Girl Stay Home
「Girl Stay Home!」
──と、ラジオをつけたら突然言われた(ように聞こえた)、大雨の土曜日。それがきっかけで、「少女のひとり時間」について考え始めました。
そもそも少女とは、ひとりが得意なものだと思います。
私が読んできた児童文学や少女小説の主人公たちは、みんな空想好きで、ひとりの時間を愛して楽しめる女の子ばかりでした。
イラストや写真にしても、少女的な世界観の中に描出される女の子はたいていひとり。ガールズパーティ的な集合図であっても、輪になって向き合うのではなく、集まっていながら思い思いにペディキュアを塗ったり、スタイルブックを広げたりしていてこそ、より少女らしさが感じられるものです。
少女の世界は、「私とわたし」の間で成り立つもの。
アリスは、ひとりでなければ兎の穴には飛び込めなかったはずなのです。
だから少女にとってひとりとは、持て余すものでも、脅えるものでもない。自分と愛し合う聖なる時間。
真っ赤ないちごのタルトを食べる。
ぬいぐるみを並べてお茶会を開く。
詩集を読む。
爪や唇を塗る。
ひとりでファッションショーをする──
「それは 初めは とてもすてきだと思うよ
でもさ そんなことは 午前1時2時であきてくる」
(大島弓子『草冠の姫』)
家族のいない初めての夜を楽しもうとする少女に、こうつぶやくのは遊び慣れた大人の男の子。我に返ったときの、静けさは重くてこわいよ。ひとりは寒くて寂しいよ。だから、ここへおいで──
はたして彼女は、夜道をひとり走って彼の部屋のドアを叩くのです。
たぶん、ひとりで過ごすことよりも、ほかの誰かを求めたくなる瞬間が、少女期の終わりなのだと思います。
そして少女期の城を一度出たら、プリンセスはもう帰れない。あの城の中で、自分がどんな夢を見ていたのか、思い出せなくなっていくのでしょう。
「Girl Stay Home」