噓日記 5/29 コンビニ
コンビニって便利だな、そう自然に感じることが難しいと思えるほど日常に寄り添うコンビニ。
あえて今日はそのコンビニの便利さを再確認したい。
いつでもなんでも売っているという利点は、俺をいつも支えてくれる。
例えば、腹が減った休日の昼。
ちょっと行けば簡単に弁当やおにぎりが手に入る。
だんだんと上底になってきているなんて下世話なことは言ってはいられない。
上がった底は実質的な値上げの証、俺はただ受け入れるだけ。
嘘、ちょっと嫌。
例えば、ちょっと飲み足りない宅飲みの後。
缶チューハイを数本とタバコを一箱、そして締めのカップ麺、ついでに塩気のある豆菓子でも買って帰る。
気持ちがいいなと誤魔化しながら日頃の溜飲を酒と一緒に飲み込む。
タバコを深く吸い込み、フゥーと吐き出して、こんなはずじゃあねぇのになという言葉がぼんやりとした頭の中に浮かんでは消える。
あのアンニュイな時間、俺は好きなのだ。
嘘、ちょっと嫌。
例えば仕事終わりに疲れて寄って。
晩飯なのか晩酌なのか区別もつかないようなラインナップをカゴにめちゃくちゃに詰め込んで、明日のことなど考えないで今日を忘れるための買い物。
新発売のお菓子なんて普段は視界の隅にも入れないのに、そんなメンタルの時は目ざとく見つけてしまう。
疲れに疲れて、何も見えなくなりそうな時、俺の視界、もしくは思考がいつもよりクリアになるのかもしれない。
そんな俺がちょっと好き。
嘘、多分嫌い。
つまり、どういうことかというと俺にとってのコンビニは丁度、良いことと悪いことのど真ん中なのだ。
コンビニに立ち寄って店内をぐるりと回って、買い物をして、そこでやっとニュートラルな真人間に戻ることができる。
広い懐でどんな時でも俺をそのニュートラルへ誘ってくれるのがコンビニなのだ。
便利だな、という言葉で簡単に言い表せられないほど俺の生活とは切っても切り離せないコンビニなのだが、便利だな、という言葉以上にそれをうまく表現できずもどかしい。
色んな客層を受け入れてくれるコンビニだからこそ、自分という異質が入り込んだ時、深い水底に落とされたように息苦しくなって、どうにかもがいて表に出たら、なんだか落とされる前よりもずっとスッキリしているような、そんな感覚がするのだ。
俺はコンビニが好きだ。
でも、コンビニが好きな俺がちょっと嫌いだ。
嘘、ちょっと好き。