【論文紹介】宿主の遺伝子型は植物ウイルス重複感染パターン形成に大きな役割を持つ
Intraspecific host variation plays a key role in virus community assembly
自然環境下での植物ウイルス重複感染パターンとその起因を生態学的手法を用いて調査している研究を紹介します!
論文内容
同一の宿主に複数のウイルスが感染することは、自然環境や農業環境のいたるところで観察されますが、これがどのような要因に影響されるのかは未だ明らかになっていません。
本研究では、ヘラオオバコという野生植物に感染する5つのウイルスの重複感染パターンを調査することで、非ランダムな重複感染パターンを発見しました。多種の同時分布推定モデル(Joint Species Distribution Model)を用いた解析の結果、宿主の遺伝子型および生息地域がこの非ランダム重複感染パターンに起因していると考えられます。この結果から、宿主の遺伝子型がウイルス群集の形成に大きな役割を果たしている可能性が示唆されました。
記事作成者コメント
種の分布とそれを形成する要因を明らかにすることは生態学研究の大きな目的の一つですが、ウイルスについてはあまり調べられていないように思います。生態学的手法を用いて、ウイルス群集の形成パターンを明らかにする本研究の試みは非常に興味深く、ウイルスと宿主の関係性を新たな視点から読み解いています!
引用:Sallinen, S., Norberg, A., Susi, H. et al. Intraspecific host variation plays a key role in virus community assembly. Nat Commun 11, 5610 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-19273-z
編集:ウイルス学若手ネットワーク 中里晃太
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?