共同親権制度とDVと面会交流支援
(一社)びじっと・離婚と子ども問題支援センター代表理事の古市理奈と申します。普段は大法寺の副住職を務める身であります。
びじっとは、面会交流支援を行う民間のボランタリー団体になります。
さてさて。いま、日本の親権制度を単独親権制度から共同親権制度へ移行させようという動きがでています。
単独親権制度から共同親権制度に移行されたとして、面会交流支援団体は対応できるのだろうか?
そんな不安があったり致します。
厚生労働省の最新の全国ひとり親世帯調査報告書は、平成28(2016)年度のものになります。
ひとり親になった理由は、母子世帯79.5%、父子家庭75.6%が離婚でした。
自立面会交流が出来ているのは、母子世帯18.9%、父子家庭29.1%でした。
末子の年齢は、母子世帯では未就学児16.1%、小学生30.5%。父子世帯では、未就学児9.8%、小学生26.1%になります。
つまり、父母間の葛藤性が高い場合、子どもが自分の意思によって、別離の親に会うことは、なかなか厳しい年齢ともとれます。
昨年は離婚や別居によって親に会えなくなったのは、国が親子の面会交流権を定める立法を怠ったからだとして、子どもが原告となって、国を提訴しています。
父と母が離婚しようとする時点で、赤の他人である第三者が介入支援することは、やはり、重要であると考えます。
尚、面会交流の話題には配偶者からの暴力(DV)がある場合にどう対応するのかといった点が議論されます。
しかし、配偶者からの暴力(DV)が原因で面会交流が出来ないケースは、母子世帯3.1%、父子家庭1.5%です。
この約5%のDV加害者の面会交流ですが、ボランタリーな民間の支援団体が請け負うことは安全面の観点からは非常に厳しいと考えています。
面会交流支援をされているDV被害者支援団体の方からお話もお聴きいたしますので、この約5%の支援は家庭裁判所内で解決をしていただきたく願います。
また、DV被害者は別居親の中にも存在するという点も忘れてはならないでしょう。
さて、単独親権制度から共同親権制度に移行されたとして、面会交流支援団体は対応できるのだろうか?と不安に思う理由ですが、以下をご覧ください。
単独親権制度下では、面会交流の支援を利用するのは、配偶者からの暴力(DV)が原因の約5%と自立面会交流が出来ている約50%を差し引いた約145%(父母200%中)のうちの数%にしかすぎませんでした。
それが共同親権制度に移行された場合、残りの約145%(父母200%中)が、全て面会交流支援団体を利用するとなったならば、果たして受け入れられるだけのキャパがあるのでしょうか?というのが、不安になる理由です。
日本全国にある面会交流支援団体の数は、わずかです。
これからは、各自治体が面会交流支援を行っていくようにしていかなければ、厳しいのではないか?
その為には、各自治体に面会交流支援というものを知っていただかなければなりません。
昨年末から、広報活動に力をいれつつあるのは、そんな思い故であります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?