島へ
ホテルで朝風呂に浸かり、脳を覚醒。涼しい風と秋晴れが気持ち良い2日目の朝。
ツアーに参加した我々は「野付半島」へと向かった。
この野付半島は個人的に日本でもっとも「世界の果て」を感じることができる場所だと思っている。
まず道路の両端が海。右を見ても左を見ても海。その奥にはミズナラの木などが海水侵食され立ち枯れたまま林を形成している「ナラワラ」が見える。その姿が「世界の果て」感をより一層演出するのだ。
野付半島を車で奥まで走っていくと、木造の建物が現れる。
ここは「野付半島ネイチャーセンター」だ。お土産のほか、野付半島の独特な自然環境の成り立ちや生息する動植物の生態などを学ぶことができる。
奥にうっすら見えるのは「国後島」だ。
ネイチャーセンターのある付近が最も国後島に近い場所とされる。その距離はたったの約16km。昨日、機内からみた時よりもさらに近く大きく見える。「こんなに近い島だったのか」と改めて感じさせられる瞬間でもあった。
開拓の歴史を辿る「加賀家文書館」「旧奥行臼駅逓所」
続いてやってきたのは「加賀家文書館」。
加賀家とは根室海峡エリアの発展の第一人者と言っても過言ではない一族。
時は幕末、アイヌと和人の交流が盛んに行われていた時代にアイヌ語の通訳として活躍した加賀家。当時に残した資料とともに幕末から明治にかけての発展の様子を学ぶことができる。
加賀家文書館を後にし、続いては「旧奥行臼駅逓所(きゅうおくいきうすえきていじょ)」へとやってきた。
ここは明治から大正、昭和初期にかけて人馬の休憩所・宿泊所として設置された場所だ。
明治ごろから沿岸部だけでなく本格的な内陸の開拓が進んでいった。鉄道が未発達だったこの当時において、駅逓所は内陸の開拓には欠かせない重要拠点として活用された。
室内は「和の要素」がふんだんに取り入れられている。北海道でこのような日本建築の考えに忠実に沿った建造物を見るのはとても新鮮に感じられた。
牧草で育った和牛が絶品!「明郷 伊藤☆牧場」
ここでお待ちかねのお昼タイム。
かなり内容の濃い2日目の朝だったなと改めて落ち着いて振り返る。
ランチでやってきたのは「明郷 伊藤☆牧場 レストランATTOKO」。
ここで牧草だけで育った和牛「根室短角牛」のハンバーグステーキをいただく。なんて贅沢なお昼休みなんだろうか。
牧場にはレストランの他にも様々な施設や体験プログラムが用意されている。
レストランのすぐ近くには雑貨屋・喫茶があり、そこで食べられるソフトクリームがまた絶品だ。
体験プログラムでは酪農体験やキャンプ場のほか、旧標津線の線路跡を活用したフットパスツアーなども体験できる。
レストランでハンバーグやソフトクリームを美味しくいただいたあとは、フットパスツアーへと向かった。
明郷 伊藤☆牧場オーナーと行く!厚床フットパスツアー
牧草地の広がる北海道を車で走っていて、皆さんも一度はこう思ったことがあるのではないだろうか。
「牧草地走りてぇ〜〜」
私もそのうちの1人だ。
何度、牧草地を見てはハイジのように「走りたい」「寝たい」「転がりたい」と思ったことだろう。
だが現実問題、牧草地は私有地であり、農地であり立ち入ることはできない。今回はそんな以前からの願いが叶う瞬間だった。
夢に見たあの牧草地を自由に駆け抜ける。ひとこと言って「最高」である。とてつもなく気持ちがいい。
牧場のオーナーが案内してくれた「ザ・北海道」と感じられるようなこの場所は「もの思いにふける丘」と呼んでいるらしく、オーナーが何か悩んだり迷ったりした時によく足を運んだ場所らしい。
360度、どこまでも続く地平線。
改めて北海道の壮大さを感じることができた。
根室の歴史を紐解く「根室市歴史と自然の資料館」と「ノツカマフチャシ跡ガイドプログラム」
2日目最後のプログラムで根室市へ向かった。やってきたのは「根室市歴史と自然の資料館」。
根室を中心とした歴史と自然にまつわる資料が多数展示されている。
かつての学校というような風貌の建物は元・海軍通信隊拠点として使われていたものだそうだ。建物からも歴史を感じることができる。
館内には、根室エリアに生息する動物の剥製が多数展示されているほか、根室市近郊で出土したオホーツク文化時代の石器や土器から、ラクスマンの来航に関連する資料、樺太に関連する近代の資料など幅広い歴史の資料が展示されている。
さらに根室エリアの歴史を深掘りするため、我々は海を望むことができる崖上へと向かった。一見何もないような岬にも見えるが、ここにはかつてのアイヌ民族が築いた「チャシ」と呼ばれる場所が残されている。
草の生い茂った崖の上に突如、まるで土俵のように少し小高く土が盛られた場所が現れた。これが「チャシ」だ。
「チャシ」とはアイヌ語で「柵囲い」という意味を持ち、アイヌの人々はこの場所を砦や見張り台、祭事や話し合いの場などと様々な用途で使用していたとされる。
訪れた「ノツカマフ1号2号チャシ跡」は2つのチャシを見比べられるのも面白い。
先ほどの写真と上の写真を見比べると、写真2枚目のチャシは周りがお城の堀のように深くえぐられていることがわかる。つまりこちらのチャシは砦や見張り台などの防衛拠点としての役割が大きかったということがわかる。
このような歴史にまつわる話はプログラムのガイドによって詳しくわかりやすく解説してくれる。ガイドとともに根室エリアの歴史を深掘りしてみてはいかがだろうか。
標津の食材をふんだんに使用した料理に酔いしれる「標津川温泉ぷるけの館ホテル川畑」
長い旅路を終え、標津町の「標津川温泉ぷるけの館ホテル川畑」へ戻ってきた。
お待ちかねの夕食はホテルでいただく。
柔らかくジューシーで口の中で溶けてしまいそうな「標津牛ステーキ」に、野付半島近海で獲れた「北海シマエビ」、オヒョウや帆立、鮭の刺身や天ぷらなどなど。
この日は「標津」を丸ごと味わえるような料理をいただくことができた。
海の発展を支えた漁業、そして陸の発展を支えた酪農・畜産業。このように根室海峡エリアの発展を食を通じて体験できるのもこのツアーの魅力とも言えるだろう。
これにて2日目が終了。
夕食をいただいた後はゆったりと温泉に浸かってこの日の疲れを癒す。
風呂から上がったと同時に眠気に誘われた。
明日の最終日は早朝に鮭の水揚げを見られるプログラムがある。とても楽しみだ。
今日は早めに寝るとしよう。
《2日目のツアー内容》
野付半島
ノツカマフ1号2号チャシ跡
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