噓日記 1/21 免許更新

今年ついに免許更新の時期がやってきた。
今まで保持し続けてきたゴールド免許とついにおさらばだ。
軽微な違反をしてしまい、我が黄金は青いしょうもない無課金みたいな免許となってしまう。
軽微な違反と言っても駐車場に入れる際に切り返した方向が進行禁止だったというなんか一番しょうもないやつ。
しょうもない違反でしょうもない免許に。
解せないが甘んじて受け入れる。
日曜日だしそんなに混んでいないだろうと睨んで行ったのだが見当違いも甚だしく、馬鹿みたいに混んでいた。
いつもなら行列なんかを見たら逃げるほどに人混み嫌いなのだが今日はその人嫌いが発動しなかった。
コイツらみんな俺と誕生日近いんだなと思うと不思議と許せる。
みんな集めて誕生日祝いたい。
よく分からん手続きやら、安全協会がどうたらを華麗にクリアして視力検査へ。
俺は俺の裸眼視力を知らない。
どれくらいですか、と聞かれてもずっとコンタクトしてるから知る由もない。
0.1くらいだと思いますって適当に言ったけど多分もうちょっといい。
矯正視力がいいことでマウントを取ろうとしたんだろう。
普通に裸眼の視力がいいやつの方が偉い。
だって俺の視力悪化は多分ゲームやら小説やらによる目の酷使。
視力には罰のシステムが導入されている。
難なく視力検査をクリアし、お次は写真撮影。
数ヶ月前、パスポートを取りに行った際の証明写真が薬物中毒者かタチの悪いテロリストみたいに写ったのがトラウマで今日もこれが一番怖かった。
朝っぱらから髭を剃ったり、小綺麗な服を選んで着たり、髪をセットしたり、さながら平日のように身支度をして少しでも綺麗になれるように努力をした。
そしてパシャっと写真を撮られて、講習会へ。
前回の三十分で終わる講習とは違い、今回は一時間。
免許講習にも罰のシステムが導入されている。
だが、講習も聞いてみれば意外と楽しい。
教則の映像は気を引き締めて運転しようと感じるほど緊張感のある内容で、身につまされるような思いだ。
俺はこの講習を経て真人間へと戻る。
さらば我が黄金の日々。
講習が終わり、古い免許を返して新たな免許が渡される。
ゴールドのラインは消え去り、青い一番面白くない色のラインが入る。
無課金の色。
次は黄金を取り戻す。
そう決意する。
そして、気になるのはその写真。
写っていたのは薬物中毒のテロリストかつ転売ヤーだった。
小綺麗にしたはずなのに。
元々の存在が小綺麗じゃないのか?
青い日々が始まる。

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