デザイナーが依頼されるときに「困る指示」って実は色々あるんですが、その代表的なもの5点。[ディレクター編]
どうもこんにちは、猫好きパン好き、無益デザイナーの『SIG3』です。
ということで、私自身も「ディレクター」経験はあるのですが、ここで書いているのは「デザイナーの立場から見たディレクター」のことを指しています。ディレクター職に就くことになった方にはぜひとも「デザイナーからこう思われている!」というのを意識して、デザイナーから「仕事のやりやすい、デキるディレクター!」と思われるようにしていただきたいものです。
5位 「原稿をまとめない」ディレクター
はい、お客様のところに話を聞きに行くのがプロデューサーやディレクター、もしくは営業となります。そこにデザイナーも同行する会社もありますが、ペーペーだったり人数がたくさんいる会社だったりすると、デザイナーは現場のクライアントさんと会わないままに仕事をすることにもなるので、ディレクターからもらう情報だけが頼りとなりますよね。
で、よく発生するのが『ディレクターが他案件も抱えていて、あまりにも忙しい』とかで、かき集めた原稿をそのままぽいっと…。
「丸投げ」
とかいうやつです、はい、よく見かけますね。
で、さらにその原稿の内容が、依頼内容と食い違っていたり、素材として全然足りていない!なんて状況が発生してしまうのですが、まず何をもらったのか何を掲載したいのか、何に対して作りたいのかなど、一切合切わからずに「これお客さんからのメール」「これ送られてきた写真」「初回の提示は○日後ね!」だけ言って他案件に旅立たれたりすると。
突っ込みどころしかありゃしない。
丸投げしたら最後、「質問できるデザイナー」からは確認の質問攻め、「質問すらできない、何をどうしたらいいかわからない新人デザイナー」は全く仕事をしないか全然違うものを勝手に作って全部やり直しになるか…どちらにしても、経験上、原稿整理と原稿の過不足に対しての催促に関しては、クライアントと直接話しをした人がするのが結果的に一番はやいです。
4位 「業務のことをわかっていない」ディレクター
この業界外の人にはビックリなことでしょうが、「デザインができない」とか「デザインの知識がない」とかの理由で「じゃあデザインしなくてお客様と話せればいいからあなたディレクターね」的な流れでディレクターに就任してしまう人が一定数いたりします。
それでもって、デザイナーより立場は上となるのでこれがまたややこしい。業界外の営業をしていた人、とかもこの立場になる場合もあります。
そして、人って恐ろしいことに「立場が性格を変える」ということも多々ありーので、「デザイナーは私より下の立場」と傲慢な振る舞いをする方も出てきます。
デザイナー経験のない人は、「素人のクライアント」とほぼ同義語なので、5位に上げた「丸投げ」が二重苦で襲ってくる感じになるのです。
もはやこの形になると、デザイナーへの指示がまるでなってないばかりか、クライアントからの差し戻しも多く、最初からまるごとデザインのやりなおしが何度も何度も訪れて、まさしくデスマーチになるとかで。
離職率も高いです。
ディレクターになったら、もし業界経験、業務経験がない場合には「死にものぐるいで勉強」して、さらに「デザイナーから教えを請う姿勢」は崩さないようにしてください。
下の協力を仰げなくなった時点で「いらない人」と認識されます。
3位 「デザインしたがる」ディレクター
「ディレクターなんだから、自分が最高、周りはついてこい!」
の、悪い方へ進化した例がこちらとなります。
さらに残念、ほんと残念。
ディレクターの仕事はあくまでも「ディレクション」をすることなのであって、自分がデザインをすること、ではないのです。
「デザインのことを全くわかっていないけど、自分のデザインを通したい」タイプの人もいれば「デザイナーが忙しそうだから、話を聞いてきた自分がデザインを作ってあげよう」というのもあります。
一見、後者はデザイナー思いのいいディレクターと思うかもしれません。
デザイナー上がりのディレクターは別にこれでもいいんです。
ただ、デザイナー未経験のディレクターがこれやっちゃうと。
片腹痛い!
てなことにしかなりません。
こちらも「最初からデザインやりなおし」の恐怖が常に付きまとうことになりますし、1度やっちゃうと次もこのタイプのディレクターはデザインカチカチに決めて原稿を作ってきます。で、大抵「間違えている」。
ディレクターの仕事は、クライアントの要求を聞き出し、まとめ、クライアントの最終目的にあうようにデザインに落とし込むための「要素をデザイナーに受け渡して指示する」ことです。
フィードバックは「デザインそのもの」ではなく「目的に沿っているかどうか」という点で指示すべきですし、そうでないとデザイナーも納得してくれません。いいデザインが出てくるチャンスも潰します。
気をつけましょう。
ディレクターの仕事は、デザインすることじゃありません。
2位 「いい人」ディレクター
要は「誰に」いい人なのかってところです。
他に「自分のお気に入りのデザイナーだけにいい人」とかいう、始末に置けないのもいますがそれは人としてどうなの?レベルなのでここでは敢えて書きません(苦笑)。
この中でどれが一番やばいかというと。
そうです「3」なんです。
「1」は、デザイナーだけがイライラデスマーチ案件ですが、デザイナー側でリカバリ効いたりするため、まぁ…要はデザイナーが我慢すれば会社としては成り立つ、もしくはデザイナーの能力がずば抜けていれば全く問題点が浮き彫りにならない…デザイナーから見ればブラック、他の人から見ればホワイトな悲しい状況です。
「2」は、場合によってはクライアントもイライラさせたりするやっかいなディレクターです。大手やインハウスとなるとこのタイプが出現しがちですが、デザイナーの防衛策としては、「立ち回りが上手く、社長や上司を手玉に取れさえすれば自分の方への被害は最小限に抑えられる」裏技がなくはないです。
なくはない、レベルなので、大抵のデザイナーさんは職人気質だから難しいわけですが。
そして最大の問題児「3」です。
この場合は、なんと5位、4位も兼ね備えた人までいたりするので最悪としか言いようがありません。
クライアントにいい顔をして、できないことまで「わかりました」と即座に回答してから会社に持ち帰り、デザイナーに無茶振り。当然デザイナーは「なんで先に相談してくれなかったんですか」と詰め寄る。
デザイナーにもいい顔をしたいからなのか、今度は「デザイナーに無茶振り」もしくは「クライアントに妥協案を持ちかける」…力の強い弱い関係なく、場が混沌としてくる最悪の状況で、最終的に案件そのものが泡と消える場合も…。
そして、デザイナーも途中まで取り掛かっていたりする場合には…目も当てられません。
ディレクターなら、その場の舵取りをするために嫌われるようなことであっても決断は必要です。
「正当な理由」なら、誰もディレクター本人を憎んだりはしませんから。
1位 「物忘れの激しい」ディレクター
おそらく「え?」と思われるかと思いますが、いるんです。
しかも、忙しい会社で優秀と思われるようなディレクターにもこういう人がいます。おそらくの原因は「忙しい」の一言に尽きます。
忙しいんですよディレクターって。
何人かの社員がいる会社なら、デザイナーはとりあえず「デザイン業務」を中心に行っていればいいのですが、ディレクターは違います。
他にもいっぱいあるのですが、だいたいはディレクター1人でデザイナー数人をまとめるという図が成り立っている世界なので、ディレクターはいくつもの案件を同時進行で行いつつ、複数人のデザイナーの進捗管理からデザインチェックから、場合によっては関係各所への連絡や手配など、「人に対しての気遣い」をマルチタスクでできる能力が必要です。
会社によっては「口先三寸あれば良し」のところもなくはないですけど、そういうところはデザイナーとディレクター間の仲が非常によろしくないです。(離職率高い理由がディレクターのせいなんですが、経営者はクビにできないから…)
また、ディレクターもいっぱいいっぱいなら下のデザイナーに助力を求めればそれなりにデザイナーだって動いてくれるはずなんですが、これまでに書いた内容からもお察しの通り「デザイナーより上の立場」という変なプライドが邪魔をするからか、独りよがりになる人もいます。
ディレクターが忙しいのはデザイナーも把握しているんです。
でも、情報共有せずに「独りよがり」されるとどうにもこうにも協力はできなくなるんですよね。
私はそれを嫌というほど実感していたので、必ず下のデザイナーには必要な情報を話し、共有し、デザイナー側からも提案がやりやすい環境を作ることに一番力を入れてきました。新人さんやバイトさんからも、思わぬアイデアをもらったこともたくさんありました。
でも、それが他のプライドがマッキンレーな方々には気に入らなかったのかもしれませんね。
あくまでも個人的な考えでいうと、小さな職場なら「共闘型ディレクター」が、大所帯なら「トップダウンディレクター」が合っているようです。
またディレクションにも挑戦したいと思っていますが、まずは…個人や小さいところで仕事しているので、「ディレクションしながらデザイン」のマルチで頑張りたいと思います。