好きなフレーバーテキストの話
noteとやらをしてみむとてするなり
やってみよう!
と思い立ったものの、何を書けばいいのかわからん……。
とりあえず好きな映画の話をしようと思ったけど、意味が分からんくらい書くことが増えたので途中で投げちゃいました。
継続はできないにしても、せめてもっとカロリーの低いことにしないと最初の一歩も始まらんので、そういうことを書こうと思いました。
Do it!! Just do it!!!!!
というわけで、MTGのカードの中から好きなフレーバーテキストの話をします。
MTGのフレーバーテキスト
『マジック・ザ・ギャザリング』。
略して『MTG』。
トレーディングカードゲームの始祖にして、頂点(諸説ある)である。
MTGについての解説から始めると長くなるので、あとは各自調べてください。
グーグルに聞けばだいたい教えてくれます。ググってください。できるよな?
で、MTGのカードには世界観を解説する「フレーバーテキスト」というものが印刷されております。
ゲーム中には全く効果のない、味付け用のテキストです。
僕たちはこのフレーバーテキストを読むことで、MTGの世界観を知ったり、知らなかったりできるんだ。すごい!
そんなフレーバーテキストの中から、今回は僕の好きなフレーバーテキストを紹介します。
例えばこちら。
《弱体化》のフレーバーテキストです。
クソほど名文すぎる……。
さすが声に出して読みたい文章10年連続No.1の実績は伊達ではありません。
この「雑魚は相手にするな」は「荒らしはスルー」に通じるものがあるのではないでしょうか。やるからには開示請求しとけみたいな感じでしょうか。
他にはこれ。
《真面目な捧げ物》のフレーバーテキストです。
推奨=強制・必須。実際よくある。
最近X(現X)で
「ご遠慮ください」を「遠慮してる風ならやってもよいと思ってた」という認識をしている人がいる
という冗談みたいな話題を見かけたんですが、マジかよ……という気持ちになりまんた。
「ご遠慮ください」=「やめろ、やるな」です。知らなかった人は覚えて帰ってくださいね。
という感じで、MTGには様々な名フレーバーテキストがあるんだ!
カラデシュ!すごい!本当にすごいんだ!
ここまでは伝わったでしょうか。
さてここから本題になります。
上記の2枚のフレーバーテキストも最強レベルの名文なんですが、今回本当に伝えたかったのはそれらではございません。
今回の主役となるカードはこちらでございます。
青銅の爆弾人形くんです。
青銅の爆弾人形を読み解く
青銅の爆弾人形。
『ディセンション』に収録されたアーティファクト・クリーチャー。
MTGコミカライズ作品の『スターライト・マナバーン』では天馬博士の通訳ロボとして登場した実績もある(その時の顔のデザインがまんまターンXだった)ため、ご存知の方もいるかもしれない。
こいつのフレーバーテキストが、めっちゃ良い。究極に良い。
唐突ですが、皆さんはMTGのカードを見る時、カードに書かれた情報をどういう順番で見ていますか。
おそらくは、
①カード名
②マナコスト
(ついでに生物ならパワーとタフネスも確認)
③カードイラスト
④カードタイプ
⑤カードテキスト
⑥フレーバーテキスト
(その後興味があればイラストレーター名やカード番号も)
という感じに、上から順に情報を追っているんじゃないかと思われる。
違う人もいるかもしれないけど、今はいないことにして話を進めます。
つまりフレーバーテキストを読むのは、だいたいの場合において最後に読むカードの情報となる。はず。
では実際に、青銅の爆弾人形くんのカードの情報を上から順に見ていきましょう。
まずはカード名とマナコストが目に入ります。
ついでに、生物かどうかの確認もします。
生きてます。
カード名は「青銅の爆弾人形」。マナコストは4のクリーチャー。
カード名だけを見た限りでは「爆弾を内蔵した青銅製の人形」「青銅製の爆弾を使う人形」など解釈は何通りかあると思います。
が、とりあえずこの時点で僕らは、このカードに対して「青銅と爆弾に関係する」「人形のクリーチャー」という情報を得ました。
次にカードイラスト、カードタイプを見てみましょう。
青銅製の人形が歩いています。
イラストを見ると、背中には手榴弾のピンのようなものがあり、そこから鎖が伸びているのがわかります。
カードタイプはアーティファクト・クリーチャー。クリーチャータイプは構築物。
つまりロボット的なものを表しています。
名前とイラスト、クリーチャータイプから考えると、どうやらこれは「ピンが抜けると爆発する、青銅製の自動人形」ということがわかります。
すこしずつこのカードの解像度が上がってきました。
次はカードテキスト。ゲーム的に一番重要な部分です。
カードテキストを要約すると「持ち主以外のプレイヤーがこのカードの所有権を得たときに爆発してダメージを与えます!」となります。
爆弾人形ということで、自爆しているものと思われます。
シンプルに相手に奪われたのか、あるいは相手にプレゼントしてから自爆させたのか、パターンは何通りか考えられますが、とにかく敵の懐に入ってから爆発するタイプのカードということがわかります。
さて。
青銅の爆弾人形くんについて、ここまで得た情報を整理すると
①青銅製の自動人形、ロボットである。
②背中にピンが挿さっていて、おそらくこれを抜くと爆発する。
③何らかの手段で相手プレイヤーに所有権が移った際に自爆する。
こんな感じになります。
ここまで理解したうえで、最後にフレーバーテキストを読んでみましょう。
ピカピカじゃねえか! 鎖ちぎって持ってこうぜ。
こんな名フレーバーテキストが、あっていいのか?
もう一度読んでみよう。
ピカピカじゃねえか! 鎖ちぎって持ってこうぜ。
あまりにも。
あまりにも綺麗なオチ。
僕らはこのフレーバーテキストを読むまでの間に、青銅の爆弾人形というカードについての情報を、順を追って理解していきました(今回はわかりやすく分解して上から見ていきましたが、おそらくMTGプレイヤーは無意識にカードの情報を同じような順番で見ているはず)。
その中で、青銅の爆弾人形とはいかなるものなのか?名前から察するに爆弾に関係するんだろう。イラストを見るに爆発する機能があるんだろう。相手に奪われたら自爆するんだろう。という感じに、青銅の爆弾人形くんの解像度がすこしずつ上がっていったと思います。
そして、その果てに、最後にやってくるのは、青銅の爆弾人形がどういう存在なのかを理解していなければ意味が解らない内容のフレーバーテキスト。
カードの情報を上から順に見るというユーザーの視線の流れをも利用した、完璧に計算された文章。
盤面はやつらに完全にコントロールされている……。
そして「鎖をちぎって持っていったらどうなるか」を僕らは既に理解しています。
ダメ押しのように「グルールの襲撃者ウクルの最期の言葉」と書かれていますが、そらそうよ。
さらに言うと、グルール陣営のセリフというのがまた味わい深い。
ピカピカじゃねえか!じゃねえんだよww
バカ丸出しすぎて愛しさすら感じる。
MTGのカードは総合芸術
つまりは。
このカード、フレーバーテキストに至るまでの導線が美しすぎるんですよね。
この辺りは4コマ漫画の感覚に近いかもしれん。起承転結の流れがあって、フレーバーテキストまで綺麗に導いて、フレーバーテキストでしっかりとオトしている。
カードの情報を余すところなく使い緻密に計算されたエンタメになっているのが青銅の爆弾人形くんの最高ポイントであり、MTGのカードはテキストの内容、カードとしての強弱だけではない、カード名、イラスト、その他諸々が組み合わさって生まれる総合芸術だということがわかります(過言かもしれん)。
というわけで今回は僕がめっちゃ好きな青銅の爆弾人形くんのフレーバーテキストについて書きました。
皆さんも自分の好きなフレーバーテキストを猛烈にダイマしてください。
あと声に出して読んだり読まなかったりしてください。
息を吸ったり吐いたり、もう好きにしてください。
私も飛んだり跳ねたり笑ったりします(死ぬこともあるよ)
健やかに のびやかに