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クライアントワークのお話(01)

どうも、ベテランデザイナーのはしあやです。

ベテラン…と言っても「グラフィックデザイン」分野に於いてはベテランという意味となりまして、実際にWebの業務は以前の職場でもありましたが、Web専業の会社で、なおかつ小規模企業様、小売店や個人オーナーのお客様との「Webサイト」のやり取りはまだまだ初心者レベルとなりますので、実際のクライアントワークのお話をさせていただきます。

ちょっと大きめのお仕事の話

今までは「BtoB」がメイン、もしくは「大規模イベント」等、年間計画で進むような規模のWebサイトが中心でした。もちろん、年間計画ということでその他の広報活動と一緒に動かすこととなり、紙媒体や放送系メディア等とも連動させるタイプのため「ベースのデザイン」はあくまでもプランナーやグラフィックデザイナーが中心となって進めた後で、同じテイストでの展開の一部としての広報戦略の最末端(要はクライアントさん隅々向けの箇所に位置している)がWebサイト、という立ち位置での回し方での関わりでした。

そのため「本社のデザイン部門=インハウスという箇所が私の立ち位置。
※以下、私のいた職場での話なので、会社によって進め方は全然違います

主要となる骨子デザインと、社内で吸収できる部分で直接経営部門とやり取りをしなくてはいけない部分でのデザイン周りを受け持ち、軽い展開や決まったフォーマット等への流し込みは、派遣社員さんを雇ったり、制作会社へ外注をかけたりしていたので、実作業は最初の部分が中心。必ず発生する下層ページへの簡単な展開やバナーの作成などはほとんどやったことはありません(トラブル時のめちゃくちゃ急ぎの差し替え等ではやってましたけど…外注業者だと時間がかかるので)。

本当に骨格部分の「考え方」や「大まかな戦略」「広告を流すタイミングの策定」「業界動向の調査」「前年度の流行と今年のライバル会社の出したデザイン」などをベースとして、届いた年間予算の中の割り振りを決めて、どの時期に何をするか、どの業者にどこまで任せるか、誰をプロジェクト内に配置するか等。外注の場合は業者策定のためのコンペも開催されるので、これで普通に1ヶ月2ヶ月かかったりもします。

大きな視野で見ての作業であることもあり、プロジェクトメンバーの総数は凄い人数が動きます。誰に何を指示したのか、現時点で動いているメンバーは誰で、そのポジションのチームのメインとなる人が誰なのか、手が空いている人が誰なのか、そもそもその人は今日本のどこに出張しているのか…SlackやChatWork等のタスク管理ツール等は使っていませんでした。何しろ、老若男女、下手すると新卒から70代の方までが参画しているので、全員がツールを使えるとも限らない上、そもそも使っているツールも知識も専門分野もバラバラという大規模チームとなるのです。

基本の連絡は「メール」もしくは「メーリングリスト」でした。

基本の大きな動きはメーリングリストで全員に連絡が届き、その後、個別に連絡が必要な場合は「メール」か「電話」が主。その人同士でしかできないチャットツールはチーム内に限られて許可されていました。

Webのチーム(コーダーのみが10人程度在籍)はチャットワーク、SEチーム(5人程度)はデスクネッツ、技術チームはGoogle、そして我々デザインチームはSkypeと、もう1セクションだけでもバラバラというカオス状態。
なお、デザインチームは毎回ビデオ会議していたのでSkypeだったんですが、他チームはチャットのみでのやり取りだったので、社内で聞こえてくる会話は総務チームの電話の声とデザインチームの会議の声だけという異常事態でもありました…技術系の方々、文字のみがお好きなようで…。

規模の大きな仕事の進め方

そんなこんなで、3月には次年度の計画案がそろそろ出揃い、4月の全国での入社式が終わると同時に新人研修と同時進行で年間計画の会議が目白押しとなります。3月末は会議前に担当者さんと戦略のための打ち合わせのアポ取り電話とメールの応酬、4月頭は全国へ飛んで出張して、大物が参加してくる会議に備えます(苦笑

この時点ではほとんどデザイン業務自体はやってません
※定期更新のあるWebだけは業務を継続中

デザイナーがデザインをしない時期が結構出てくるので、純粋に「自由に好きなものを作りたい!そのためにデザイナーになる!」って言ってキラキラしていた新人さんはこのタイミング、1・2ヶ月で何かを察して消えていくことになります・・・(悲

大物が入ってくる大会議が何度か行われ、方針が決まり予算の割り振りが決まったら、やっと「デザインワークのための会議」に入ります(笑

この時点でもほとんど細かいデザイン業務自体はやってません

大骨子に沿って、概要と中身とスケジュールを組んだら、次に待っているのが「各関連部署・会社へのアポ取り&交渉」のメールと電話の日々です(笑

この時点でもデザイン業務自体はやりませんが、デザイン業務の知識がないとできない仕事ばかりです

やれ、印刷の際の使える紙の確保やら金額の交渉(ここでやっておかないと在庫確保できない)、最終納入に関しての配送手配と交渉(この時点でやっておかないとリソース足りない)、ラスト近くの繁忙時期の人員の確保計画を出すのと外注への根回し(ギリだと人手増やせないので詰まる)。

そして競合調査という大変なものが発生してきます。

販売物であれば、調べられる手を尽くしてライバル会社の商品の動向や取扱店での売れ行き、客反応等の調査。イベントものなら周囲の調査関連全般。場合によってはそこに「潜入調査(捜査(笑))」なんてのも行なったりします。

もはやデザイン業務とはなにか?という根本を考え直すことも必要になりますが、競合調査を行うことで世間の流行を知ったり、どういうものが次に必要になるかを考える力が付いたり、内輪だけで行う仕事とは全然違った視野が開けるので、最終的にデザイナーの力になるんではないかと思います。

そんなこんなで苦労しつつ、自分の手を細かく動かすデザイン業務は一切行わない期間も、デザイナーとして必要な脳みそ部分はしっかり動かす期間を過ごした後は、本格的に無茶振り発生のデザイン業務(ベース作り)が始まるのです。

(続く)

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しぐさん
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