新製品開発プロジェクト・新規ビジネスの創出法(年間予算1億円・事業規模100億円の社内プロジェクト発足事例)
私はこのやり方で社内で年間予算1億円のプロジェクトを発足しました。新しい製品やビジネスを創出するのに決まったやり方はありませんが、ある程度はどのような職場においても当てはまる方法について、私の成功体験に基づいて解説いたしますので、読者の皆様の参考になれば幸いです。
1. 新製品開発・新規ビジネス創出の必要性
企業というものは新しい製品や新しいビジネスを創出しなければ、やがてコモディティ化に飲まれて衰退の一途をたどります。
また、読者の方が開発職場に所属しているとご経験があるとは思いますが、開発費は有限なので有力な開発プロジェクトに優先的に回されることになります。ここでの「有力」とは、開発の進捗や実現性、開発成功後の事業規模がそれにあたります。日本的な組織構造の場合、組織に開発プロジェクトが付いている事が多くあると思いますが、組織を維持するうえでもこの開発費を集める事は重要です。
2. 製品開発やビジネス創出ネタに至るきっかけ
ビジネスの基本ですが「お客様の困りごと」を解決する事です。その困りごとを解決するために「解決ネタ(新規技術)」を結び付ける事で、新製品の開発やビジネスに繋がります。そして、それらのどちらも一朝一夕で得られるものではなく、蓄積の結果、結びつくものです。
それでは、この2つのやり方について解説します。
3. お客様の困りごとの蓄積
(1) お客様はだれか
読者の職場によってはお客様がだれかを明確にイメージできない方がいるかもしれません。しかし、仕事をしている以上はアウトプットを出してその対価としてお給料を頂いているはずです。そのアウトプットの受け取り手をまずはイメージしてください。その人がお客様です。それは社内の人でもよいです。
(2) お客様の困りごとはなにか
いきなり何かを解決しようと考える必要はありません。お客様目線という言葉を聞かれたことはないでしょうか?お客様のポジションでロールプレイしてみてください。自分だったら「何をどう考えて仕事を進めるだろうか、その時にValue(価値)を向上させるためには何が障害だろうか」と考えてみてください。
私はBtoBの会社に身を置いていますが、その場合、ビジネスパートナーも何らかの競争にさらされており、何かを基準にした価値向上に努められています。そこを抑えるのがポイントです。
(3) お客様の困りごとに気づくには
お客様の困りごとはたくさんあるはずです。ですが、アンテナを常に張っていなければそれにすら気がつきません。アンテナの感度を上げる必要があります。その為の鉄則は次の通りです。
先ず、仮説を立ててください。そして、お客様と会話して仮説を検証してください。ずれがあれば修正してください。そして、新たに仮説を立ててください。これらを繰り返して、お客様の困りごとに関するPDCAを回してください。
このPDCAのサイクルを回すことで感度があがり、自分の中にお客様の困りごとに対する正しい情報が蓄積されていきます。
4. 解決ネタ(新規技術)の蓄積
研究分野の職場でない限り、新しい解決策をゼロベースで生み出すことは、ほぼ無理だと思います。その分野の第一人者にもかかわらず設計職場にいるような変わり者であれば別ですが。なので、開発・設計の職場に身を置く限りは、外の世界に目を向けてください。
(1) どこに目を向けるべきか
出だしでもお伝えしましたが「第一人者がどこにいるか」です。第一人者は大抵、研究職についています。では、どこを探しましょう?読者の方の環境によると思いますが、例えば、筆者の場合は学会やワークショップ等の先端技術の発表の場がそれにあたります。
(2) どうやって探すのか
第一人者とは言え、あまりにも自身の興味に突っ走っているような研究者と組んでも、なかなか成果に結びつきません。ここで、筆者の経験した良質な研究者の探し方が次の通りです。
優秀な研究者ほど、研究費を集めるために産業化という出口を探して、「基礎科学的成果」と「応用技術成果」の両方を学会や論文で発信しています。
これを探すための情報網は今や数多あります。インターネットの検索エンジンでもよいです。機械学会系で言えばCiNiiという論文検索サイトもあります。学会やワークショップに足を運んでも良いです。アンテナは常に張らなければ、こういった良質な情報はなかなか見つけることができません。ぜひ、今日からでも始めてみましょう。
5. まとめ
以上のやり方を基に次の3つを進めていただけると、きっと良いプロジェクトを生み出すことができると思います。
◆「お客様の困りごと」を蓄積する
◆「解決ネタ(新技術)」を蓄積する
◆「お客様の困りごと」と「解決ネタ(新技術)」を結び付ける
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