ロンドンで模索する「私」らしさ
ロンドンの美大にいて、私が今一番苦労していることがある。
それは「どれだけ人と異なることができるのか、枠をはみ出せるのか」ということである。
ご存じの通り日本は「右にならえ」の文化で、和を乱すものは白い目で見られる。
どちらかというと優等生的な人生を送ってきた私にとっては、なるべく枠を外れることなく、その中でベストを尽くすような生き方だったと思う。
そして気づけばいつか自分で作った見えない枠に囚われて、みんなが良いと思うようなものを良いと感じ、マジョリティに迎合するようになっていた。
そして、自分らしさとは何か、わからなくなった。
ロンドンでは、あるいは芸術大学では、「みんなと同じ」ということはイコール「つまらない」という見方をされる。
当たり前である。I Love New Yorkのロゴを作ったMilton Glaserを真似て、I love Tokyoを作っても私が有名になることはないのである。
どれだけ人と違うことをするのか
どれだけ新しい考えやデザインを見せられるのか
どれだけ枠から外れることができるのか
みんなとなるべく同じことが良しとされてきた文化で育った私にとって、人と違うことをする、というのはなかなか難しかった。
日本にいる時は、会社を辞めてイギリスにいったり、周りから見れば人と全然違うことをしている変わった存在ではあったと思う。
しかし、今ロンドンの美大だけでも同じような境遇の日本人は一定数いる。私は全くもって特別な存在ではない。
その中で、私らしさ、とはなんだろうか、ここしばらく考えている。
私が本当に好きなもの
私がやりたいこと
私にしかできないこと
就活生の時以上に、自分に向き合っている。
しかし、思いつくそのどれもがすでに誰かが思いついて作品にしていたりして、それを見るたびに自分は平凡な人間なのかもしれない、とまた失望してしまう。
きっと、1本勝負では難しいので、どれだけ掛け算の項を増やすことができるかが大事なのではないかと思う。
「私とはなんだろうか?」
もしこの問いのヒントになるおすすめの本や作品があれば、ぜひ教えてください。