「書く人あれば読む人あり」(号外)~課題解説~
今日はメンバーシップ限定記事「書く人あれば読む人あり」の日ではないが、先週の記事で出した課題の解説をば。
課題は敬語に関するものだった。
文章力養成講座の本流からは少し外れるが、日本語では敬語は避けて通ることのできないものであり、敬語をマスターすれば書き物の幅も広がることから課題としたのだ。
こんな課題だった。
見るからにうっとうしい問題だ。
なのに、これに4名ものnoterさんが取り組んでくださった。
そちらの発表の前に、正解と解説を載せておこう。
それでは皆さんの採点をしていこう。
※2⃣の解答の取り消し線や太字は、僕が書き入れた減点箇所
匿名希望さんの解答
1⃣①正 ②正 ③正 ④誤 ⑤正
2⃣教授が私の卒論を指導してくださったので、お礼のお手紙を今から持っていくお持ちすると佐藤君に伝えたら、ちょうど鈴木先輩が教授のところに向かう伺うところだからお預けしたらいいと言ってくださりわれ、鈴木先輩に教授のところに持っていっていただいた。
得点)4点
解説)1⃣は上の解説でご確認を。
2⃣「手紙」は受け取る教授を立てて「お手紙」に。「持っていく」相手の教授を立てて「お持ちする」に。「向かう」も同様に「伺う」に。「預ける」相手の鈴木先輩を立てて「お預けする」に。言ったのは佐藤君なので立てる必要はなく「言われ」のままで。
ちゃすよさんの解答
1⃣①正 ②正 ③正 ④誤 ⑤正
2⃣教授が私の卒論を指導してくださったので、お礼のお手紙を持って伺うお持ちすると佐藤君に伝えたら、ちょうど鈴木先輩が教授のところにおじゃまするところだからお願いすればいいと言われ、鈴木先輩に教授のところに持っていっていただいた。
得点)7点
解説)
解説)1⃣は上の解説でご確認を。
2⃣「手紙」は受け取る教授を立てて「お手紙」に。「行く」だけを「伺う」にするとよけいに「持って」の平易さが浮き彫りに。「おじゃまする」は「行く」の謙譲語なのでOK。「お願いする」はやや意味が漠然とするが、ここではOKとした。
まいまいままさんの解答
1⃣①正 ②正 ③正 ④誤 ⑤正
2⃣教授が私の卒論を指導してくださったので、お礼のお手紙を今から持っていくお持ちすると佐藤君に伝えたら、ちょうど鈴木先輩が教授のところにいらっしゃる伺うところだからお預けしたらいいと言われ、鈴木先輩に教授のところにお持ち頂いた。
得点)6点
解説)1⃣は上の解説でご確認を。
2⃣「持っていく」相手の教授を立てて「お持ちする」に。「行く」主体の鈴木先輩を立てれば「いらっしゃる」は間違いではないが、「行く」相手の教授を立てる方が重要なため「伺う」に。「預ける」相手の鈴木先輩を立てて「お預けする」に。
春伊祐歌さんの解答
1⃣①正 ②正 ③誤 ④誤 ⑤正
2⃣教授が私の卒論をご指導してくれたくださったので、お礼のお手紙を今からお持ちすると佐藤君に伝えたら、ちょうど鈴木先輩が教授のところに行く伺うところだから預けたらいいと言われ、鈴木先輩に教授のところに持っていっていただいた。
得点)5点
解説)1⃣は上の解説でご確認を。
2⃣「ご~してくれる」は教授がへりくだって私を立てることになるので「ご~くださる」に。「手紙」は受け取る教授を立てて「お手紙」に。「行く」相手の教授を立てて「伺う」に。
*
以上、いかがだっただろうか。
1⃣④ 回送電車にはご乗車できません、を全員が正しいと答えた。
これは皆さんの問題というより、全国各地の駅員がこれを連呼しているのが問題だ。
聞き慣れるとそれが正しく思えてきて、いつしかそれが正しい敬語になっていくのだろう。
敬語はたしかに難しい。
でも、「立てる」という日本特有の精神を思い起こせば、実はそれほど難しくはないものだ。
ぜひ使いこなして、敬語マスターへ! 日本語マスターへ!
(2022/12/25記)
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