My 50 Best Albums of 2023
2023年、個人的に「おぉ」と思ったアルバム(EP、ミックステープ含む)を50枚選びました。対象期間 2022年12月〜2023年11月。
50位~11位は、順不同でただ羅列してます。
選んだ50枚それぞれから、一番再生回数の多い曲を集めたプレイリストも作りました。
50 ~ 11 (順不同)
Let's Start Here. - Lil Yachty
That! Feels Good! - Jessie Ware
Messy - Olivia Dean
Archives & Lullabies - Sabrina Claudio
A Good Life - Marie Dahlstrom
3 of Us - FLO
The Love Album: Off The Grid - Diddy
Again - Oneohtrix Point Never
Red Moon In Venus - Kali Uchis
FIELDNOTES III - Ego Ella May
I Left My Heart In Ladera - Terrace Martin, Alex Isley
Javelin - Sufjan Stevens
WILLPOWER - Joy Denalance
falling or flying - Jorja Smith
ESQUINAS - Becky G
MAÑANA SERÁ BONITO - KAROL G
I Told Them… - Burna Boy
Snow Angel - Reneé Rapp
World Music Radio - Jon Batiste
Sundial - Noname
UTOPIA - Travis Scott
Beautiful and Brutal Yard - J Hus
My Back Was A Bridge For You To Cross - ANOHNI and the Johnsons
Guy - Jayda G
DIAMONDS & FREAKS - BLK ODYSSY
Petals to Thorns - d4vd
Autodidacta - J Noa
KAYTRAMINÉ - KAYTRAMINÉ
Closure Tapes - Mnelia
MASEGO - Masego
My 21st Century Blues - RAYE
Dark Side - Justine Skye
Lotus Glow - Adi Oasis
DATA - Tainy
Into You - Incognito
Mid Air - Romy
11:11 - Chris Brown
WEEDKILLER - Ashnikko
In The End It Always Does - The Japanese House
expérgo - NMIXX
ここからはランク付きのトップ10です。申し訳程度の感想/レビューも。
10. SCARING THE HOES - JPEGMAFIA, Danny Brown
そうだ、音楽って何やってもいいじゃないかと久しぶりに開眼させられた。アンダーグラウンド Hip-Hop の巨頭である JPEGMAFIA と Danny Brown がどのようなプロセスを経て、このスタイルのジョイントアルバムに行き着いたのか甚だ不思議だが、そんなのどうでもよくなるくらいに破壊的で説得力がある。
9. Raven - Kelela
クラブ/レイヴミュージックの興奮を持っていながら、いつどこからでもアクセスして楽しめるフットワークの軽さがある一枚。情熱の暑苦しさと清らかさの冷たさが両立しているのが不思議だが、それは世界各地のアンダーグラウンドシーンがごちゃまぜに体現しているからこその多面性によるものなのかと想像したりする。
8. Gold - Cleo Sol
説明を一切必要としない作品。Cleo Sol と Inflo のコンビは、オーガニックでひたすら心が浄化されるソウルを量産し続けるらしい。
7. JAGUAR II - Victoria Monét
前作『JAGUAR』の時点で、Ariana Grande の右腕として活躍してきた Victoria Monét の本気が存分に発揮されていたが、シリーズ2作目はオーセンティックなソウルのスタイルでカムバック。2021年の Silk Sonic と同じくほとんどのトラックを D'Mile がプロデュースしており、2年の時を経て各アーティストへ影響が及んでいるように感じる。2023年のベスト R&B/ソウルアルバム。
6. The Age of Pleasure - Janelle Monáe
「パン・アフリカ・ディアスポラへのラブレター」。Janelle Monáe は4枚目の LP『The Art of Pleasure』をそう形容している。
ハイコンセプチュアルなこれまでのディスコグラフィの様相からは一旦距離を置き、性と快楽をひたすら称賛する夏にぴったりのアルバムだった。クィアなアフリカ系女性というアイデンティティをエンパワーメントするのはもちろん、そのアイデンティティを「武器」として、アフロビート/アフロビーツ、ソウル、レゲエと、縦横無尽にサウンドを行き来する今作は、一箇所に留まらないアイデンティティと快楽の流動性を体現しているようでもあった。
5. Fountain Baby - Amaarae
アフロポップ(Alté)を一枚のアルバムにパッケージした作品があるとすれば、これだ。オルタナティブ R&B の筆頭格である Ravyn Lenae らと共通するのは、なんと言ってもキュートなボーカル。
アフロビートを中心にしながら、日本の琴がふとした瞬間に聴こえてきたり、パンクのテイストが入ってきたりと、その思い切りの良さと自由さに魅了される。
4. Heaven knows - PinkPantheress
2023年を彩った2代若手アーティストは、NewJeans と PinkPantheress なはずだ。
Zoom のオンライン授業の合間にビートメイキングしていたあの頃の彼女の小さな音楽(ミニマルな音楽性、ミニマルなストーリーテリング)はこのデビュー LP で一気に飛躍し、メインストリームのポップシーンを意識したサウンドへシフトチェンジしている(部分もある)。
しかしそれはトレンドの変化が激しいダンスミュージック界の必然的な流れでもあり、トレンドセッターとポップアイコンとしての役割の両方を果たそうとしているのは感じられる。よっぽど彼女には好きにしてもらって、なんならこのまま K-Pop により傾倒していってもらっても全く構わない。むしろ期待している。
3. BB/ANG3L - Tinashe
たった7曲、20分のランタイムで極短レコードだが、聴き応えは十分。スペーシャスで、タイトで、何よりも陰湿なセクシーさが醸し出される上質なオルタナティブR&B に仕上がっている。
M3「Needs」を先行シングルとして聴いた時は、シンプルな Roland-808 の R&B ナンバーで掴み所がないように感じた。しかしアルバム曲として聴いてみると、不思議なことにこの曲だけでなく他の曲も引き立てる心地良いナンバーへの印象が変わる。
オルタナティブ R&B の真髄はボーカルというより「息づかい」にあると言わんばかりの M4「Uh Huh」で密室に誘い込まれたと思いきや、軽快な UK ガラージの M5「Gravity」で我々を静かに踊らせもする。重さもあるが、爽快感もある。だから何度でもサクッと聴きたくなってしまう。
2. SOS - SZA
「人生には自制心(control)が必要」と、恋愛と孤独におけるメンタルヘルスについて歌った『Ctrl』(2018) の続編としてのストーリーで行き着いたのが、ダイアナ元妃のパパラッチ写真を思わせるアートワークを据えた『SOS』(2022) だ。23曲、1時間8分の長尺でありながらもポップレコードとして大衆に広く受け入れられたのは正直驚き。
Phoebe Bridgers を迎えたM12「Ghost in the Machine」、ポップパンクの「F2F」(同アルバムがリリースされた直後、ツイッターで「Hannah Montana」がトレンド入りしていたことを覚えている。リスナー層もその年齢のその辺りのファンということが垣間見えて興味深かった)など、SZA の音楽性はオーセンティックな R&B というよりもむしろインディロック的なアプローチが強いことの象徴だ。
制作面では Rodney Jerkins や Babyface らのサポートもあり、R&B に惹かれたことのある人なら誰でも熱中できるレコード。R&B は死んだのではなく、形を変えてどこにでも存在できるようになったのだ。
1. GUTS - Olivia Rodrigo
期待の高かった Olivia Rodrigo のセカンドアルバム。
M1「all-american b*tch」でのボーカルのギアの切り替えが巧みなように、演技由来の感情剥き出しのボーカルパフォーマンスは彼女の最大の強みである。
全てがパンチラインと思えるほどリリックは鋭く、惨めな私、自暴自棄な私、欲望に従順な私がひたすら交錯していく様子は、一人の女性の日記を読んでいるよう。
「私の肌は骨とうまく合ってないような気がする」(M5「ballad of a homeschooled girl」より)、「身体も顔も変えたけど(略)いつも同じ気がする(略)だって十分可愛いなんてことはないから」(M11「pretty isn't pretty」より)と、ボディシェイミングやメイクに対する強迫観念を苦しくなるほどに正直に告白することでリスナーの共感を呼ぶ。自然にいられるのはベッドメイキングしている時だけ(M6「making the bed」より)であり、ポップスターの宿命を重く受け止めつつも、彼女も「本当の自分」を探り続けているのだ。
「歳を重ねればいずれ良くなるってみんなは言うけど、私はならなかったらどうするの?」(M12「teenage dream」より)。ひと昔前の世代までは実現可能だった人生設計が崩れ、未来のない若者たち。私たちの人生を楽観的に説教してくる人もいるけど、「私たちの世代はもう良くならないのでは」という不安は、Z世代のガッツ(直感)として共有されている。
トップ10、水に浸ってるアートワーク多すぎ。
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