見出し画像

満を持してポンコツさんを語る

 3ヶ月前のある日。ふと足を踏み入れたところ、noteの世界は多種多様な木々が立ち並ぶ、巨大な森のようだった。
 私はどの木と相性が良いのか、森の中を彷徨い、あちらこちらに目を向ける。
 そのうちに、太い幹を持つ大樹を見つけ、その枝に茂る、煌めく葉の一枚を手に取る。葉のそれぞれは別種のようでありながら、共通する何かを放っているのだ。

🌳 👸 🐎 🏰 👓 🎻 🎹 📖 ✈️   🌲

 物語に胸躍らせたり、音楽や歴史を楽しみ、エッセイで寛いだり、美しい写真を眺めたり、縁のなかった難解な分野に頭を傾げたり、路地裏をかなり遠くの方から覗いたり。
 

 ある日、新作の中に沖縄の旅の記事があった。日本にいた頃は、毎年訪れていた沖縄🌴🌺✨
早速拝見。


作者【ポンコツ】  …ポ、ポンコツ?
コメントする時に躊躇しそうなネーミングだ。知らない人に向かってポンコツさん、などと呼びかけていいのだろうか🤔、と礼儀を重んじる私は既に躊躇している。

ポンコツ画伯 自画像


 ポンコツさんの考察の前に、私自身の沖縄の思い出も少し。
 宿泊先が長期滞在用のホテル、という共通点があったので嬉しくなったのだ(^-^)

 私は毎年春に姉と石垣島に行き、数日を過ごしていた。島ラッキョの出回るシーズン。
空港に到着するとすぐに八重山そばを食し、毎日島をレンタカーで巡り、灯台を眺めたり、川平湾の直売センターで真珠のアクセサリーを買ったり。
 またそこから竹富島に渡り、島の中心にある小さな郵便局から手紙を出してみたり、星の砂の浜辺を歩いてみたり。

 姪っ子に勧められて知った港近くのホテルは、長期滞在者が多い。
 部屋は板張りで、入り口で靴を脱いで上がる造り。部屋に入ったその時点で寛げる。

 ご近所の奥さんらしい人たちがやって来て作る朝食は、煮物や焼き物、海産物多めのおかずが実に美味。

 地元の主婦が作るお料理というのは、沖縄を含め、全国各地、それぞれ味に気合いがあって、とてもよそ者には再現できない味わいがある。
 たまに大きなホテルに宿泊したりもしたが、やはりこのホテルの朝食目当てに戻ってくるのだった。

 海で仕事をする人用に作られたという、やや重めの丈夫なサンダル “ギョサン” を買い、それを履いて、ズルズルのんびり歩く。楽。
『もうパンプスやストッキングなんて一生履きたくない〜』と毎年口にしていた。

 足元がギョサンなので、それに合う服も選ばねば。沖縄のあの日差しや空気の元では、綿やレーヨンなど自然素材の服しか着たくなくなる。かと言って、私や姉は[海人]とプリントされたTシャツなどを着る種族ではない。

 旅の最後は、沖縄本島で一泊。毎回首里城に向かう。
あの場所は特別だ。
 琉球の建築や歴史は興味深く、当時完成してまもなかった本殿横の棟で、お茶や伝統的なお菓子を楽しんだり。
 首里城焼失のニュースにはしばらく涙が止まらなかった。現在復興中の建物完成後に、いつかまた訪ねてみたい。

▪️ポンコツさんの沖縄旅行記

 さて、そんな沖縄の思い出がある私が、妙に気になって読んでしまった記事の書き手、それがポンコツさんであった。

 ご自作のイラストと文章の構成。そのササッと適当〜に描かれた感じのイラストが妙に気になる。味がある。そして文字数の少なさ!
 私などは、自分の沖縄の事を書いてみたら、それだけで既に600字くらい使ってしまったというのに(~_~;)

 文章短っ(´⊙ω⊙`)  
 しかし、ポンコツさんの短い言葉の中には、何かが潜んでいる。それも極上の。それが私を惹きつける。
これは一体何なのだろう?!  


濃いお顔の東南アジア系の方だそうです

まずお読みいただきたい。


▪️ポンコツさんのお仕事、人との繋がり

 名作である。この絵と文章の中に、ポンコツさんを取り巻く優しい世界が凝縮している。


 かつて保育園にお勤めだったポンコツさんは、
“なんかそこで人間不信になって”退職され、しばらく人と話さなくても済む寮のお掃除を仕事としていた。
しかし二年が過ぎたある日、
『誰かと話してえな』と。

 幸い別の保育園に職を得たポンコツさん。
2年ぶりで怖いと思いつつも、お掃除に使っていたホウキ🧹を、そっと手放す覚悟をするのだった。


このパフォーマンスに見覚えがある方は、ある一定以上のお歳だとバレる。そして私にはわかる。


 ポンコツさんは、働き始めた保育園で、真面目を絵に描いたような今山さんという先輩と出会う。

 大雑把なポンコツさんの雑な仕事っぷり(*ご本人の記述のまま)を見た今山さんから、お仕事のやり方を丁寧に説明されることとなる。

ポンコツさんは、最初きちんとしすぎている今山さんがちょっと苦手だったものの、とてもとても丁寧に子どもと接する今山さんに驚く。


また他のスタッフから、『真面目にマンタの真似をする』という、今山さんの意外すぎる情報を得て、どんどん今山さんが好きになるのだった。

え?



 仲良しになった二人であったが、1年後のある日、今山さんが切り出した。
「大切なお話があります」
その内容に予測のついたポンコツさんは
「聞きたくないっす」と耳を塞ぐ。

ポンコツさんは常日頃、ショックなことがあっても、笑って取り繕ったりしていたけれども、この時だけはそれができず、道端で泣き出してしまう。

 今山さんは困った顔をしたが、別れ際に、
「ほら、月が綺麗!」といつものように笑うのだった。

ポンコツさんが泣き出した場面で、私も思わずもらい泣きしてしまった(T ^ T)

離職後、不安を抱えつつも再度保育園に勤務したポンコツさんの日々を支えてくれた今山さん、
優しく真面目な今山さん、マンタの真似を真面目にする今山さん、自転車の時や歩く時、ポンコツさんに合わせてくれる今山さん、何より新しい職場に緊張していたポンコツさんを包み込むように接してくれた今山さん。

 月を眺める場面での、花鳥風月を愛する今山さんの知的で風雅な生き方が、読んでいる私の心にまで沁み渡る。
 今山さんに出会えて良かったね、ポンコツさん。

 二人の別れの日が来るのだ、と知った私はしばらく泣き続けたのだった。

花鳥風月を愛する今山さんに京都はよく似合う。



▪️私のお勧め作品『ポンコツの夢がやぶれたとき』

 絵が以前より更に研ぎ澄まされて(笑)、展開も素晴らしい。
 途中も大笑いであるが、オチが秀逸。ラストですごい落とし方をされる。
 ネタバレにならないように、ご紹介だけに留めるとする。是非お読みいただきたい。


 私の命が尽きる時に、もし『一番笑えたnoteはなあに?』と訊かれたら、この話を思い出すことだろう。
そんな事訊かれる余裕のある最期だったら、それはそれで面白い👼


新鮮さを味わっていただく為に、解説は避けようと思う。この衝撃的な展開は、予備知識なしで楽しまないと勿体ないので。

 とにかく秀作。破壊的に。ひれ伏すほどに✨


▪️まとめ  まとまらないけど
 
 他の記事について。ポンコツさんご家族のシンガポール旅行の一コマでも、ご家族の人となりが手に取るようにわかる。
 ご結婚後のご主人とお子さんとの沖縄旅行も、外国人に追いかけられて怖かったものの(^◇^;)、とてもお幸せそう。

 記事を一通り拝見していると立派に育って良かった良かったと親のような気持ちになる。

 私がリアルに心配したエピソード、それはポンコツさんが投資系のネットワークビジネスに引っかかったご経験。
 記事を拝見しながら、「ポンコツさん、そのセミナーは行っちゃダメ💦」と呟いた私。マジです。

 私の心配をよそに、普通にお友達と共に、簡単に引っかかってるし(~_~;)
「支払っちゃダメ💦」と私が読みながら心配しているのに、あっさり支払ってるし(~_~;)
ダメじゃん💦 コメント欄で叱らせていただきました。過去のことなのに私から叱られるポンコツさん(^◇^;)

 詐欺と気づいたのは、冷静で常識のあるお姉様に指摘されたおかげ。良いお姉様をお待ちになられた、と心から思える。

 騙されたと気づいたポンコツさんは、真面目に割りの良い仕事を見つけ、結構楽しそうに働き(笑)、失ったお金を充当する。頑張ったね☺️✨と褒めて良いのかどうなのか。
 
 記事の中でも印象深いのは、波平に似た昭和のお父上である。
 もしバレてしまえば、
「このバカも〜ん💢」と、どれだけ怒られるか、悲しまれるかを危惧して、ポンコツさんは内緒のままバイトを続ける。
 怒られることを覚悟して、打ち明けてお金を出してもらう、という手段もあったとは思うが、自分のやらかした事は自分で責任を取る、その一択。

 また、ポンコツさんに投資を勧めたお友達アッくんを責めることもなく、謝る彼を許し、二人で反省する姿は、その段階で終わって良かった、と安心😮‍💨した場面であった。

 家族みんなで旅行に行く(いろいろやらかす)、お友だちと将来の夢を見る、同僚と良いお付き合いをする、お父様に心配をかけないように配慮する。

 『愛情深いお嬢様にお育てになられましたね、波平さん』と思わず言葉に出そうな場面も幾つか。

 オタオタしたり、ふざけたり、愚痴ったり、笑ったり泣いたりするポンコツさんの姿は、私をホッとさせ、癒し、時にはハラハラさせ、長年一緒に時を過ごしてきたかのような、よく遊んだご近所の友達のような気にまでさせられる。

 一言で人を惹きつける、というのはとても難しく、誰にでも書けるわけではない。
 私などとても真似ができない。

 ポンコツさんのように、おそらく普段から頭の中で面白いこと、変なことを、ナチュラルに考え続けられる人だけに与えられた天賦の才といえよう。

 可愛らしいイラストも含め、説明しすぎなくても、語り尽くさなくても、思いは伝えられるのだ、と私に教えてくれた人。
 短か目の文章に秘められた、懐かしく切なく、胸に迫る思いを、是非あなたにもお勧めしたい。

 ポンコツさんに「記事を引用させていただきたい」とお願いしたところ、快く承知していただいた。
 「イラストもいいですか?」とお尋ねすると、
「どれを選んでもらうか楽しみです」との可愛らしいコメントが。

 自ら書きたいと申し出たものの、感想文をまとめるのが苦手な私。
少しでもこの感動をお伝えできていれば、と思う。

うまくまとまらなくてごめんなさい🙇‍♀️ポンコツさん。
お申し出いただければ、即刻削除致しますのでお許しを🙏
 
「自分の方がもっとうまくポンコツさんを語れるね、ふふん」
と、どなたか名乗りをあげて、ポンコツさんを語っていただければ、誠に幸いなことだ。


*見出しの写真は、昨日夫に作ったお弁当🍱。並べたら、見出し写真の枠と縦横のバランスが同じだったのでなんとなく。
ドイツにおりますと、こんな程度のお弁当でも、同僚の方から
「日本のお弁当だ🍱!」と褒めていただいているようです(^◇^;)
なお、ポンコツさんに限り、ご希望があれば、薔薇やスミレの写真に変えさせていただきますので、お申し出ください🙇‍♀️



いいなと思ったら応援しよう!