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キングダムとペップトーク

■キングダムは”巻き込み力”のお手本がたくさんある

キングダムとビジョンフレームでは、嬴政の語るビジョンがビジョンフレームの型に沿っていることを、そして【キングダムと”意味”の重なり】では互いのビジョンが重なることによって、その相手と、または組織の中で何かをすることの意味をより強く深く感じられるようになることを、書いてみました。

第3弾は、【キングダムとペップトーク】と題して、チームを奮い立たせる「語り」の力について紐解いていこうと思います。

ペップトークとは、一言で言えば「励ます技術」です。詳しくは私の友人の著書「たった1分で相手をやる気にさせる話術PEPTALK」を読んで頂くとその内容がすごくよくわかると思いますが、相手やチームを奮い立たせる「語る」力であり技術です。

■4つのステップ
さて、このPEPTALKは、4つのステップがあります。

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1.受容(事実の受け入れ):まずしっかりと現実を受け入れます。無理やりポジティブに言い聞かせるのではなく、それが厳しく苦しく困難であるという事実と向き合います。

2.承認(とらえかた変換):その現実のとらえ方を変えることで、マインドの変化を起こします。

3.行動(してほしい変換):その上で何をすべきなのか、してほしいのかをシンプルに明確に伝えます。

4.激励(背中のひと押し):そして最後に激を飛ばし、ボルテージをググッ!と上げていきます。

■朱海平原の戦い~十二日目の朝~
このペップトークの最高のモデルが、これまたキングダムに登場します
中華統一に向けて動き出した秦は、連合軍を編成し、趙の要地である「鄴」を攻めんと行軍します。しかしそこに迎え討つは趙の三大天の李牧。キングダム好きには言わずとしれた軍略の天才です。
  
李牧の施した策により、秦軍は兵糧を絶たれてしまいます。戦いが長引くほど秦の兵たちの疲労は色濃くなります。ただでさえ強力な趙軍に対し、そのハンデを負いながらの戦い、主たる将が次々と深手を負い戦線を離脱していく中、いよいよ秦軍は窮地に陥ります。

この軍には、名だたる将軍や将校たちに混じり、若き次世代リーダーたちも加わっています。その一人が、秦の五千人将である王賁、そして同じく五千人将の信です。

王賁の父はこの連合軍の総大将王翦。彼は名門の一族の出であり、その部隊もそれに準じるような面々で構成されています。

一方信は、奴隷の身分からの叩き上げで、その部隊も戦がなければ農民として生計を立てているような面々で構成されています。

特に王賁は、信のことや、その部隊である飛信隊を目の敵にしているようなところもありました。(本当は信に一目置いている王賁ですが、そのプライドから素直に認めようとしないんですよね(笑))

しかしその窮地に、王賁は信を呼びこう言います。

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信と飛信隊の力を、実は認めている王賁は、自身の隊と飛信隊が覚醒する以外に勝つ道は無いと信に告げます。しかしこの時点で一夜にしてそんなことをする方法など二人には全く浮かんでいませんでした。

一夜明けで、開戦直前、やはり空気は重く、このままではおそらく敗戦は火を見るよりあきらかな状況です。その時に二人はおもむろにそれぞれ自分の隊の前に進み出ます。

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そして語りはじめます。そう、ここからがPEPTALKなんです。

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信は、まずこれまでの歩みを振り返りつつ、自分のビジョンを語り、そして厳しい現実を示した上で、その現実のとらえかたの変換を図ります。これが①と②です。(①と②が混ざった感じですが…)


一方、王賁はストレートに現実の厳しさをあらためて隊員たちに伝えます。①ですね。そして同時に②を繰り出します。「しかしそれこそ玉鳳隊の本来の姿だ」と。そう俺たちにとってこんなのは当たり前のことだ!とこの窮地のとらえかたの変換を図ります。

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そしてそのことが「誇りだ」というとらえかたも提示します。

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そして、今一度厳しい現実を踏まえて、我々は何をしなければならないかを語ります。つまり③の行動すべきことを伝えます。

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一方、信はシンプルに③を言います。「力を貸してくれ」と。

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実はこの一言が隊員たちにとっては、とても重く響き、心が奮える一言なんです。信はこれまで猪突猛進(よくあいつはバカだからな~と愛をもって隊員たちにいじられていたりもします(笑))、周りを助けることはあっても、助けてもらう様なことは全く口にもしません。そんな信が放つ「力を貸してくれ」の一言は、隊員たちにとっては、心底特別な言葉なのです。

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そして、「お前たちと一緒に~」という仲間であることをここであらためて強調しています。

この時代最も貧しい境遇の出自をもつ信。そして飛信隊の面々の多くも同じような境遇にいるものばかり。そんな仲間たちとともに天下の大将軍を目指す。「俺たちにはそれを目指すだけの力も価値もあるんだ!だからこんなことくらいで挫けるわけがない。俺たちは誰よりも高みを目指す強い絆で結ばれた仲間だ。」こんなメッセージが込められた信の言葉に奮い立たない者はいません。

そして最後にもう一度「力を貸せ飛信隊!!」という④を言い放つとその士気は一気に爆発をしました。


一方、王賁は隊員たちに対してこう言います。「友よ力を貸してくれ」と。

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将軍を多数輩出する名門、王家の跡取り、エリート中のエリート。偉大すぎる父を持つことからくる劣等感、特別視される苦しさ。そんな思いを抱えながら、それでも、いやだからこそ真の実力を身に付けるべく、血のにじむ努力を重ねてきた王賁。しかし、それはまた人をよせつけない孤高さを彼に纏わせることにもなりました。
  
そんな孤高さと葛藤を抱えながら誰よりも努力してきた王賁のここまでの歩みを、隊員たちはよくわかっていました。だからこそ王賁が「友」と呼びかけた時、玉鳳隊の隊員たちの心は、どれほど奮えたか計りしれません。

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そしてたたみかけていきます。最後に「出るぞ玉鳳、我らが道を切り開く!!」これが④の言葉です。この時やはり士気は最高潮に達します。

こうして、2つの隊は一気に覚醒をし、この後信じられないような快進撃を見せるのです。

秦連合軍の右翼の千人将、亜花錦はこの様子を見ながら一言こう言います。

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戦場の空気が一変した瞬間でした。


■「誰が何を話すか」
言葉とは、「何を話すか」以上に、「誰が話すか」がとても大事だと言われることはよくあると思います。わたしもその通りだと思います。
  
しかしもっと正確にいうのであれば、「誰が何を話すか」が大事なんだと思います。まさにその人だからこそ響く言葉があります。それはその人のインサイドアウト、内から湧き出てくる真の思いが乗った言葉です。

ビジョンフレームにしても、PEPTALKにしても、それぞれ「型」です。この「型」は手段であって目的ではありません。

語る人が、「本当にこれを伝えたい!」「こういう状態を生み出したい!」という強い目的があるとき、この「型」という手段はとても素晴らしい役割を果たしてくれるんです。

ぜひ、このPEPTALKビジョンフレームを、使って、あなたの思いを届けてください。自分と周りに「覚醒」を起こして、どんどん巻き込んでいってくださいね!

※キングダム53巻より引用


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