今起きていることを見逃してはいけない
激しい雨音で目が覚めた。
眠い目をこすって時計を見ればまだ2:30だ。
そういえば、昨日見た天気予報では1週間先まで傘マーク。
なんだ今年はカラ梅雨かと思っていたが、そうでもないらしい。
テレビの気象予報士は言う。
「近畿地方の梅雨明けは平年並みでしょう、梅雨のピークもこれからで、これも平年並みのことです」
今年の梅雨入りが観測史上もっとも早い5月半ばだったから、梅雨明けも早いだろうと勝手に踏んでいた。
「記録的な大雨もこれからですので、今のうちにハザードマップをご確認ください」
そうなのか、本当にこれからなのだ。
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温暖化が原因なのか、近年の気象はまるで暴れ馬のようだ。
吹けば激しく、降ればまるで『ノアの方舟』のよう。
だからか、梅雨入りが史上もっとも早かったとか、その割にまったく降らないとかはすべて「異常気象」で括られがちだ。
果ては、今年はカラ梅雨だったから夏は暑くなりそう、などとすでにカラ梅雨を前提にして夏を語るにわか予報士も周囲に多い。
ただ単に梅雨入り宣言を出すのが早すぎただけ、と考えれば腑に落ちる。
6月半ばくらいから雲が多く、これから平年並みに降り、7月半ばに明けるとなれば、いたってふつうの梅雨だ。
なんでも異常気象に結びつければ便利かもしれないが、本質を見誤る。
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そういえば『ノアの方舟』の絵本は小さい頃の愛読書だった。
洪水の恐ろしさなどまだ知らず、大きな舟にあらゆる動物のつがいを乗せて嵐がやむまで耐えぬく絵とストーリーにワクワクしたものだ。
聖書のことはよく知らないが、堕落した人間を一掃するため神が降らせた恐ろしい大雨だったと後に知って驚愕した。
昨年比、平年比に縛られて、今起きていることを見逃してはいけない。
データによればとか、客観的に分析すればとかばかり言って感受性をないがしろにしてたら、またぞろ神の怒りを買うかもしれない。
(2021/7/1記)