そうだタラブックス、行こう。
Visionを実現する手段としての出版社
2020年のはじめ、いや2019の終わりごろから、何かこれから少し自分のしていくことの変化がはじまっていく予感がしていた。
私の人生のVisionは、一人でも多くの人がVisionaryWorkをして生きる世界。そこはGIFT by GIFT、一人ひとりが自分のGIFT(=才能)を使って、誰かの何かにGIFT(=貢献)して生きている。そういう人が集まってチームが生まれ、協働しながら誰もが楽しみ、学び、喜ばせ喜んでいる。自己犠牲感はなく、かといって自己中でもなく、だから無理がない。
そんな世界に到達することは、もしかしたら夢物語なのかもしれない。でもそこにつながると感じられる何かをしたいという想いを持ちながら探求していくことはとても幸せなことだ。そうそれこそ私自身のVisionaryWorkだ。
そんな風に思って今生きている私が、その手段の1つとして”出版社をつくる”というイメージを抱き、そしてタラブックスという存在を知ったのは、何がきっかけだったのか?実はよく覚えていない。でも数年前に日本で開かれていた展示会に行ったことがあり、その時にはもう興味を持っていた。
世界を変える美しい本をつくる小さな出版社
わたしはタラブックスをこんな出版社だと感じた。これはタラブックスを形容するいくつかの言葉をかけわせた私なりのイメージだ。
まず、つくっている本が美しいし、本という範疇を越えているようなものがたくさんある。もともと「子どもたちに読ませたい本がインドにはない」「なぜ私たちが子どもたちに読ませる本は外国のものばかりなのか?」そんな問題意識から、2人の創業者ギータ・ウォルフとV・ギータが創った出版社だ。
インドには政府に認定された少数民族がおよそ460、そして公的に認められている言語が202、それ以外も含めるとインド全土では870の言語があると言われている。それぞれの民族に伝わる文化風習、神話などを題材に、対話を重ねながら本をつくっていく。印税や版権などの仕組みを知らない語り部や描き手に、そういったことも伝えながら、協働しながらつくりあげているのだ。
また、それ以外にも様々な本をワークショップを通じながら創りあげていくことが多いと聞く。満足がいくものが出来なければ無理に急いで出版はしない。
そして働いている人は、みんなタラブックスで本をつくることに誇りと喜びを感じながら、しかし無理することなく、皆が大切な役割をもった仲間であると尊重されながらしごとをしている。
タラブックスの顧客は世界中にいて、つくる本を求める人たちは多い。経済合理性を最優先に追求するならば、もっと大きくビジネスを展開することはいくらでも出来そうなものだが、それは絶対にしないのだそうだ。
小さい出版社のままでいるという理由
私の、タラブックスに行きたい!という想いを決定的にしたフレーズが、「タラブックス」のことを書いた書籍の中にある。それがこれだ。
私たちは成長を強いられる資本主義経済にうんざりし始めている。いつまで大きくなりつづけなければいけないの、と。タラブックスの考え方や働き方は、こういった世の中へのアンチテーゼだ。この大きな経済のうねりの中で、自分たち自身が消費されるのではなく、意識的に働き方を考え、それを実行するというちいさな戦いなのだ。<中略>極論すれば、タラブックスなら、今よりもっと規模を拡大してお金を儲けることも難しくないだろう。でも、本というのは物理的なかたちとして、あるいは誰かの心に忘れられない記憶として残る。彼らに特別なことがあるとすれば、それが誰かの手に渡り、もしかして人生を変える一冊になるかもしれないという本の力を、日々、誠実に信じて仕事をしていることだ。
彼らが、そのアイデンティティを崩さずに存在し続けるために、小さくいることは必要なことなのだと。
これは・・・出版社なのか?
私が自身のビジョンを実現するための、手段の1つとして、「出版社」を創りたいという想いにはいくつかの理由がある。
まず、単純に本が好きだということ。小さいころから本はずっと好きだし、面白い本屋を見つけると何時間でも入り浸れる。ブックCafeは大好物だ。
そして、人の人生を変えるのは、人・本・旅だと思っているということ。本とは世界とつながる窓であり、自分が実現したい世界に触れる大きなきっかけになり得るものだと思っている。2016年にはじめた、カンボジアの農村小学校での図書館づくりをライフワーク的に続けているのも、それがあるからだ。
私が創りたいのは、ビジョン実現を応援する出版社。本を創ることを通して自分のビジョンの実現に近づくことを応援するそんな存在。Visionary Work を見出し動き出し拡げることを応援する存在。だから私が創りたい出版社は、本を売ることを生業にするのではなく、言うなれば本の様な形態の表現を通じて自分のビジョンを実現したい人を応援することを生業とするのだ。
なので、呼び方は出版社と呼ぶが、おおよそ一般的なイメージの出版社とはほど遠いものをイメージしている。そしてその形は、そうタラブックスのイメージとなぜか重なるのだ。
「そうだタラブックス、行こう。」
私はタラブックスに行ったことも見たことも無い。本で知り、記事で知り、展示会で知った限りだ。それでも、そこで触れたことを思えば思うほど、理想のイメージと重なる感覚があるんだ。
とはいえ、それは見えているほんの一部に過ぎないのもよくわかっている。だからこそ、行ってみたい。生のタラブックスに触れてみたい。「そうだタラブックス、行こう」
いつか行ってみたいなとは思っていた。でも「いつか」のままでは、「いつまでも」その時は来ない。だから今なのだ。今行く。
今回、実は何の伝手(つて)も無かった。それこそ思いついて最初にやったのがフェイスブックへの投稿だった。
それに応えてくれた友人がいて、そこからつながってつながって、そして行けることになった。
今書けることはここまでだ。2020年3月29日~4月1日まで、タラブックスのあるインドのチェンナイという街にいってくる。そこで何を見て、何を聴き、何に触れて、何に出会うのか?
(※言うまでもないのですが、この世界的なコロナ流行の状況下なので訪問は延期にしました。でも時が満ちたら必ず行きます【2020年4月追記】)
「さあ、タラブックス行こう。」
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