竈炊飯治郎 第02話 豚の毛を刈るな
前回書きましたが、デザイナーの先生がされていたデザインこそ、まさにボクが求めていた建築やインテリアのデザインでした。弟子になることは体よく断られましたが、それでも1年ほど、手みやげ片手にお宅にあし繁く通い、どうにかちょくちょく会っていただけるようになってきたある日、
「設計の仕事ってどんなことしてるの?」と訪ねられました。
私はザックリ、設計の仕事は、設計士事務所や工務店から依頼をいただいて図面を起こし、施工料の10%ほど料金をいただいていますとお伝えしたところ・・・
「2億円だったら2千万か・・・」とボソッとつぶやかれました。
2億円・・・そんな仕事は依頼来ないっすwww せいぜい5千万来れば御の字です。3千万がいいところですね・・・とお答えしたところ、
「豚の毛を刈っていても一生起業できないよ。」とおっしゃられました。
豚の毛?豚の毛ってなんですかぁ〜!!!!
イスラムのことわざに、
「豚の毛を刈るな、 羊の毛を刈れ。」と言うことわざがあるそうです。
豚の毛とはつまらない物のことで、それを必死に刈ろうとせず、利益の大きい羊の毛を刈って売りなさいという意味だそうです。確かに設計は三千万円の家を設計しても、二億円の家を設計しても、設計する労力ははさほど変わりません。
ただ、二億円の家の設計なんて私たちに依頼が来ないだけです。
それを言っちゃぁおしめえよwww
来たら誰だって受けたいです。
「じゃ、回してあげようか?」
信じられないお言葉が出ました。先生がデザインする場合、施工料の5%をデザイン料としていただいているそうです。最低ラインの二億円の家でもデザイン料を引いても、私たちに一千万円の設計料が入ります。
夢のようです!
でも、夢のようなお話が嫁を鬼化させ、私を絶望のどん底に突き落とすことになろうとは、その時は知るよしもございませんでした。
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