竈炊飯治郎 第13話 もっと面器を知る
面器はかっぱ橋では、深型バットを指します。(一般に言う面器は、必ずしも角バットを指すものではなく、丸いものも面器と呼ばれる場合があります。ここでは角バット、とくに深型角バットを面器と呼ぶことにします。)面器はメーカーにより、サイズ規格や形状、仕様が微妙に異なります。違うメーカーどうしの場合、本体と蓋などを合わせるとき、同じ表記サイズでもうまく噛み合わないので、購入の際は注意が必要です。
<メーカー>
かっぱ橋で最も多く取り扱われているのはオリバー製です。店によって店頭価格は異なりますが、もっとも安価な印象です。
ほかに、赤川器物、仔犬印などのメーカーがあります。赤川器物は、表面がもっとも研磨されている感じで、精度が高そうな印象です。厚みは、オリバーの方が若干厚く堅牢な感じがします。
お店の人に、商品の良し悪しをお聞きしたところ、「国産であれば、良し悪しはない、それぞれの店の、仕入れ量によって、値段が決まっているだけ。国産でも、新潟の燕市で造られているメーカーがほとんどだから、どれを選んでも間違いない。」とのことでした。自分が扱っているメーカーだけを推さないところが、かっぱ橋の良いところですね。
<サイズ>
面器(深型バット)は、0号、1〜16号と、何号というのが単位です。
0号が最も小さく、数字が大きいほどサイズも大きくなります。0、1号あたりが家庭では使いやすいと思います。
面器とは違い、標準バットと呼ばれる浅方のバットは、 何枚取り、というのがサイズの単位です。2、3、4、6、8、10、12、15、18、21枚取と言う種類があります。数字が大きくなるにつれ、サイズは小さくなります。大きな一枚の金属板から何枚取れるかという歩留りが、単位になっています。メーカーによって、何枚取以外のイレギュラーなサイズ展開もあります。18、21枚取りあたりが、家庭では使いやすいと教えていただきました。
この他に、アルミ製の標準バットもあります。こちらの単位も号なのですが、同じ形状の浅型バットでも、ステンレスのバットとは規格が違い、サイズが同じではありません。ステンレスの18枚取りに近い、4号サイズなどがお薦めです。蓋や網も違うメーカーではほとんど噛み合わないので、実物を見て買うことをお薦めします。
アルミのバットは、かっぱ橋では赤尾アルミという東京のメーカーしか、見かけませんでした。一円硬貨の材料を、造幣局に提供している会社なのでお薦めです。
アルミバットもプロがよく使うもので、プロと同じ道具を使うことは気分も盛り上がり、ヤル気も沸いてきます。私もフレンチでバイトしたことがあり、シェフが時間をかけて仕込んだ魚をアルミバットにならべて、業務用の冷蔵庫に出し入れしている姿は、本当に格好いいと思いました。
アカオにはスタッキングしても中段や下段から抜き差しがしやすいシステムバットとシンプルな標準バットがあります。私は標準バットの4号サイズを購入しましたが、収納場所に余裕があるならば、親方が愛用されている「システムバットL型40小」をお薦めします。小といっても業務用なので幅35.6cm、奥行27.6cm、高さは4cmです。あります。よほど沢山仕込むのでなければ標準バットでいいと思います。
<材質>
面器の裏側を見ると、メーカーの表記と一緒に、18-8という数字の表記があります。これは何かというと、ステンレスの成分を表す表示です。ステンレスは鉄にクロムやニッケルを添加してつくられる一種の合金です。18-8は、クロムが18%、ニッケルが8%入ったステンレスという意味だそうです。18-10、18-12も同じです。
かっぱ橋に並ぶステンレス製品によく見かける18-8表記は、食器・調理道具の世界でいえば、「結構いいステンレス」とだといえます。
ご参考になると嬉しいです。