ふと、質量作用による反応速度論の微分方程式の導出が非自明に思えたので。
今回私がこの記事を書いたのは、「質量作用による微分方程式の導出で、濃度の積が出てくるけど、なんで『積』になるんだ?」という素朴な疑問がうかんだからですね。
この疑問を解決するために少しだけちゃんと頭を使いました。
ということで、いきなりですが、以下のような図を仮定してみましょう。(字が汚くてごめんなさい。)
私は、この図のように任意の1個の粒子Aに注目して、粒子Aと反応する可能性のある(反応領域に存在する)粒子Bの個数から、空間全体における「まだBと反応していないAの濃度」の時間的な変化を捉えることができるのではないかと考えました!!!!!!!
それを反応式っぽく書くと、
$$
A + B \stackrel{k}{\to} AB
$$
となりますね。
そこでまず欲しい情報として、「反応領域の体積」は欠かせませんよね!??
ということで、$${R_V}$$を「反応領域の体積」として、
$$
R_V = \frac{4}{3} \pi (R^3 - r^3)
$$
と表せることはわりと直ぐにわかると思います。
次に、「$${R_V}$$内の粒子Bの個数」の情報も捨てがたいですね~。
ということで、$${n_B}$$を「$${R_V}$$内の粒子Bの個数」とすると、
$$
n_B = [B]R_VN_a = \frac{4}{3} \pi (R^3 - r^3) N_a [B]
$$
と表せるはずですね?
ただし、皆様には高校時代に学ばれた化学の知識を引っ張り出していただく必要がありまして、$${N_a}$$はアボガドロ数、$${[B]}$$は粒子Bの濃度を表しています。(私は忘れていたので復習しました)
次に、「粒子Bとまだ反応していない粒子Aの個数」を$${n_A}$$として、化学反応を行っている細胞内なりなんなりの空間の体積を$${V}$$とでもおくと、
$$
n_A = N_a V [A]
$$
$$
[A] = \frac{n_A}{N_aV}
$$
と書くことができますね!!!!!
この結果を用いて、瞬間時間当たりの「粒子Bとまだ反応していない粒子Aの個数」変化は、
$$
\frac{dn_A}{dt} = -p n_A n_B
$$
と書けることが直感的に分かります。
念のため一応補足説明をしておくと、1つの粒子Aの反応領域内に粒子Bが$${n_B}$$個存在して、それが体積Vの空間内全部の粒子Aの個数$${n_A}$$個分存在するため、$${n_An_B}$$のように積の形であらわされます。
また、$${p}$$は、反応領域内の粒子Bが粒子Aと反応する確率を表しています。
さて、ここまで来たら後は$${n_A}$$, $${n_B}$$を濃度で書き直すだけです!!!!!!!
$$
\frac{dn_A}{dt} = N_aV \frac{d[A]}{dt} = -p \cdot N_a V [A] \cdot \frac{4}{3} \pi (R^3 - r^3) N_a [B]
$$
整えると、
$$
\frac{d[A]}{dt} =-\frac{4}{3} \pi (R^3 - r^3) N_a p [A][B]
$$
という式が得られましたね!!!!!!
さて、ここで、$${\frac{4}{3} \pi (R^3 - r^3) N_ap}$$が全て定数であることから、まとめて、
$$
k \coloneqq \frac{4}{3} \pi (R^3 - r^3) N_a p
$$
と置くと、無事に
$$
\frac{d[A]}{dt} = - k [A][B]
$$
という反応速度論で見慣れた式を得ることができました!!!!!!!
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