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君子は言に訥にして、行ないに敏ならんと欲す

子曰く、君子は言(げん)に訥(とつ)にして、行(おこな)いに敏(びん)ならんと欲す
子曰、君子欲訥於言、而敏於行
(里仁第四)

優れた人は口下手であっても、行動はすぐに実践したいと願う。

訥言敏行

「訥言敏行」(とつげんびんこう)という四字熟語の元になっている章句です。
”訥”はさわやからに滑らかに話すのではなく、訥々としているということで、口下手を表しています。それを悪く評しているのではなく、誠実さがあることを指しています。
孔子の教えは実践の哲学であり、言行一致の哲学ですので、君子となると時に能弁になりがちなのでしょうか。

行動はすばやく、言葉はあとでもいい。そういう意味にも考えることができます。

子貢、君子を問う、子曰く、先ず行う其の言は、而る後に之に従う
子貢問君子。子曰、先行其言、而後従之
(為政第二)

子貢が「君子とは何ですか?」と孔子に尋ねました。孔子は「まずは実行だ。言葉や説明は実行の後でいい」

かっこいい選手

日々のトレーニングの良し悪しは、メニューとメニューの間に給水を挟んだ後の選手達のアクションでジャッジすることができます。
トレーニングに対して意欲的な選手達であれば、給水後スムーズに次のメニューに移ることができます。
しかしながら、給水と同時に頭がトレーニングから離れ、チームメイトと雑談してしまうといった状況が増えてしまう日は練習に締まりがなくなります。
「君子は言に訥にして、行ないに敏ならんと欲す」は、君子のことしか書かれていませんが、小人はその反対であることを指します。
サッカーとは関係のない話に花が咲いてしまう様子は、良い選手とはかけ離れてしまうものです。
訥言敏行な選手であることに努めたいものですし、そうできる選手にはカッコよさを感じます。

指導者の心得

指導者の心得として、坂本龍馬の船中八策になぞらえ、八つの心得をスタッフに共有しています。
試合結果に対して、選手達のできに不満を漏らしたり、レフリングに不満を漏らしたり、同じクラブ内のスタッフの文句を言ったり、保護者と選手達にも話していないことをペラペラ話したり、全くコミュニケーションをとらなかったりなどの行動が表れる様では、よい指導者で在れるはずはないでしょう。
明瞭で選手が理解しやすいコーチングは必要ですが、内側にある心には「訥言敏行」をベースにしたいものです。

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