「ゆっカメ」から「推しカメ」へ
今回の「櫻坂46全国ツアーファイナル東京ドーム二日目」で、初めて「ゆっカメ」という新システムが導入された。
これは、配信に別アングルを追加するもので、いまのところstagecrowdでの実装が確認されている。
「通常アングル」は従来の映像で、カメラ演出が凝っていて、主に櫻エイトメンバーを映しつつも、他のメンバーも映し、ステージや会場を映し、ライブの雰囲気を表現しようとしているかのようなカメラワーク。
それに対してこの新しい「ゆっカメ」は、その名称から推測できるように、ゆっかー、つまりこの公演で卒業となる菅井友香にフォーカスするためのカメラである。菅井友香がステージに立っている間は、忠実な執事か、凄腕の狙撃手か、熱心なファンの双眼鏡のように、ひたすら菅井友香の動きを追いかける。しかし、菅井友香がステージ上にいない場面では、休憩するかのように静止して定点カメラとしてステージ全体を同じ画角で写し続ける。「通常アングル」に比べると急に味気ない印象を受けるかもしれないが、考えようによっては、この「定点」映像は、実際に会場にいて、たまたまその席、その角度からステージを見ることになった場合の映像に近いのではないか。つまり、「ゆっカメ」の休憩状態は、会場に着席している視線を味わえるということになる。
しかし、それで終わらないのが、担当者を褒め称えたいところ。
曲を経るごとにズームイン・ズームアウトを始めたり、ドローンと交代してステージをぐるぐる周回し始めたりするのだ。いろいろ試し始めたのだ。この試行錯誤がひとつの答えに到達したのが、「I'm in」。あの動くステージの周りを、ドローンでぐるぐる周回するのだ。ステージのはしとはしが、スクリーンのはしとはしと常に一致している。
ファンの中に、どんな混戦でも自分の推しを瞬時に見分ける目を養っていないものはいないだろう(齋藤冬優花推しはこの能力が最も高いと言われている)。その目が備わっていて、映像が定点カメラだった場合に何が得られるかを想像していただきたい。そう、
「ずっと推しが見られる」
である。
これは、会場現地の特権で、配信勢には夢のまた夢だった。
これが、部分的にではあるが、今回の「ゆっカメ」で擬似的に体験できたのである。
例えば、『流れ弾』の「動画 投稿中」の齋藤冬優花ちゃんのとんでもなくかっこいい片膝立ちは、「通常アングル」だけでは、配信勢は見れずに終わっていたのだ。知ることすらできなかった。それが、「ゆっカメ」にはばっちり映っている。この差はとんでもなく大きい。
ここまでで、ちらちらと、「ゆっカメ」のその先が見えてくる。それが、
「推しカメ」
配信勢でもずっと推しを目で追えるカメラ視点。
配信勢の夢。
しかし、なにも、ずっとフォーカスしてくれるカメラをメンバー人数分用意してほしいというのではない。そういう方向に行くと、とたんに実現しにくくなる。
そうではなくて、多くて四つの定点カメラを追加していただければいいのではないかと考える。
- 正面
- 右
- 左
- 周回ドローン(動くステージ・花道用)
すくなくとも、「正面」と「ドローン」。
これだけの定点映像があれば、あとは観る者が見方を工夫して推しを探せば、擬似的にかなり推しフォーカスの「推しカメ」が、配信で実現できるのではないかと考える。
「通常アングル」でチーム櫻坂が見せたい表現と矛盾するような希望かもしれません。
それでも、私は、推しの活躍をつぶさに鑑賞したいという気持ちを表したいです。
「ゆっカメ」いいね、という意見がたくさん伝わって、「推しカメ」が誕生してくれたらなと願います。