無本番・練習日記2021年1月11日~1月17日

2021年1月11日(月祝)
音階(C-dur , a-moll)
セヴシック:ヴァイオリン教本 Op.2 Part1
ドゥヴィエンヌ:フルートとヴィオラのための6つの協奏的二重奏曲 Op.5
 昨日から一夜明けて、達成感のようなものから一転。反省の波が押し寄せてきた。やり直しがしたくてたまらなくなる。時を戻すのは叶わないから、せめてこの感情と反省を次のモダンでの録音に活かし、バロックでのリベンジの機会が来ることを願おう。
 今日の練習はモダンヴィオラのみ。バロックヴィオラは昨日の調弦が422Hzだったこともあり、安否確認だけを行った。
 音階を弾き、セヴシックの6番。モダンで弾くと、バロックとは違った感覚。最近セヴシックはバロックでしか弾いていなかったため、色々なものがリセットされる気がした。迷った末練習曲は省き、ドゥヴィエンヌの二重奏をモダンで弾くべく、練習開始。使用楽器が変わることで昨日の反省がどこまで活かせるか定かではないが、活かせるところは活かしていこう。まず個人練習でアンサンブル力を磨く方法を探さなければ。本来ならリハや本番など実地でやっていることが、昨今の情勢で出来なくなってしまった。昨日の感覚が残っていたので、今日の所は「共演者がいる」ことを念頭に置いて練習を行うことにした。一人で楽譜に向き合ってばかりいることで視野が狭まり、共演者への意識や「同じものを作る」意識が希薄になってしまうものらしい(そして合わせ当日困惑する)。あくまで和声の構成要員の一人であり、「音楽」という機械の部品の一つであることを忘れずにおこうと思った。
バロックヴィオラの練習方法は見直す時期が来たのかもしれない。薄々感じていたことだが、昨日はっきりした。

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2021年1月12日(火)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing Violin
 バロックヴィオラでの練習方法を見直そうと決めたは良いものの、こういう時に限ってやる気が家出している。青学の本番中止に伴いバロックヴィオラの本番がしばらくないことは確定したから焦ってはいないものの、何もしないのはまずい気がしたので、音だけでも出しておくことにした。頭を使わずに済む練習。無意識で、ボーッとしながらでも大丈夫なもの。
 終始一貫して四分音符の、ジェミニアーニの7番を選ぶ。これをダラダラと、目的もなく音出し。どういう音とか音色を出そうというのでもなく、今日はただ音が出れば良しとする。
 そういえば無意識でも身体が動かせるようにするのが練習だったと、弾きながら今更思い出す。なぜこれを先週思い出せなかったのか。

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2021年1月13日(水)
セヴシック:ヴァイオリン教本 Op.2 Part1
 予定していたオケの授業も、新型コロナの影響でオンラインでの座学になってしまった。コンチェルトでソロを吹く予定だった学生さんのことを思うと、ご時世とはいえ胸が痛む。浮いた移動時間を練習に充てられるものの(音楽家の仕事内容の半分は移動だと思う)相次ぐ予定変更にすっかり意欲が削がれてしまい、今日も頭を使わずに出来る練習を探す。
 昨日はバロックを中心に弾いたので、今日は本来オケ授業で弾く予定だったモダンを中心に据える。セヴシックの6番と7番を、弓のバリエーションも交えつつ1時間、何も考えずダラダラと弾いた。弾いているうちにやる気が顔を出してくれればめっけもの。少し気持ちが戻ってきたので、ついでの気持ちでドゥヴィエンヌをモダンで音出し。
聴いている側に難しさを感じさせない弾き方を。五条大橋で弁慶と対峙した牛若丸のように(見た目だけは)身軽に、気軽に。
バロックヴィオラは無事確認を兼ねた音出しのみ。

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2021年1月14日(木)
他用のため練習お休み。

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2021年1月15日(金)
音階(2オクターブのC-dur)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing Violin
音階(C-dur , a-moll)
ヘルツォーゲンベルク:『受難』ヴィオラパート
ドゥヴィエンヌ:フルートとヴィオラのための6つの協奏的二重奏曲 Op.5
 一日練習を休んでいる間に、やる気が通常運転に戻っていた。
 はじめに実質2日間弾いていなかったバロックヴィオラから音出し。セヴシックとは関係なく、2オクターブのC-durを緩めのテンポで弾く。その後ジェミニアーニの9番。今までは音を出すことに懸命になっていたが、今日は何てことなく弾いているように見えることを目指す。本当に上手な人はそれが例え難曲であろうと、聴いている側に難しさよりも、むしろ簡単さを感じさせるのだそうだ。練習の着眼点を変える度に色々に表情を変えるバロックヴィオラ、音質も変わった気がする。
 モダンヴィオラは音階の後、3月に公演予定、ヘルツォーゲンベルク作曲の『受難』を譜読み。本来ならば2020年4月に公演するはずだったものがコロナで延期になり、今回の受難節での公演もどうなるかわからない。幸い延期になる前1度だけオケのみで合わせをしており、弾いているうちに思い出してきたので譜読みは比較的スムーズだった。
とはいえtacetはそれなりにあっても、2部構成を全て一通り見るには時間が掛かる。最後にようやく、明日合わせを予定しているドゥヴィエンヌの二重奏練習に着手。フルート四重奏をやったことはあったけれど、フルートとの二重奏も今回が初めて。フルートトラヴェルソとはまたバランスが違うのだろうかと、今は想像することしかできない。そういえばオケでも席が離れていることが多いので、フルートの音のキャラクターを間近に感じる機会もなかったかもしれない。
明日の合わせはどうなるか。楽しみ半分、不安半分。

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2021年1月16日(土)
合わせのため個人練習お休み。
 本日の合わせは来週の、ドゥヴィエンヌのFl&Va二重奏録音、もとい動画撮影に向けてのもの。曲は先週10日に撮影したものと同じものながら、古楽器をモダンに持ち替えて演奏する。知り合った時もバロックでの仕事だったため、お互いモダンの音を聴くのは初めて。6番・4番・3番の順に合わせを進めていく。
 管楽器は古楽器とモダンでかなり違うということは知識では知っていたものの、こうして実際に室内楽で合わせてみると、音量や音圧など、別の楽器のようにも感じられる。弦楽器もそれなりに違いはあるけれど、それ以上。古楽器で演奏したときは軽やかなトラヴェルソの音色とのバランスを壊さないように慎重になっていた。それと比較すると、「完全に異なる属性の楽器」としてお互いの違いをそのまま当て合うことが、モダンの演奏には合っているようだ。また、どこで何がどう違うのかは解明できなかったが、演奏でのアプローチの変化も自覚することができた。何が一体そうさせるのだろう。
 一つ解ったのは、古楽器とモダン楽器を両方演奏していくのであれば、それぞれの特色や強みを把握していなければいけないということ。
 最終的に落ち着いたのは今流行りのバロック風の演奏ではなく、ビブラートをしっかりかけた、モダン楽器としての演奏だった。20世紀のモダン楽器でのバロック作品の演奏がカッコイイと、フルートの人と話をしたのだった。モダンにはモダンの良さがある。
 特に古楽器とモダン楽器使用の違いがはっきりしたのは、3番だった。
 古楽器使用の際に衝撃すら受けた、繊細さを通り越した不安定さや「ヤンデレ」感は鳴りを潜め、不安定さは柔らかさに変換され、病んでいる部分は健康的に。楽器が変わるとこうも変わるものか。

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2021年1月17日(日)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing Violin
ゆるゆると練習したい気分だったため、昨日音出ししていなかったバロックヴィオラをケースから出す。ジェミニアーニの7番でポジション移動の練習。未だ楽器を軽く顎で抑えるようにしないとポジションを下りられないので、もう少し良い方法はないものかと模索。知識量の不足も薄々感じており、すぐに調べ物ができた大学時代の環境が懐かしい。卒業生も利用できる施設ではあるものの、新型コロナの感染対策で今は利用できるのかどうか。気軽に図書館や都内に行くことのできない今のご時世の難しさを感じる。

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