【LDLバディ対談】サラリーマンに多様性を〜西田稔彦さん×垣本雅史〜
LDL(Locally Driven Labs)とは、約20年にわたって全国各地で経営とまちづくりに取組んでいる木下斉さんが所長として立ち上げたラボです。
私も4月からアソシエイトとして参加しています。目的は木下さんの狂犬ツアーを鳥取で開催するために各地の狂犬ツアーを見させてもらって勉強すること。LDLに参加すると各地の狂犬ツアーの動画アーカイブを見ることができるという特典だけで月額分の価値があると思って参加しました。
7月からバディ制がスタートしました。私の7月のバディは西田稔彦さんです。
まずはお互いを紹介する記事をnoteにまとめるためにZoomでお話をすることになしました。事前に記載したスキルシートに書かれたプロフィールなどを情報を読み込んでからインタビューに臨みました。
お仕事のことについて
どんな感じで進めましょうか?と話しながら、まずはお仕事のことから聞いてみました。(以下敬称略)
垣本:株式会社地域科学総合研究所には新卒で入られたのですか?
西田:宮崎の大学では経済学部で学んでいました。東京への就職を希望しましたが、就職氷河期で倍率が非常に高かったです。ほぼ就職浪人を覚悟した11月頃から地元に目を向けて参加した企業説明会で出会ったのが、株式会社地域科学研究所でした。入社して24年になります。
現在は100名程度の社員がいますが、入社当初は社員5名程度のベンチャーみたいな会社でした。元々不動産鑑定事業がベースの鑑定事務所がベースになった事業を行っており、インターネットのプロバイダ事業などを手掛けていたり、変化に柔軟な風土がある会社でした。平成6年に地価の高騰を受けて路線価の時価評価が取り入れられたことを契機に、地理情報システムを活用した自治体の固定資産評価事業(税金の算定)の支援の事業を中心に事業を拡大し、その後、夕張市の破綻などがあり、2010年ごろから自治体の公会計事業(資産債務改革)に基づく財務諸表の作成支援を公認会計士の方と連携して事業を拡大しました。私はその時に、1970年代〜1990年代に作られた公共不動産のデータベース化のコンサルやシステム開発を手がけ、公的不動産の活用の分野に可能性を感じて現在に至っているところです。
垣本:自治体の外部で公共施設マネージメントを行われていると言うことですね。
私は5〜6年前に倉敷の三宅さんという女性が鳥取に来られたときに話をさせてもらってから公共施設マネージメントに興味を持つようになりました。三宅さんは自治体の内部で公共施設白書や公共施設等総合管理計画を作られていて、周辺の自治体のものも受託されていたと聞きました。
西田:私たちも公会計事業で作った固定資産台帳データベースを元にファシリティマネジメントのシステム開発を行い、自治体の公共施設白書や公共施設等総合管理計画を作っていました。倉敷市は公共施設マネージメントが進んでいると聞いています。
垣本:そのことをきっかけに八頭町の公共施設白書や公共施設等総合管理計画を読むようになりました。一住民として行政に関わることもやっていて、庁舎建設等検討委員会の公募に手を上げて二回参加しました。1年半前に参加したときは初回の会合で合併特例債の残額をすべて使って新しい庁舎を建てようという話になりかけましたので、木下さんや三宅さんに協力してもらってライフサイクルコストの観点で資料を作成してプレゼンすることで、まだ使える既存庁舎を活用して必要最低限の庁舎建設とするところまでは持って行くことができました。
西田:垣本さんはお仕事は何をされているのですか?
垣本:元々プログラミングが好きだったので、大学受験のタイミングで鳥取大学工学部に情報系の学科ができたのでそこに入学し、卒業後は地元の鳥取三洋電機という会社に入社しました。その後三洋電機本体が無くなって紆余曲折ありましたが、引き継いだ会社に今も勤務しています。今はタブレット(教育用、カラオケ用、オーダー用など)の開発業務を行っています。
会社の仕事以外も「子どもたちの未来のために」をテーマに、鳥取県教育委員会の講師の仕事やランニングイベントの企画運営や360度カメラを使った映像コンテンツやVRコンテンツの制作など地域で生きていくための仕事づくりについて取り込んでいます。いろいろとやっていますが、あまりうまく説明できる状態になっていません。先日木下さんが書かれていたように短時間で自分がやっていることを説明できるようにできるようになりたいと思っているところです。
鳥取は給料が安いですが生活コストが安いので、イベント集客や映像コンテンツ制作で複数の稼ぐ手段を持つことができたら、ここで生きて行こうと生きて行こうと思ってくれる子どもたちが増えるんじゃないかと思ってやっています。
西田:これはご自身の子どもさんのことを考えられてのことですか?
垣本:今年の春まで長男が岡山の専門学校にゲーム開発を学びに行っていました。一度はどこでも行ってゲーム開発の仕事してはどうかと話はしていましたが、この春に鳥取に戻ってきてIT系の仕事をしています。長男がどこかに出て最終的に鳥取に戻ってきてもらうためということも想定してやっていました。
子あきないプロジェクトについて
垣本:最近Slackの動画を遡って見ています。2年前の一番古い5時間以上の動画で西田さんが子あきないプロジェクトのことを話されているのを見ました。その頃からLDLに入られていたのですね。
西田:はい。2年前くらいだったと思います。会社でやっていることと子あきないプロジェクトに取り組むためにパートナーとして参加しました。小6と小3の子どもが宿題で何をしているのかを見たら自分が子どもの頃やっていたのと同じようなことをやっていたので大丈夫かと思っていました。大学では経済学を学んでいましたが、会社で営業担当をしており、全く経済の仕組みが理解できていないことに愕然とした記憶があり、子どものときに経済の仕組みやお金を稼ぐことの重要性について、子どもたちに早めに理解してほしいという気持ちがありました。
垣本:実際に形にされたことはあるんですか?
西田:はい、知人を通じて、カボス農家さんに収穫に行かせてもらって、それをキロいくらで仕入れさせてもらい、オリジナルドリンクを開発して、いくらで売るか決めて売るということをやったことがあります。2〜3家族でパパパパ授業としてお父さん主体でやっていました。売り上げ計画を立てることや原価計算などから、自分たちで考えさせるプロセスをコンテンツ化しようとしていました。
垣本:子あきないは興味があります。ただうちの子はもう高校生なので。
西田:高校生もぜひ参加してほしいと思っています。というのは、年間を通した活動で年度の収支を学び、ワンイヤールールなど、実践ベースで簿記を学ぶ形でやりたいと思っています。小学生だけでは難しかったので高校生が小学生に教える子ども会社のような形にしたいです。
垣本:今高校のPTA会長をしていますが、生徒が作ったものは事務局の人が売っている状況です。校長先生には生徒が作ったものを生徒自身が売ることについて話をして行っているところです。
西田:学校には校長先生に話しに行ったことがありますが、あまりうまく行きませんでした。誰に話をするのが話が進みやすいのでしょうか?
垣本:学校の場合は校長先生の考え方によるところが大きいと思います。教育委員会にしても教育長の考え方によりますね。想いのあるPTA会長などと協力して継続的に話をしていくのがいいと思います。
子あきないプロジェクトについては近所の隼Lab.で定期的にマーケットが開催されているので、こういうもの(子どもたちへのお金の教育)をはじめようとしていること自体で出店することを考えています。
そこで子どものお金教育に興味のある人や仕入れ先になってくれるような方を探したり、自分が売れそうなものを売ってみたりはできると思っています。売るものは例えばランニングイベント用に作成した冊子やうちの梅畑で採れた梅で作った梅シロップを使った梅ジュースなどを考えています。
西田:やっぱりマーケットという場があるところに持って行くのが一番いいです。保健所の許可にしても自分でやろうとしたらたいへんなので。
垣本:そのあたりのノウハウを含めて広げて行けたらいいですね。
サラリーマンに多様性を
垣本:以前はサラリーマンにコンプレックスを持っていましたが、最近はこの歳のサラリーマンでもやろうと思えばできることを見せることの方が大事だと考えられるようになってきました。
西田:私もサラリーマンにコンプレックスがあった時期がありました。少し離れてみようと思い、週末にカフェやギャラリー事業をしたり、給料を3分の1にして、宿泊事業の立ち上げ事業を行ったときに福利厚生や総務的な部分など会社のすごさを感じました。しかし、そもそもサラリーマンの概念が昭和からあまりアップデートされておらず、会社と仕事以外のコミュニティや、ビジネスの視点を持っていたりする人が増えるなど、サラリーマンはもっと多様性があった方がいいと思っています。
垣本:何かやることについてはサラリーマン側の方ができないと思っていることの方が多いですよね。私は鳥取県教育委員会の講師については社会貢献と言えばいいと思っていますし、イベントでの集客や映像制作については地域の人間の社会実験と言えばいいと思ってやっています。どこかに雇われる以外は何でもできると思っています。
隼Lab.について
垣本:西田さんは隼Lab.には来られたことはあるのですか?
西田:会社の京都事務所の方でサテライトオフィス契約をしているので会社の人間は行ったことはありますが、私は行ったことはありません。運営がしっかりとしているように聞いていますが、どのような感じですか?
垣本:立ち上げに関わった地元企業を中心とした7社が出資したシーセブンハヤブサという完全民間の運営会社が運営をしています。岡山の西粟倉村にも居たことのある諸岡さんという女性がメインでがんばられています。初年度からオフィスはすべて埋まっていて、校庭に3部屋のガラス張りのオフィスも増設しています。地域の人間も校庭の草刈りなどで協力していますし、運営会社や入居企業さんも運動会やプール掃除、プール祭りに参加したりといい関係は築けています。
西田:初期投資は誰が出したのですか?
垣本:初期のリノベーション費用は町が出しています。建物は今も無償貸与です。運営自体は独立していて初年度から黒字のはずなので、そろそろ賃貸料を出してもいいんじゃないかと思っています。隼Lab.にぜひ一度お越しください。
西田:ぜひ。合同会社での運営スキームや、売上原資の分配、再投資の仕組みが気になります。
まとめ(垣本)
公共施設マネージメントや隼Lab.、サラリーマンをしながらやりたいことをやっているなどのつながりがあり、話し始めたら気がついたらあっという間に1時間経っていました。子どもたちへのお金の授業についても興味がありますので、子あきないプロジェクトには協力して行きたいと思っています。農業の事業もされていますが話ができませんでしたので、次はこのあたりも聞いてみたいですね。
引き続きLDLでよろしくお願いします。
西田さんからのコメント
垣本さんは、数百人規模の会社に勤めながらも、会社以外のやりたいことを持ちつつ働いていたことについて共通点があり、盛り上がりました。
また、親として最終的に地元に戻ってこれることを前提に、子育てや様々な地域活動をされているところにも共感しました。さらに、私の本業である公共不動産を使った八頭町の廃校隼の活動がそのような感性を育てているようなところにも感じましたので、実際に足を運んでみたいと思います。
会社以外のコミュニティであるLDLを通して、さらにご自身の地域での活動が広がればいいなと思います。
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