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噓日記 12/14 禁煙

今朝から禁煙を始めた。
死にたくないというのもあるが、昨今はタバコの値上がりが顕著なのが主な理由。
高すぎる。
十箱吸うのを我慢したらまあまあなゲームが買えると思ったら馬鹿らしくなった。
今日から俺はタバコを吸わない真人間に戻るのだ。
ましてや生まれた時からタバコ吸って来たわけじゃない、本来の俺に戻るだけだと考えればきっと容易いことだ。
まず、俺がタバコを吸い始めた理由から禁煙のための対策を考える。
俺がタバコを吸い始めた主な理由はストレスとそれによって生まれるコミュニケーション。
当時の俺は行く宛のないストレスを抱えており、そのストレスを忘れられるのが喫煙所でのコミュニケーションだった。
それを断つことから始める。
俺はコミュニケーションを止めた。
声をかけられても奇声を発することでそれを回避した。
ウー!
文字にするならそんな声。
そしてそんなことをしている間にも生まれる口寂しさ。
普段なら暇があれば咥えていたタバコが人生において空白となって戻って来る。
それを乗り越えなければならない。
そこで私が考えたのがボイパ。
ボイスパーカッションである。
口寂しく思うたびに慣れないボイスパーカッションを練習する。
禁煙パイポならぬ禁煙ボイパである。
少しでもタバコが吸いたいなと思った瞬間にボイパの練習。
口寂しさはその必死さにかき消されていく。
舌を鳴らしてハイハット、唇を鳴らしてバスドラム。
基礎的なことから始めたがそれがなかなか難しい。
その奥深さに次第に虜になる。
先ほどよりも少しでもいい音を。
そんな探究心がタバコを吸いたいという欲求を忘れさせてくれる。
タバコを吸う暇があれば少しでも口を鳴らす。
昨日までただ浪費していた時間がそのまま自己研鑽に繋がるのだ。
午前から午後になるにつれ少しずつ俺が発する音が綺麗に、そしてバランス良くなっていく。
そんな小さな改善が嬉しくてたまらない。
昨日までのタバコを吸っていた時間を返して欲しいと思うほどにボイスパーカッションに打ち込んでいる。
一日の後半には唇の端から空気を流してトランペットの音を真似できるように練習。
少しずつおしゃれな音が鳴っていく。
そして一日の終わりに今日の成果を試すように口だけで簡単に曲を奏でてみる。
アートブレイキーのモーニン。
拙くも少しだけ音楽になっていく俺のボイパ。
なんだか面映い。
それでも音楽は止まらない。
止められない。
オリジナル禁煙、禁煙ボイパの効果は絶大だった。
最終的に一日二十本吸っていたタバコの本数は十五本に減った。
ボイパが上手くなった。
みんなは普通に禁煙したほうがいい。

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バチャゴブ
どりゃあ!