No.20 両眼視機能検査 【検査7番】【遠方上下斜位検査#12/フォン・グレーフェテスト】
前回までは、遠方視での水平方向の斜位を計測し輻輳と開散の両眼筋パワーの検査方法とプリズム処方の考え方を説明しました。
斜位は水平だけではありません。上下の斜位があります。上下の斜位の特徴は、わずかな眼位ズレでも非常に疲れやすく、また「複視」を起こしやすいのが主な症状です。
上下斜位が大きいと水平方向の輻輳と開散の両眼球運動まで影響を及ぼしますので、上下斜位の有無をしっかりと検査することが重要です。
水平斜位と違い上下に斜位がある人は比較的少ないですが、上下斜位がある場合は、高い割合でプリズム矯正が必要になります。
水平眼位をコントロールする輻輳と開散の筋肉は比較的強く多少の斜位 (特に輻輳側) があってもプリズム矯正は不要なことが多いですが、上下斜位の場合は上下のズレを戻す上直筋と下直筋のパワーは弱く、わずかなズレを戻すことも苦痛になります。
そのため目が疲労しやすく、像がぶれたり二重に見えたりします。(複視)
■プリズム処方の成功順
プリズム処方のお勧め順です。斜位がある被検者が即座に変化を感じる順です。
◎1位・・・上下斜位(BU.BDプリズム処方)
理由/上下の外眼筋の力が弱く斜位を補正できるパワーが弱い・・・上下開散力2~3△
◎2位・・・内斜位(BOプリズム処方)
理由/(外直筋)開散力も輻輳に比べると弱い・・・分離点7±2△
◎3位・・・外斜位(BIプリズム処方)
理由/(内直筋)人の輻輳力は非常に強いのが一般的でプリズム処方は効果が薄い・・・分離19±4△ 輻輳力トレーニングの方が効果が高い
■上下斜位カバテーストによる目の動き(目視)過去記事
【7】 遠見 上下斜位検査(#12A)【期待値 斜位 0】フォン・グレーフェテスト
目的:上下斜位検査
使用チャート:横一列
補助レンズ:右眼ロータリープリズム、左眼10△プリズム
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?