1枚でまとまる

”先読み!”シリーズ⑦:1枚でじゅうぶん伝わる(2章より)

インサイドアウトから生まれた、発想やアイデアが実現するために絶対必要なこと。それは「構想にして伝える」ことです。

やりたいことを実現している人、相手を巻き込む人、好きを仕事にしている人…etc.それらの人たちに共通しているのは、「構想にして伝える」ことです。構想にすると、それを聴いた人が「あっそれはやる意味あるね!」「面白そう!」「一緒にやりたいかも!」という感覚になっていくのです。

私が今回の本を書いた大きな動機は、「素晴らしい考え」や「価値あるアイデア」「熱い思い」を持っている人が、それをうまく伝えられないが故に形に出来ない状態をなくしたいという思いです。

伝えるときは「①未来、②今なぜ、③価値、④どうする(または①②④③)」という流れで語ることで、想いとロジックが両立した構成が生まれます。これが話の筋になるのです。

話の筋がしっかりしていると人はその話を理解できます。理解が関心を生み、関心が共感や違和感を生み、共感や違和感が質疑を生み、その提案がブラッシュアップされていくのです。そうなればもうその提案はあなただけのものではなくなり、相手も一緒に考えたくなる物語に変わります。逆に筋がしっかりしていないと理解できず、それが興味や関心を失わせ「何を言っているかわからない」という反応になってしまうのです。

私自身、自分の思いや、自分のアイデアを人に伝えることに苦手意識を持っていました。もちろんうまくいく時もありましたが、伝わる時とそうではない時とで、結構ムラがあり、且つそれがどういう違いによって生まれるのかがわかっていませんでした。

そんな私に一つの転機が訪れます。私の尊敬する師匠の一人、佐々木直彦さんの「プロデュース能力」という1冊の本に出会ったのです。
   
そこで語られていたプロデュースの定義”一つのビジョンのもと、人々の力を借りて、新しい何かを創り出し、現状を変えること”という言葉に、「まさに自分が学びたいことはこれだ!」と思いました。

そして、その後縁あって、私含め数人の仲間とともに”チーム・プロデュース”というものを結成し、このビジョン・フレームをブラッシュアップしていったのです。

単に箇条書きで書くよりこの「型」で描くことで、話の構造が“見える化”します。構造が見えると人の理解は進み、同時にアイディアも湧きやすくなります。こうしてブラッシュアップしていく中で、自分も相手もよりその提案をする意味を感じられるようになっていく。言うなればこの「型」は提案の「意味」を増幅させてくれる装置でもあるのです。

ビジョナリー・プレゼンテーション研修では、パワーポイントでのスライドづくりではなく、このビジョンフレームで構想を整理し語ってもらいます。まず大事なのはスライドではなく、あなたの中にあるイメージをしっかりと構成することです。それが出来ればスライドがなくとも、この1枚で十分伝わります。

上記の研修の他に、わたしは半ばライフワーク的に「Visionがたり」というイベントを開催しています。ここでもまさにこのビジョン・フレームを使ってビジョンを描き語ることをしてもらっています。

このビジョン・フレームは、1枚で十分に構想を描くパワーがあります。そして描けば描くほどうまくなっていきます。言葉のチョイスの仕方も、語る流れも、描き語るほどに自分の中で精度が上がっていきます。

この章の最後に、ビジョン・フレームのケース別の記入イメージを載せておきますので、ぜひ参考にしながら自分のビジョンフレームを書いてみてください。

本の中には、ビジョン・フレームの例もいくつか書いていますので、参考にしてみてほしいなと思います。

私は、基本的にビジョンは自由にのびのび語ればいいと思っています。それが最もその人らしいと思います。しかし語り慣れていない人は、自由に語れと言われるととたんにどうしていいかわからなくなります。「型」を身につけることで、語る流れに迷う不安から解消され、逆に自由になれるのです。

「型で語る」ことの効用はもちろんたくさんあるのですが、今までうまく伝えられず、語ることに苦手意識を持っていたりそれが積み重なって、伝えることを避けてしまったりしている人が、語ることが出来るようになることがとても意味があることだと私は思っています。

いいなと思ったら応援しよう!