噓日記 8/29 妖怪と運転
俺はいつも車を運転している。
安全運転に気を配りながら、どこか気を抜きかけてしまう自分を叱責しながらハンドルを握る。
これでも免許取得以来、無事故無違反だと考えると、まぁ悪くない運転をしているのではないだろうか。
そんな俺が運転をしていると、稀に見かけるものがある。
自分でも完全には飲み込めない出来事なのだが。
あれは夢か幻か。
車を運転していると、俺はたまにバケモノに出会う。
スピード違反をしている輩だとか、車道に飛び出てくる老人だとか、そんなチャチなバケモノでは断じてない。
そいつらは日本人に入らないのでちゃんと減って欲しい。
俺が見る妖怪、それはターボババアだ。
ガチ妖怪。
え、こんなところでお会いしていいんでっか?
そんな妖怪にマジでたまに会える。
今朝運転してる時も普通にカッパに会ったし。
俺の先祖は恐らくカッパを嬲り殺しにしているので、めちゃくちゃカッパも俺のことを殺そうとしてくる。
かかってこんかい。
人間様の強さを見せつけてやる。
俺は子供の時からぬ〜べ〜を死ぬほど見ているのでそんじょそこらの怪異には耐性がある。
鬼の手はないが、鬼の心がある。
ぬ〜べ〜は美樹が一番エロい。
Dカップだし。
カッパにはシリカゲルが効くと昔、ぬ〜べ〜で読んだか、もしくは読んでないか。
頭の皿に乾燥剤を置く。
さて、話をターボババアに戻す。
ターボババアは右車線をタラタラ走るくせに追い抜かれるとブチギレるという悪癖がある。
これだけ聞くと実世界にいるただのカスと全く同じだが、ターボババアはそれを走りで実現させている。
そういうところに憧れてんねんな。
今日も今日とてもターボババアを追い抜けない車たちが渋滞を作っていた。
俺は左車線からターボババアを追い抜いてみる。
年金をもらった直後みたいな顔から一気に悪鬼羅刹の顔に変貌したターボババアは俺の車の真後ろで煽りダッシュをしてくる。
ハザードを焚く。
俗にいうサンキューハザードだ。
すると次第にターボババアの顔から険がとれてゆく。
優しい年金ババアの顔に戻ってゆく。
隠れた知識だがターボババアはサンキューハザードでどうとでもなるのだ。
そして、その瞬間俺はブレーキランプを5回点灯させる。
アイシテルのサインだ。
俺はターボババアでも行く。
ターボババアでも行かなければならないのだ。
ターボババアの顔から滲み出てくる恋の香り。
夏の終わりのランデブーだ。
俺はターボババアでも行く。
だって、ターボババアもDカップだから。