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竈炊飯治郎 第16話 500万円ケチって一億円損をする

500万円ケチって1億円損する人たち

私の本業は建築士ですが、私たちはお客様のご要望を聞いて設計図を作ります。ここで皆さんに知っていただきたいことは、たとえ図面がうまく引けても、いい家は建たないと言うことです。まず一番注意しなければいけないのは工務店の実力です。どんなにいい図面が引けても、工務店がダメだと、いい家は建ちません。まあ、当たり前ですが。ここに関しての情報は割と多く開示されています。

でも私たち専門家が、仲間内の仕事をする場合、心配する点がもう一つあります、それは自分達だけではいい図面がひけないと言うことです。私たちももちろん精一杯いい図面を引こうとは努力するのですが、努力が必ず実るとは限らないのです。今回はその理由をお話しします。

図面を引くと言うテクニックは長いことやっていると、上達します。でも、上手くならないところがあります。それはデザインです。私が知っている限り、どんなカリスマ建築家でも、まともなデザインができる人は皆無だと思います。第一、デザインの勉強なんてしてきてないのですからw そんなわけで使い勝手の悪い、奇抜な家をいいデザインの家と言い張るのです。私もカリスマと言われる建築家の事務所に勤めていたのでそこはよく知っています。

ですから、億単位で家を建てることを検討されている方は、絶対にデザイナーさんを入れた方がいいです。では、どんなデザイナーの方が良いデザイナーなのでしょう?一番いいのはその方のお宅を見せていただくことです。実際に行くのはかなり難しいかもしれませんが、せめて写真だけでも見せてもらうべきです。そして、億単位の家で、私たちのような建築士にデザインまで頼むのは危険です。なぜかと言うと、簡単な話ですよ。そんな家に住んだことがないんですから!

1億円の家では調度品は最低でも500万円が理想です。私も高級なインテリアのお店にいましたが、家具に500万円かける方本当に少ないです。ヨーロッパでは大体ソファー一つでも100万円ぐらいお金をかけます。そのぐらいかけないと1億円の家に釣り合いが取れません。無印やニトリだったとしたら本当に残念です。

うちのお師匠さんがデザインする場合は、1つの案件の最低額が2億円です。先生はデザイン料を5%しかとられないので、大体1000万円ぐらいです。デザイン料に関しては明示してる場合が本当に少なくて、多くの場合デザイン料は不透明です。私たちが間に入って先生が全部デザインしない場合でも、やはり1億円以下の案件はあまりやりません。ですから最低でも500万円かかります。何度も書きますが、500万円かけてもお願いしたいのは、普通の設計士では数億円の家の使い勝手が分からないからです。

500万円と言えば庶民には大金ですが、1億円の買い物をしようとする場合に500万円で出来が大きく違うとすれば、そこをケチって家全体の価値が下がるのは本末転倒だと思います。

ですから、私が考える良いデザイナーは、奇抜なデザインをする人ではなく、高価な調度品を日常で使って、実際に人が羨む家に住まわれている方の方が安心して頼めるのではないかと思います。

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