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噓日記 11/30 最終日

今日は11月30日。
いつの間にか11月も終わりを迎える。
日に日に寒くなっていく日々はただ漠然とその流れを忘れさせ、その小さな変化だけを俺に注目させる。
気付けばもう12月。
今年の1月にはどんな1年を過ごそうかと考えた俺も、またいつものように何も起こさないままに12月を迎えることとなる。
そんでまた今年も彼女ができねーでやんの。
ふざけるなよ。
なめやがってよ。
毎日寝る前にお祈りしてるのによ。
しかし、最後に彼女がいたのは何年前だろう。
数年前というのは覚えているが、もうはっきりと年数が出てこない。
老いなのか、時間が流れすぎたからなのか。
だが、そんな薄れゆく記憶の中でぼんやりと浮かぶ思い出がある。
近所の気が早い隣人たちが装飾したイルミネーションを見るたびに、もう名前も薄らとしか思い出せない彼女と過ごしたクリスマスイブを少しだけ思い出すのだ。
あの時、ひと月前から予約してホテルのディナーに行った。
それでその後、2人でイルミネーションを見て歩いた。
気恥ずかしいからツーショットで写真を撮ったりなんかはしなかったが、2人で煌めく電灯の下を歩くのはどこか正しい恋人の仕草をしているようで面映かった。
手を繋ぐこともなく、それ以上のことをすることもなく、流れる時間だけを2人で楽しんだ。
周りを歩くカップルたちには目もくれず、ただ世界に俺たち2人しか居ないような全能感だけがその場にはあった。
そんな思い出。
それから数年後の今年、法事の後の食事会で同じホテルのレストランに行ったのが今年のハイライト。
彼女とディナーに行った時よりこのエピソードトークを手に入れた時の方が喜びが大きかった。
俺、法事の後で行くような所を予約して彼女と飯食ったの?
めっちゃええやん。
温度感最高のエピソードトークやん。
もしかしたら彼女とイルミネーションとか見てないかも。
俺、彼女いたのかな?
もしかしたらいなかったのかもしれない。
孤独に苛まれた俺が普通にクリスマスディナー予約して1人で食べて1人でイルミネーション見たのかも。
ツーショット撮ってないのってそういうこと?
普通に怖い話になってきた。
だから彼女の名前、あんまり思い出せないのかな。
妄想にリアリティーを求めると戻れなくなるから名前とか付けなかったのかも。
確か下の名前は3文字だったと思うんだけど、そういえば元カノ全員3文字だな。
これ、元カノ全員俺の妄想説出てきたぞ。
今年の12月の目標は、クリスマスに孤独に苛まれないこと。

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バチャゴブ
どりゃあ!