無本番・練習日記2021年2月1日~2月7日

2021年2月1日
セヴシック:ヴァイオリン教本 Op.2 Part1
音階(C-dur , a-moll)
ヘルツォーゲンベルク:『受難』ヴィオラパート
 本日はモダンヴィオラのみの練習。セヴシックの3番(ロングトーン)と6番で指慣らしして音階で基礎練習に区切りをつけ、あとの時間は3月にやるであろうヘルツォーゲンベルク『受難』のヴィオラパートを、昨日スコア片手に聴いた第1部を中心にしてさらう。最初困っていた松葉(<>)の扱いは、「音量の増減ではなく、音楽の持って行き方の変化」という公開レッスンで聞いた言葉を思い出したことで解決。確かシューマンの歌曲でのレッスンだったか。記号一つでも、捉える視点が変われば楽譜全体の見え方が変わってくる。今回は各パート一人ずつ、オケというよりは室内楽に近い弾き方になるだろう。
 聞いたところによると、ヘルツォーゲンベルクという人はブラームスと手紙のやり取りのあった人物だそう。ブラームス、室内楽作品はいくつか弾いているけれど、『2つの歌曲』以外どんな弾き心地だったか思い出せない。ヴィオラソナタは弾きづらい苦手な印象しかないし。この本番が実現すれば、何度弾いても遠くに感じているロマン派の音楽を、少しは近く感じられるようになるだろうか。

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2021年2月2日(火)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
F.A.ホフマイスター:ヴィオラのための12の練習曲
 音出しはバロックヴィオラのみ。ジェミニアーニの1番と2番で準備運動し、ホフマイスターの5番でポジション移動の実践。テーマからは弾かず、手こずっているVar.2から練
習を始める。今まで目をつぶってきた少々の不都合に目を向けると、結果的に音符を繊細に扱うことになるらしい。掴みかけては逃げていく手応えを感じながら、テンポを落としての練習を繰り返す。単純にポジション移動がままならないからテンポを落としているだけとはいえ、弓のスピード・圧力・音符の重さ、全てのバランスを意識した練習。モダンだけ弾いていたら素通りしていた方法かもしれない。音符の繊細さにすんなり気付ける人というのは、正直うらやましいと思う。
 Var.2だけやっていても仕方がないので、他のヴァリエーションにも手を伸ばす。それぞれに難しく、しばらく5番とのお付き合いは続きそうだ。
 モダンヴィオラは音出しの時間を、スコア片手に『受難』第2部を聴く時間に充てる。昨日に引き続き、目を向けがちなヴィオラパートではなく、合唱の歌詞を追うことを意識。これで全曲聴いたことになる。ところどころ譜読み間違いを発見、聴いておいてよかった。

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2021年2月3日(水)
ヘルツォーゲンベルク:『受難』ヴィオラパート
 思いもかけず楽器を触る時間を取ることが出来たので、手薄になっていたヘルツォーゲンベルク『受難』の第2部を音出し。練習中、歌詞書き写しが2部の途中で止まっていたことに気が付いた。今月のどこかで、最後まで書いておかねば。長いスラーを切る場所が探しづらい。
 ある程度課題と向き合っているとふとした瞬間にもつれた糸が解けるきっかけが見つかるのは音楽も同じようで、しばらく弾いていて長いフレーズの弾きづらさを緩和する方法を思い出すことが出来た。自分の中でのヒントのきっかけはバッハのカンタータ147番の1曲目。拍子記号の扱いへの気付き、「やっと」という感じは否めない。ただしこれでどの作品であれ景色が見やすくなるのであれば、気付けて良かったというところだろう。
 松葉(<>)の扱いといい、今日の拍子記号の扱いといい、きっかけは全て小林道夫先生のアカデミーでの言葉だった。先生の言葉は、ふとした瞬間に記憶の底から浮かんでくる。
 一気に頭がスッキリしたので、残った集中力で第1部も見る。いまいち見えなかった1曲目以降も(つまり最初から)全身の毛穴が開くように様々な疑問が腑に落ち、急に視界が明るくなった気がした。

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2021年2月4日(木)
他用のため練習お休み。
(余談)大事なのは、「何で弾くか」じゃなくて、「何を弾くか」だ。

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2021年2月5日(金)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
F.A.ホフマイスター:ヴィオラのための12の練習曲
音階(C-dur , a-moll)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲
ヘルツォーゲンベルク:『受難』ヴィオラパート
 バロックヴィオラから音出し。ジェミニアーニの2番で長めの準備運動。まだポジション移動はスイスイには程遠いものの、少しずつ出来ることは増えている。ホフマイスターの5番は、一昨日の気付きから急に演奏が楽になった。「仕事」が必要最低限になった解放感。ただしやり易いシフティングの模索など、課題は残る。はて、ホフマイスターの時代を弾くとき、楽器に顎は乗せて良いものなのだろうか。
 モダンヴィオラは音階から。最近はセヴシックで準備運動を行っていたので、久しぶりに音階を弾いた気がする。指慣らしをしてバッハの無伴奏チェロ組曲の第4番。楽譜に対する気付きは得たものの、まだそれは感覚的なもので、自分の言葉で発信するには至っていない。これをいかにしてレッスンで生徒に伝えるか。頭の中で小林道夫先生が指揮をしておられる映像はずっと流れているのだけれど、人間の頭にパソコンケーブルは接続できないので、これをそのまま共有することはできない。言葉で表現する方法を探そう。
とりあえず一昨日気付いたことの検証と、確証を得るため1曲目から順番に曲を見ていった。これから更に細かい問題は出てくるだろうが、明後日の方向に進んでいることはないらしい。
ヘルツォーゲンベルクは一昨日の続き。第2部の終盤と、第1部。少しずつヴィオラパートが頭に入ってきた。初回の合わせは3月なので、一安心。

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2021年2月6日(土)
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー
F.A.ホフマイスター:ヴィオラのための12の練習曲
 指慣らしせず、曲だけさらう日。
 最早自分にあるのが当たり前になっていて気付かなくなってしまった、長年お腹の底にわだかまっていた疑問や課題。それが一つ解決に導かれると他の問題も連動するように解決されるので、しばらく練習がスムーズになる。今日の練習はこの解決策が他の時代でも適用できる方法なのか、試す練習。バロックヴィオラでテレマンのファンタジー6番とホフマイスターの5番。ホフマイスターはモダンヴィオラでも弾くことに。5番・1番・4番。今までフレーズのつながりや縦の拍感は意識していても、1小節の中の時間の扱い方には着目していなかった。小節の中が繋がっていないのに、4小節や8小節を一つのフレーズとしてまとめられるわけがないのだ。基本中の基本のはずなのに、なぜ今まで忘れてしまっていたのだろう。休符の扱い方も、拍感も、全てここに入っていた。小林道夫先生がカンタータクラブでよく仰っていた「一晩中薪割りしないで」の意味も、漠然としてではなく、ようやく飲み込むことが出来た。あとはドントやヴューの練習曲でも試してみよう。

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2021年2月7日(日)
カイザー:36の練習曲 Op.43
F.A.ホフマイスター:フルートとヴィオラのための3つの協奏的二重奏(Va)
 モダンヴィオラで譜読みの日。
 カイザーは自分用というよりは、レッスンでの使用を検討するための譜読み。野菜の切り方だけ知っていてもカレーを作れるわけではないので、セヴシックや音階だけではなく、実践的な、それでいて譜読みの負担は少ない短い練習曲集を探していた。
ヴァイオリンの練習曲のイメージが強いカイザー、弾いてみたら思いの外面白く、少なくとも自分の練習には使えることが判明した。とりあえず36番まで一通り弾いてみての感想としては、1曲1曲が5段程度と短い中に、演奏の要素がギュッと詰まっている印象。さらに良いことには、ほとんど1stポジションで演奏できる。コロナで「本番がほとんどない&遠出が出来ない=新しい楽譜に触れる機会がほとんどない」状況なので、新しい譜面の景色に飢えていたところ。レッスンで使えるかどうかはさておき、個人練習でのお付き合いが始まりそうな予感。
ホフマイスターのフルートとのデュオは、これで合っているかわからないけれどペトルッチで楽譜をダウンロードしたものを譜読み。ただ調べたところによると題名に「3つの」とあるので、探し直した方が良いのかもしれない。

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