君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず
子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず
子曰、君子和而不同、小人同而不和
(子路第十三)
優れた教養人は、人と協調するが、むやみな同調はしない。
知識人は、安易に同調するが、うまく協調することができない。
君子と小人
「君子」と「小人」という言葉は、論語の中で何度も出てきます。
よく君子は優れた人、小人はつまらない人や物足りない人などの訳があります。
孔子は弟子を含めた多くの為政者や人々に対して、政事や考え方について教えたり、議論したりしています。
その中に全くの劣る者などはいなかったでしょう。
小人とは知識を得ている者、君子は知識と徳性を兼ね備えた者を指すこととなります。
主語、自分
私はよく指導の現場で「群れるな」と口にします。
また「主語を自分にして行動しろ」とも伝えます。
いつも誰かの後ろについてしか行動できない。
トレーニングやケアもみんなと一緒にやったからやったになる。
よい選手は、目的を明確にして、自分の身体や心と対話しながら行動・決断ができるはずです。
日本語は主語が省略されがちです。
相手の気持ちを慮る、直接的な表現を避けることは、日本人特有の美徳にはではあるものの、自分がない・自分の意見を主張できないといったデメリットの側面もあります。
勝つためのチームビルディング
みんなで横一線に並びながら目標に向かうのではなく、ある者が先導し背中で体現し、ある者がなにくそとその歩みの速度を上げていく、そんなチームであるべきでしょう。
また、考え方も全く同じ人はいるはずがありません。
他者の意見に耳を傾けながらも、自分の意見をきちんと主張していくことも必要です。
つまり、仲良しこよしはでは、成長も勝利も掴むことはできるはずがないのです。
日本代表の選手が述べたコメントをメディアが切り取り、監督批判・チーム批判と取り上げられることがあります。しかしながらそんなことは当たり前だと思います。
ナショナルクラスの選手達であれば、チーム戦術やプレーモデルについて、監督・コーチとでも意見をぶつけ合わせていくことは当然だと思いますし、そうやってチームは成長していくのだと思います。
先日、AFC U-23アジアカップカタール大会で2大会ぶりの優勝とパリ五輪の出場権を獲得したサッカー日本代表U-23ですが、彼らもグループ予選韓国戦で敗退した後に、選手だけでミーティングを行い思いの丈をぶつけ合ったようです。
わかっているだろうではなく言葉に出すことが重要ですし、それと同じぐらい他者の考え方を聞き、様々な観点で理解していくことが重要だと思います。
「付和雷同しない歩み」が強いチーム・これからの日本サッカーを創っていくのだと思います。