お知らせ:在留資格「特定活動」が許可されました

2023年3月10日、アメリカ国籍者Aさんに、在留資格「特定活動」(在留期間1年)が許可されました。「特定活動」という在留資格を付与された者は「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」を行うことができるところ、Aさんは、「本邦に居住する日本人Bと同居し、かつ、当該日本人と生計を共にする者が行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)」を行うことができると指定されました。すなわち、Aさんに付与された「特定活動」という在留資格は、同性同士であるAさんとBさんのパートナー関係を理由として付与されたものです。

日本国籍者の同性パートナーの外国籍者に対し、日本政府が正面から同性パートナー関係を理由に在留資格を出すのは初めてのことです。

2022年9月30日の地裁判決は、私たちの請求は認めなかったものの、Aさんに対し「特定活動」の在留資格さえ認めなかったことは、憲法14条の趣旨に反し、実質的に違法だったと判断しました。AさんにBさんとの関係に基づき在留を認めなかったことは違法であり、在留を認めるべきだった、と裁判所が判断したという、非常に重要な判決でした。今回の許可は、この判決を受けたものといえます。

2018年7月に初めてBさんとパートナーとしての在留資格を求めて在留資格変更申請をしてから約4年8ヵ月、2019年9月に訴訟を提起してから約3年6ヵ月という長い期間、不安定な状態に耐えながらも頑張りぬいてきたお二人の努力が、ようやく二人の関係を認めた在留資格という形で実を結んだことは、本当にうれしく思います。

このような結果を得ることができたのは、この手続きを始め、そしてたたかってきたAさんとBさんお二人の勇気と努力によるものであることはもちろんですが、それに加えて、同じ問題をかかえる国内・国外の多くの当事者をはじめ、多くの皆さんが共感と支援の輪を広げてくださった結果でもあります。支援してくださった皆様に深く感謝申し上げます。

ただし、Aさんは、日本国籍者のパートナーという地位そのものに基づく制限のない在留を認められたものではありません。実際、「特定活動」は、日本国籍者の異性パートナーに認められる「日本人の配偶者等」や、「定住者」と比べ、就労が制限される、永住許可へのハードルが高い、退去強制がされやすいなどの問題があり、Aさんは、日本国籍者の異性パートナーと比べ、同性パートナーであるが故に引き続き不利な地位に置かれています。そのため、AさんとBさん、弁護団は、同性カップルも異性カップルと平等に、家族としての在留を認められることを求め、在留資格「定住者」を認めるべきだったという判断を得るべく、引き続きたたかってまいります。

皆様、引き続きご支援をお願いいたします。

最後に、原告らと同様に在留の問題に苦しんでいる多くの国際同性カップルが存在します。入管庁においては、日本国籍者の同性パートナーであるすべての外国籍者に在留が認められるよう、ただちに実務の取扱いを改めることを求めます。

2023年3月14日追記:内容を一部修正しました。

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