”足し読み!”シリーズ②:ビジョンを育てるフィードバック
親、友人、教師、上司、同僚、先輩、後輩、雲の上の人…etc. 人生において良きにつけ、悪しきにつけ、関わる人の影響力というのは大きいものだと思います。
ゆえに私は、人のビジョンを育てることが出来る人がもっと増えてほしいとい強く願っています。
そして、このビジョン・フレーム=型に加えて、シンプルな4つの問いとシンプルな3つのコメントを使うと、ビジョンを育てるような関わりが出来るようになるということをすごく伝えたいと思っています。
もちろん、「誰かのビジョンを応援したい」という思いがあることは大前提として。
そんなことを書いた、今回の本に書ききれなかった原稿はこちら。
【ビジョンを育てるフィードバック】
3人は伊川の問いかけやフィードバックで、4つの型を使いながら、自分たちのアイディアを一つの構想へとまとめていきました。そしてそのやり取りの中でイメージが拡がり、それをやる意味をより深めていったと思います。
実は、この時伊川の関わり方が大きな鍵を握っていました。やがて大きく花開くビジョンもはじめは小さな種です。それをイメージしている当人もまだ自信がなかったり、鮮明ではなかったり、半信半疑だったりもします。「難しいだろうな…でもそれが実現したらなんかすごくない?でも…」と行ったり来たりをします。
それでも、誰かに話してみることで、ビジョンは育ちはじめるのですが、この時それを育てるコツがあります。育てるとはつまり、そのイメージを膨らませ、発案者に自信を与えていくそんなフィードバックです。
具体的には3つのコメント、4つの問いを繰り返していくことです。
まず3つのコメントは
・共感:その話を聴いて、個人的にいいなと感じたこと、面白いと思うことを伝える
・貢献:自分の知っていることでビジョンの実現に役に立ちそうなことを伝える
・期待:不十分と感じる点に、指摘ではなく「もっとこうなれば~」と期待として伝える
そして、4つの問いは、
・具体的には?:抽象度の高いことを具体的にしていく
・他には?:視点を拡げていく
・なぜ?:深掘ってその真意を導きだす
・つまり?:拡げたイメージの重要なポイントを明確化する
そして、さらに大事なのは、これを「いい感じで」やるということです(笑)
たとえば、同じ「なぜ?」という問いかけも、怖い顔、強い口調で言うと、まるで否定されてるかのように聞こえます。あくまでそのビジョンを育てようという愛をもって問いかけることが大事です。たとえばイノベーションを引き出せるような人は、これが出来る人です。
本来フィードバックの語源は「食べもの=栄養を与える」という意味です。問題点を指摘するのではなく、あくまで相手がその実現に近づくためにするのがフィードバックです。
わたしは、厳しい批判的フィードバックを否定しているわけではありません。飛行機は向かい風がなければ浮上しないように、むしろ形にしていくためには必要だと思います。
しかし、それにはタイミングがあります。まだ半信半疑で自信が持てない時に、厳しい批判的フィードバックをすればどうなるか?もちろん「なにくそ!」と奮起する人もいますが、ここで勇気をくじかれてしまったり、また次からは、いかに批判されないようにするか?という思いが強くなってしまい、素直に思ったことを話せなくなっていきます。
やはり、まだ種の間はしっかりと発芽し伸びていく準備が整うまで、それを育てるフィードバックがとても大切だと思います。
自分がフィードバックをする立場になると、悪気なく無意識に、いつの間にか自分の正当性や見識をアピールするかのような“マウンティングフィードバック”をしていることが往々にしてあります。そんなフィードバックは害でしかありません。
それを防ぐには、ビジョンを育てようというスタンスです。そしてこの「型」を使って問いかけをしていく。「どういう状態が実現したい?」「それはなぜ?」「それが実現したらどんな価値が生まれている?」「その実現のための鍵は?」同時に、この3つのコメントと4つの問いで話を拡げ、深堀り、整理していくのです。